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ライオンズよ 永遠なれ

[2009年9月18日 15:10更新]

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いきっ子会での講演より 元TNCアナウンサー 久保歩氏(09年8月号掲載)

元TNCアナウンサー 久保歩氏福岡にホークスがやって来て20年。今や全国有数の人気球団となり、若い人たちにも熱心なファンがたくさん増えました。ライオンズが福岡を去った後の寂しい頃のことを思い出すと、時代はずいぶんと変わったものだと思います。 

ですが西鉄ライオンズファンにとってはどうも、素直にホークスを応援できない。かつての南海ホークスは西鉄ライオンズと優勝を争ったライバル。親会社は変わっても、当時の記憶がまだ残ってましてね。ですから今でも埼玉西武ライオンズを応援しています。 

私は西鉄ライオンズの全盛期、テレビ局のアナウンサーとして取材し、選手の皆さんと間近に接する機会に恵まれました。そんな経験を踏まえながら、ライオンズ野球の魅力についてお話したいと思います。

定宿に忍び込んで  

少年時代は元々、ジャイアンツファンでした。終戦直後、セパ両リーグに分かれる前の1リーグ時代。その後、西鉄ライオンズができて「少年ライオンズの会」に入会、以来ライオンズファン一筋です。 

一時期、東京に住んでいたことがあります。ライオンズが東京に遠征する時、後楽園のそばの「大黒屋」が定宿だったんですけども、そこへ何度も行ってましたね。玄関からではなく裏木戸を通って縁側に出て、「青バット」の大下弘選手、中西太選手、豊田泰光選手らにかわいがってもらって。

そこで選手たちと一緒に写真を撮ったのですが、今はいくら探しても見付からない。相当自慢できるお宝なんですけれどねえ(笑)。

口下手な選手たち  

私がテレビ西日本(TNC)に入社したのは1960年です。そのうちスポーツ中継をやらされることになって、上司から「相撲とプロ野球とどっちがいいか」と。私は「男の裸に興味はない」と答えて結局、野球中継をやることになりました。 

ライオンズの試合がある時は練習から顔を出して監督や選手の話を聞く。ところが豪快なイメージに反して、多くの選手たちが意外とシャイで口下手、なかなか話をしてくれない。今は、若くてきれいな女性アナウンサーがよく取材をしているでしょう?あれは、少しでも話を聞くためのテレビ局側の工夫なんですね。 

口下手と言えば池永正明投手。八百長に関係したとして永久追放処分となった(黒い霧事件)のですが、もう少しマスコミとうまく付き合っていたら、扱いも違っただろうに─と思いますね。

本人はいたって気のいい男で、私とはよく話をしました。ですが他の記者は違った。子どもの頃から期待され、下関商業時代には甲子園で優勝。そんなこともあって「生意気なやつ」と誤解されて。あんなすごいピッチャーはなかなか出てこないでしょうから、余計に残念です。

豪快さの裏には  

当時の選手たちは「野武士軍団」と呼ばれ、今の管理野球からは考えられない、豪快で個性的な選手ばかり。ですがそれはあくまで表面的な部分で、実際の人柄はそうでない人も多かったんです。 

例えば「怪童」中西選手。豪放なイメージとは裏腹に非常に繊細な人でしたね。プレイングマネージャーの時、腱鞘炎を患い試合に出られないことがあった。それでもベンチ前で素振りをするんですが、強烈な野次が飛ぶ。すると私に「どんなやつだ?」と聞いてくる。野次が気になっているのに、そちらを見ることができないんですね。 

「酒豪」と言われた大下選手。バカスカ飲んでも、次の日にはホームラン。でも実は、どんなに遅く帰ってきても素振りを欠かさなかったといいます。努力するところは人に見せない、そんなところにプロとしての美学を感じますね。

今につながるサムライの系譜  

ほかにも、07年に亡くなられた「神様、仏様、稲尾様」の稲尾和久投手、今も辛口の解説で有名な豊田選手ら、サムライたちがプレーした西鉄ライオンズ。その魅力は今の西武ライオンズにも受け継がれていると思います。

「おかわり君」こと中村剛也選手。昔のライオンズの選手を彷彿とさせます。一番好きなのは中島裕之選手で、礼儀正しく謙虚でさわやか。豪快さと繊細さを感じますね。 

ライオンズは埼玉に移ってから「西鉄色」を排除しようとした時期があった。それが最近、西鉄時代のユニフォームを復刻したりロゴも変わったりで、「ライオンズ」としての歴史を尊重するようになった。実に素晴らしい。

願わくば、西鉄・西武統一のライオンズOB会を作ってもらい、若い選手たちにライオンズ野球を継承してほしいですね。

 

【久保 歩】<くぼ・あゆみ>
1937年、満州(当時)生。 福岡市在住
日大芸術学部卒業後、60年にテレビ西日本(TNC)入社
アナウンサーとして野球中継のほか「小川宏ショー」などを担当
現在、イベントプロデュース会社「翔南プランニング」代表

【いきっ子会】 
長崎の壱岐焼酎「壱岐っ娘」を傾けながら肩書き抜きで語り合う会

★本紙があらためて取材、再構成しています〈随時掲載〉

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