[2010年1月18日 14:14更新]
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(09年12月号掲載)
福岡市立こども病院(中央区、写真)の人工島移転問題。多くの患者とその家族、医療関係者らの反対にもかかわらず、行政上の手続きは着実に進められている。
本紙はこれまでにも何度かこの問題を取り上げてきた。読者の関心は高いが、同時に「複雑で分かりにくい」との声も寄せられている。
そこで今回、病院移転に絡む施策の本当の思惑を本紙取材を元に再度指摘、移転問題の本質についてまとめた。
移転事業の柱となる施策は次の3つである。
(1)移転先は人工島(福岡市東区)しかありえない
(2)移転後に独立行政法人化(独法化)する
(3)PFI事業を導入する
以下では、各施策の狙いについて考えてみたい。
まず最初に指摘すべきなのは、人工島への移転が最良とする数字的根拠が極めていい加減であることだ。
福岡市はこれまで、人工島移転は
1.広い土地を確保できる
2.土地取得費が他と比べて安くすむ─などのメリットがあると説明してきた。
だが、現在地で建て替えた場合の費用の見積もり額を、市がゼネコンに再見積もりを依頼し約1.5倍にして発表していたことが明らかになった。
また移転後の新病院運営の事業収支を試算するため市が設定した前提条件では病床利用率90%、1日の外来患者数420人と設定し、関係者からは「現実的でない」との指摘が。
これらはすべて目的を正当化するための「数字のマジック」。行政の常套手段である。
ではなぜこのようなことをしてまで移転先を変更しない、いや、出来ないのか。
人工島事業は簡単に言えば、市が銀行などから資金を借りて博多湾を埋め立て、出来た土地を売って返済に充てるというもの。行政が不動産デベロッパー役を担う完全な「バブル期の発想」である。
だが出来上がった時にはすでに好景気は吹っ飛び、土地売却は当初の予定通りには進まない。返済が滞れば当然、融資した銀行団側も困る。
こうした状況の中、こども病院などの公的施設を人工島に移す案が浮上したのは山崎広太郎前市長時代。広大な土地を処分でき、一義的には市が購入するため銀行団も安心して回収計画を立てられる「名案」である。
だがここへ来て白紙撤回してしまえば、融資金回収計画はゼロからやり直し。それだけは許されない─これこそが福岡市、そして銀行団の本音である。
(続く)
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