カテゴリーアーカイブ: J氏の独り言

ブーメランにご注意を

選挙戦も中盤となり 接戦の選挙区には 与野党共に知名度のある幹部を投入してテコ入れを図っている。

自民党麻生副総理は、東京18区の選挙応援で「あちらは立憲共産党」と 野党共闘を痛烈に批判したという報道があった。
口の悪さが売りの麻生氏だけに別に驚きもしないが、そういう自民党も比例候補を擁立していながら「比例は公明」と呼びかけているわけで「自由公明党」と言ってもよい。

一方で、立憲民主党の蓮舫代表代行、東京9区の応援演説で、「自分たちが一年前に選んだトップを守れない政党というのは、今苦しい皆様方を守れるとは思えない」と述べた。
そういう蓮舫氏も、民進党の代表を務めていたが1年足らずで代表の座を降りている。

自党や自身のことは棚に上げて、相手の批判をしても あまり笑えない。
ブーメランにご注意を。



 

自民党の落選危機リスト

前回の衆院選では福岡県全11区で自民現職が当選した。

最近、落選危機にある与党候補者21名のリストが出回っているが、そのうち3分の1の7名が九州の候補者、福岡県ではなんと3名の名前が記載されている。
引き際が大事という言葉通り、今回の衆院選前には 多くの高齢議員が自ら身を引いたが、県内では当落線上ぎりぎりで挑戦する73歳以上の現職議員がその対象となっている。

「菅総理では戦えない」との声から岸田総裁が誕生したものの、安倍元総理の時代から使われ始めた「忖度」の二文字が未だ受け継がれ、最近の岸田総理は 周囲の圧力に弱く「朝令暮改内閣」と呼ばれている。
更に 野党共闘も進んだことで陰りが見られる今日この頃だ。

こうした中、比例の重複立候補ができない73歳以上の候補者は、落選すれば事実上引退となる。
引き際を間違えて 後悔先に立たずとならないよう、戦って頂きたい。

日本記者クラブ 党首討論

18日、日本記者クラブでの討論会に各党党首が参加し論戦を交わした。
討論の1部では、党首が他党首を指名し 質疑をするというもの、相手の弱点を突く質問が続いた。
特に 自民の岸田総裁に対しては、総裁選で掲げた公約が鳴りを潜めた経済対策に質問が集中、堂々とハキハキと上手に答えたが、素人の私が聞いていても 正面から答えていなかった。
当然、質問者からは「質問に答えていない」とチクリ、しかし再質問はできないルールでそれ以上は突っ込めなかった。


討論の2部は、記者クラブの代表からの質問だった。
立憲民主党の枝野代表に対しては、「立憲は国民の支持が上がらない理由は」という少し意地悪な質問が飛んだ。
対する枝野氏、「我々は政権の選択肢となるための努力を積み重ね、総定数の過半数の候補者を立てた。支持率が減ったことは問題ではない。世論調査で最終評価をしないで 投票結果で評価すべき」と回答した。

どの党首も 質問に対する回答は似たり寄ったり。

何だか、感心すると同時に 狐や狸に化かされている気がした。
質問には答えないわ、論点はすり替えるわ。
これで政治家を信用しろと言われましても。。。

一夜明けて

10月15日の夕刻、福岡5区の公認が原田義昭代議士に決まった。
明けて16日には、出馬を辞退した栗原渉氏の地元朝倉市で、原田氏が集会を開催するも、参加者は 100名前後だったとの報告が寄せられた。
マスコミが行った支持率調査の全てで、3番手だった原田氏だけに当然と言えよう。

全国数ヵ所において、公認問題で揺れた選挙区があった。
地元の意向と事前の支持率調査の結果「勝てる候補」ということで決定したかと思われたが、福岡5区に関しては 共通項がないダブルスタンダードだった。

5区の支援者から地方議員に寄せられた声は、栗原氏に対する同情の声と 党本部の批判が圧倒的だったという。
さて、これがどう投票行動につながるか。

早くも立憲民主党の堤かなめ氏の当選が囁かれており、前回 小選挙区全 11区で勝利した自民党に黄色信号が点滅している。

河村建夫元官房長官の英断

自民党甘利幹事長から 出馬見送りを打診されていた 山口3区の河村建夫元官房長官(78)が、それを受け入れ 引退する意向を固めたという。

さすが、元官房長官だけあって英断を下されたと思う。
エゴを貫いて 足元から反発されるようでは、何のために政治を行っているのか分からない。
おかげで同区では 保守分裂を回避できた。

そして 同様に 公認が保留になっている福岡5区は、明日15日までに 決定するという。
現職の原田義昭元環境相(77)も全く同じ状況だ。

昨日、共産党の立候補予定者が出馬を取り止め、立憲民主党の堤かなめ氏(60)の支援に回ることを発表した。
このまま保守分裂で選挙に突入すれば、共倒れの可能性は高い。

元官房長官と年齢も近い 元環境大臣にも 英断があるかに注目が集まっている。

福岡6区の立候補予定者

立憲民主党は 福岡6区に新人を擁立すると発表した。

立候補を予定しているのは 元オペラ歌手の 田辺徹氏(60)、2019年の参議院議員選挙では、石川県選挙区から国民民主党公認で立候補したが 落選している。
横浜市出身、経歴を見るとなかなか興味深い人物だ。
告示直前の落下傘での挑戦となるが、自民現職の鳩山二郎氏(42)の牙城にどこまで食い込めるか。

この他に、共産党人身の河野一弘氏(49)、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反での新人熊丸英治氏(52)、無所属新人で会社社長の組坂喜昭氏(74)が立候補を予定している。


2019年参議院選の際の田辺氏のチラシ

福岡5区の公認問題

衆議院選告示まであと11日と迫っているが、自民党福岡県連は4・5・6区の公認候補について党本部に対応を委ねるとしている。
各区の支部から異論が出ていたり、そもそも協議の場が設けられていないことが原因だ。

党本部一任となると現職公認になる可能性が高いが、選挙区によってそれぞれ事情が異なっている。
自民が行った事前の支持率調査では、4区と6区は現職の支持率が高く、他にライバルとなる者もいないので、党本部はすんなり現職公認を決めるだろう。

問題は5区だ。
先の総裁選で、現職の原田義昭氏は敗れた河野氏を支持したが、仲良しの甘利氏が幹事長に就任し安堵した模様で、発注したポスターにも「自民党公認」と記載しているという。

しかし同調査では、現職の原田氏が約20ポイント、対する県議の栗原渉氏は34ポイントとリードしている上、支援する団体数や地方議員の数でも栗原氏が圧倒している。
支える地方議員が一致協力していない選挙となると、野党にもチャンスが出てくる。立憲民主党の堤かなめ氏は、同調査で24ポイントだったが、直前に共産党候補が下りると見られており、そうなれば野党共闘で 逆転勝利することも考えられる。

現状では栗原氏優勢だが、野党共闘で 栗原氏・原田氏共倒れもある。
いずれにしても、原田氏にとっては 公認が出ても 厳しい選挙となりそうだ。

5区に限って言えば、自民にとって最善の策は、「原田氏を単独比例に回して、栗原氏公認」、そうすれば 5区から2人の議員を出せるのだが…。
さて、党本部がこの状況をどう判断するのか注目したい。

3本の矢はどこへ? ー 自民こそ アベノミクスの総括を ー

10月4日に発売された経済誌の表紙には、「日本株上昇相場へ」と書かれていた。
しかし、岸田新総裁が決まる前日(9月28日)の日経平均株価終値  3万0142円から、本日で5日間続落となり、2万8000円を割り込み 先行き不安な新政権の船出となった。

これまで自民党はアベノミクス(+スガノミクス)の総括をこれまでしていない(避けてきた?)が、立憲民主党が先月 総括結果を発表、「アベノミクスは失敗、格差や貧困の問題の改善にはつながらなかった」とした。
確かに、株価は上がったが 経済成長という面では諸外国に遅れ、借金は膨れ上がり社会保障制度を立て直すこともなかった。
いったい放たれた3本の矢はどこに行ったのか?

総裁選で「国民の声が政治に届かない」と これまでの政治を批判した岸田氏。
「成長と分配の好循環」「所得倍増」「新自由主義的政策を転換」を掲げているが、つまりそれらは 安倍政権、菅政権の経済政策の批判と捉えてよいだろう。

アベノミクスを継承するとした 高市早苗氏を政調会長に選任したのは意味不明だが、自民党が岸田新総理を支えて新しい経済政策に踏み込んでいくのであれば、高市氏は率先してアベノミクスの功罪の検証・総括をする必要があろう。

その上で自民党は、今すぐ取り組む緊急経済対策、そして中長期的な計画を国民に示し、総選挙で投票してもらうべきである。

維新の立候補予定者

衆議院総選挙の投開票まで あと1ヵ月と少し。
自民党の総裁選が連日テレビで放映され、新総理誕生によるご祝儀相場が予想される。
一方の野党は埋没しないよう必死になっており、立候補予定者は早朝辻立ち、昼間は街宣と支援者回りに汗をかく毎日だ。

今回日本維新の会は、九州では福岡1区、2区、4区、10区、及び 宮崎1区に公認候補を擁立する予定だ。
2012年に結党された国政政党でありながら、九州の選挙区の立候補者がわずか5名というのは 寂しいというか、少しお粗末な気もする。

事前の世論調査では、維新の各候補が選挙区で勝利するにはハードルが高いが、宮崎1区では自民の分裂選挙となり 維新候補にもチャンスはありそうだ。

また、比例九州ブロックでは、維新は最低1~2枠の獲得が見込まれ、枠をめぐって候補者同士で惜敗率の争いとなる。
5人の中では、宮崎1区の外山氏が頭一つ抜けており、福岡の4人は今一つ伸び悩み、横一線で並んでいるという。
ちなみに 山川やすひろ氏は比例のみの挑戦で、名簿順位は最下位ということだ。

新たな 所得倍増伝説を!

8月に総裁選に立候補表明後、弊社記事でも「喧嘩できない いい人」などと 多少皮肉をこめて書いたが、岸田氏は逆転して見事に総裁の座を射止め、来週には総理に首班指名される。

宏池会からは 宮澤喜一氏以来 30年ぶりの総理、同会を旗揚げしたのが池田勇人。
池田内閣が策定した国民所得倍増計画を念頭に、岸田氏は 「所得倍増計画で分配重視」を掲げた。

当時は高度経済成長の波に乗り目標以上の結果を残したが、今の時代 そう簡単ではない。
財政、金融の両面から思い切った政策転換が必要で、多方面から反発が予想される。
重圧に屈して短命で終わることのないよう、リーダーシップを発揮して、2倍とまで言わなくても、国民の所得が1.2倍、1.5倍に増えるよう 努めて頂きたい。

ちなみに、所得倍増計画については ネット記事等や書籍でも読めますが、大和田秀樹氏作のマンガ、「疾風の勇人(モーニングコミックス) 」は面白いと評判です。

総裁選、開票始まる

自民党の総裁選挙の開票作業が始まっが、福岡県は党員数 31,952人のうち、投票率が約65%という情報が入った。
これだけマスコミで騒がれているにも拘わらず、35%の党員が投票していないというのも不思議だ。

自民党所属の国会議員には、「党員1千人獲得」のノルマが課せられており、達成できなかった場合は罰則があるという。
その不名誉から免れるため、有権者名簿から本人の了解を得ないで名前を借りて党員登録をしている代議士も少なくない様だ。

今回の総裁選の投票が始まってから、「党員になった覚えがないのに投票用紙が送られてきた」という苦情が多かったそうで、最も多かったのが 河野候補を支持しているご高齢の某議員という話を聞いた。

事情があるかと思うが、さすがにそれは拙いだろう。

原田義昭代議士とマルチの密接な関係

8月5日から8回に分けて、「原田義昭代議士とマルチの密接な関係」という記事を掲載しました。まとめて読みたいというご要望にお応えして、その後の続編を加えて再掲致します。

 

■ 年利23%の現金還元

小泉純一郎元総理が、融資詐欺で代表らが逮捕された㈱テクノシステムの広告塔だったとの報道があったが、詐欺師が政治家や芸能人に近づき利用する例は枚挙に暇がない。
知らずに協力してしまい、被害が大きくなってから気がついて 後悔しても後の祭り。
芸能人はギャラが出て呼ばれるのだから仕方がないとしても、政治家の場合は余程慎重に行動しないと、道義的責任を問われることになる。

福岡5区の自民党現職で 前環境大臣の原田義昭氏(76)であるが、詐欺的なマルチ商法で全国に被害が広がっている化粧品会社と密接な関係だったことから、批判の声が上がっている。

平成26年設立の ㈱ジェイコスメ・ジャパン(東京都 代表者 菅原淳司氏)は、化粧品販売のマルチ商法で急成長した会社だ。



会員は、1口10万8000円で化粧品を購入すると、1pt=1円換算で、入金日の翌々月から毎月 4000pt を10か月間 付与され、10ヶ月目に 10万pt が付与される。
貯まったポイントは商品と交換することができるが、最大の特徴は 3%~5% の手数料を支払えば ポイントを現金化(返戻金と称している)が可能ということである。(但し、契約書等には表記していない。)
年利換算すると 厳密には約23%であるが、「1年で利回り4割、銀行預金より有利」と評判になり 瞬く間に広がった。

また、香港に本社を置くグループ会社 JCOSME HOLDINGS LIMITED.H.Kが発行するJGBコインという仮想通貨を 会員向けに販売するなどして売上を急伸させ、報道によると これまで会員数5万人、化粧品で300億円、仮想通貨で400億円以上を集めたという。

代表の菅原氏は、芸能人を使った派手なパーティを開催するなど、会員を増やすための宣伝費は惜しみなく使う戦略の中で、原田義昭代議士に近づいていった様だ。

㈱ジェイコスメ・ジャパン 菅原淳司代表


■ ジェイコスメ・ジャパンとは

ジェイコスメ代表の菅原淳司氏は、昭和42年生まれ、北海道 旭川東高校から早稲田大学法学部に進学、ノエビア化粧品会社で基礎を学び、マルチ商法の外資系化粧品会社でノウハウを習得、平成23年に化粧品販売を目的にジェイ・シックスの屋号で創業、同25年から香港・タイ・台湾・シンガポールに現地法人を設立した。
今回問題になっている 「ジェイコスメ・ジャパン」はグループ会社として同26年2月に設立している。

菅原氏は、新製品の発表、事業計画の発表、成績優秀者の表彰等を行うワールドコンベンションや、パーティ、懇親会、国内外の旅行など お金に糸目を付けない豪華な催しで富裕層の心を掴むのに成功してきた。
1年に1回 東京品川のホテルで開催されるコンベンションには、辺見マリ、山本リンダ、酒井法子、千葉真一、錦野旦などが出演し 場を盛り上げたという。

平成28年には、東京のホテルにおいて、フランス大使館後援で フランス人デザイナー、エイメリック フランソワのファッションショーを開催、同29年には 韓国で ミス・コリア本選のメインスポンサー、同年 空手の最大派閥である 新極真会の全国大会のメインスポンサーを務めている。

そして、同年(2017年)6月4日に品川で開催されたコンベンションに登場し、来賓挨拶をしたのが 福岡5区選出の原田義昭代議士だった。

来賓挨拶をする原田義昭代議士


■ 1人 最高2億円の被害

10万8000円で商品を購入して 1年後に金利が約23%付いて現金が戻ってくる仕組みは、冷静に考えれば おかしいと思いそうだ。
しかし、いざ自分が当事者で、周りの友人知人が実際に利益を得ているのを見て、しかも現職大臣が太鼓判を押し、熱気の中で言葉巧みに勧誘されたと想像すると、入会していたかもしれない。

ジェイコスメが右肩上がりで会員数を増やしていた平成29年(2017年)頃までは、会員が美味しい思いをしていたのも事実だ。
当初は半信半疑で始めるも 実際に利益が出たことで、次回は 家中の現金を集め、家族も説得して、数倍の額の商品を購入した会員が多い。

しかし、平成30年(2018年) を境に ジェイコスメの資金繰りが悪化し始め、翌令和元年(2019年)には返戻金の支払いが滞り始め、9月になると完全にストップしたという。

詐欺に詳しい専門家は、ジェイコスメの返戻金のカラクリは、「高配当」を謳い文句にお金を集める「ポンジスキーム」と呼ばれる手法と指摘する。
返戻金の原資は運用益ではなく、会員が再び商品を購入する代金によるもので まさに​自転車操業、会員が急増している間は支払いができるが、いずれ行き詰ることは明らかだ。

被害額は人によって様々だが、取材した中で多かったのが 50万~ 2000万円、最も多い方で 約2億円というご婦人がおられた。

現在も ジェイコスメからの支払いは完全にストップしたままだ。
しかし、会社は閉鎖しておらず FAXのみで顧客対応を続けているように装っている。

そして昨年から、損害賠償を求める集団訴訟が全国各地で起こされていることが判った。


原田義昭代議士の事務所で語り合う 菅原代表と原田氏


■ ジェイコスメを訴えた裁判

現在 全国でジェイコスメ(菅原淳司氏)を相手取って30件を超える裁判が行われているという。
そのうち4件の裁判の詳細が判った。

1つは令和2年(2020年)6月、個人が1億0130万円の貸金の返還を求めたものだ。
年40%の運用益があるという虚偽の説明によりジェイコスメの商品代金として同額を支払うも、運用益及び元金も返還されなかったことから、菅原氏と令和2年2月末までに支払う金銭貸借契約を締結したが、期限までに返済されなかった。

あとの3件は 集団訴訟で いずれも同月に提訴されている。
訴額(原告人数)はそれぞれ、約1億5000万円(22名)、3600万円(3名)、2000万円(12名)で、いずれも元金の返還を求めたものである。

原告の弁護士はそれぞれ異なるが、被告 ジェイコスメ側の弁護士は 同一の弁護士が担当している。
被告側の 主張は次の通りだ。

・当初は 1ポイント=1円 としていたが、その額は 経済の状況などで変動することがあると 契約書に書かれている。
・今回、経済の状況、ポイントを巡る規制の強化、会社の債務の増加、他社への会員移動に伴う会員数の減少による経営状況の悪化により、1ポイント=0円とし、返戻制度(ポイントの現金化)を停止した。
・返戻制度、会員サービスとして ポイントを買い取っていたが、サービスなので中止しても問題はない。

確かに、出資法違反に抵触しないように契約書類等には 「現金化」ができることは一切書かれていないが、 勧誘の際に口頭で説明され 公然の秘密だった。
菅原氏はマルチ商法の会社を渡り歩いて 経験を重ねただけあって、訴訟リスクを避けるための法的知識を身につけていた様だ。

各裁判でジェイコスメが和解案を提示しているが、とても妥協できる条件ではない。
判決が出るまでまだ時間がかかりそうだが、各裁判所がどのような判決を下すか注視していきたい。


平成31年1月13日、ジェイコスメ新年会で 環境大臣として来賓挨拶


■ 消費者問題に関する委員長

さて、本題の原田義昭代議士とジェイコスメの密接な関係についてである。

原田氏と菅原氏の関係がいつからかははっきりしないが、平成29年(2017年)1月16日の 原田氏のブログには、菅原淳司氏のことを「友人」と紹介していることから、少なくともその前の年、平成28年(2016年)には 知り合ったものと思われる。

大阪で開催されたその日のパーティに出席するため、雪が降る中 福岡から新幹線「のぞみ」で往復したと書かれており、親密ぶりが窺える。

被害者の一人は、「ジェイコスメと言えば原田代議士、毎回参加していた。環境大臣の時は、福島の原発の視察に行った後 作業服で会場に駆けつけた。パフォーマンスもいいところ、福島の人に失礼ですよ。その後 キムタクのお母さんらと一緒にダンスを踊っていました。」と話す。

原田氏のブログ

実は、原田氏は 平成28年(2016年) 9月26日に 、マルチ商法被害など消費者問題を所管する 衆議院「消費者問題に関する特別委員​会」の 委員長に就任、衆議院が解散する 同29年(2017年)9月28日まで約1年間務めている。
その頃は ジェイコスメの売上が拡大し、被害者予備軍が急増している時期、菅原氏が消費者問題を所管する委員長に 便宜を図ってもらうために近づいていったということは容易に想像できる。

詐欺師が政治家を利用しようと近づくのは世の常、政治家の方がしっかりと見極めをしていかなければならない。
消費者の利益を擁護するはずの特別委員会、その委員長であれば 尚の事、相手がどのような商売をやっているかどうか、事前に調査した上で パーティに出席するべきだったと思われる。


衆議院ホームページ 会議録より


■ ジェイコスメの顧問弁護士

「消費者問題に関する特別委員会」の原田義昭委員長のジェイコスメ応援はまだ続く。

雑誌「財界にっぽん」の平成29年(2017年)6月号に、菅原淳司氏との対談記事が掲載される。
原田氏は 台湾の李登輝氏の「我是不是我的我(私は私のためにあるのではない。公のために働くように生まれてきた)」という言葉を紹介し、「私も公徳心を大切にしていきたい」と述べ、菅原氏も「ビジネスにおいても、社長は会社のためじゃなくて『公』、つまりお客様をどう満足させるかを考えてビジネスをするということに尽きと思う」と応じている。

お金を払って政治家との対談記事を掲載することで、信頼の度合いを高める思惑があったことは明らかだ。

そして極めつけは、あろうことか 原田氏が ジェイコスメの顧問弁護士を務めていたというのである。
このことは昨年2月、週刊誌が特集記事で、「ジェイコスメから月々50万円の顧問料が支払われている」と報じていた。
平成29年(2017年)9月24日に品川で開催された コンベンションでは、ジェイコスメの今後の事業計画のプレゼンが行われているが、その中で 原田氏は顧問弁護士、衆議院消費者問題に関する特別委員長として紹介されている。

原田氏が、同30年12月1日まで顧問弁護士を務めていたことが ある裁判の中で確認されており、マルチ商法被害を所管する特別委員会の委員長が、マルチ被害を広げた会社の顧問弁護士とあっては 世も末である。


ジェイコスメのコンベンションで示された資料


■ 選挙時に400万円の寄附

前述のように、平成29年(2017年)当時、原田氏は マルチ被害を所管する 衆議院消費者問題に関する特別委員会の委員長を務めていたが、9月28日に衆議院が解散され 10月10日公示で総選挙に突入した。

驚くべきは、平成29年(2017年)分の政治資金収支報告である。
10月11日付で ジェイコスメ・ジャパンから 400万円を 自民党福岡5区の支部で寄附を受けていた。

400万円、寄附として 決して小さい金額ではない。
被害に苦しんでいる多くの会員から集めた金が原資、前述の週刊誌は「詐欺の上前を撥ねた格好の原田前環境大臣」と表現している。

今回 損害賠償を求める裁判を起こしている原告の男性は
「2017年9月、品川であったコンベンションで 原田氏が挨拶をしたのを覚えています。消費者問題の委員長ということで、自民党のお墨付きみたいな印象を受けました。」と語った。

また、地元福岡に住む原告の女性は 「令和元年(2019年)6月に 品川のパーティに行った時、原田環境大臣が挨拶で『ジェイコスメはいい会社です。宜しくお願いします。』と言った。それで信用した。直接会って金返せと言いたい。」と述べた。

平成29年分 政治資金収支報告書


自身の言葉で被害者に説明を

原田氏は、結果としてジェイコスメの広告塔として いいように利用されたが、それは無償というわけではない。

平成28年(2016年)9月、衆議院消費者問題に関する特別委員会の委員長に就任、ジェイコスメの顧問弁護士を務め 月々50万円の顧問料を得ていたという。

同29年(2017年)には 同委員長と顧問弁護士の 肩書で ジェイコスメのパーティやコンベンションに来賓として挨拶、乾杯の音頭を取ったり、経営者向け雑誌で菅原氏と対談記事が掲載されるなどして、ジェイコスメの信用度アップに貢献した。

同年の解散総選挙に合わせて ジェイコスメ菅原氏から400万円の寄附を受けている。
その後、同30年(2018年)9月に環境大臣に就任後も 同社のパーティやコンベンションに来賓として毎回出席を続け、令和元年(2019年)6月のパーティに出席したことが確認されている。

その僅か3カ月後の9月には、 ジェイコスメから会員への支払いが完全にストップ、経営破たんが表面化している。

一連の流れを見ると、法的な責任はともかくも、政治家として道義的責任は免れようもない。
詐欺まがいのマルチ商法の弁護士としての顧問料や政治献金を得て、結果的に被害者を増やすことに加担してしまったことは事実である。

原田氏におかれては、被害者に対し 自身の言葉で事の経緯とその責任について説明し、謝罪する必要があるだろう。
国民を守る政治家として、原田氏がどのような対応をするか注視していきたい。


■ フライデーに抗議の原田氏

原田義昭代議士が 8月13日、自身のFacebookで 「週刊誌の『誹謗中傷と選挙妨害』に厳しく抗議する」という記事を書いている。

原田義昭氏のFacebook記事はこちら

フライデー(講談社)が  8/20・27号で 「原田義昭衆議院議員に”投資詐欺”被害者の怒りが爆発」と報じた内容に対してだ。

現在、その記事は フライデーデジタルでも読むことができる。
集めたカネは400億円超…麻生派現役議員に被害者が怒りの告発!

Facebook で原田氏は、ジェイコスメが破綻したこと、複数の出資者との間で債務不履行・損害の発生等の事件を引き起こしていること、自身が同社と親交を持ち顧問弁護士を務めていたことを認めている。
この点については、「およそ政治家、議員たるもの、企業などの招きのあった会合、催しには喜んで出かけて、その企業への祝辞などを述べることは極く普通であって、私は同社を含めて東京、福岡を中心に何十の企業と関わりを持つ。」と説明している。

また、「それら企業がその後に起こす刑事民事の法的問題に対して、『宣伝塔』になったとして責任を問われることは絶対にない、何らの因果関係がないからである。」と述べている。
更に、記事の内容が「原田氏がジェイコスメの『宣伝塔』となり出資の際の動機となったとして賠償責任があるかの印象づけをしている。選挙妨害のニュアンスが色濃い。」として批判し、法的措置も辞さないとしている。

残念なのは、その文面から 老後資金を失った方、友人関係や親子関係がずたずたになった多くの人々への配慮が微塵も感じられないことだ。
法律の専門家の立場から、「因果関係がないから『宣伝塔』になっても責任がない」と言われるならその通りかもしれない。

だが 取材の中で、福岡県在住の方が「原田大臣がパーティでジェイコスメを良く言ってたので信用した」という証言があったのも事実である。
自身が顧問弁護士を務めていた企業が原因で、生きる希望を失った人たちがいる。
原田氏にとってそれは、取るに足らない出来事なのだろうか。

勝てないから「森友再調査」

自民党総裁選に立候補している野田聖子氏、週刊誌を訴えた裁判で 自身の夫が元暴力団と認定されたという報道に、「夫を信じている、事実無根」と主張するも、この1点だけでも 真相が明らかにならなければ 総理総裁にはなれない。
無論、岸田氏憎しの二階氏に深い考えがあってのことだろうが、なぜ立候補したのか素人には全く分からない。

野田氏が3人の候補者と異なる主張をしているのが、「森友学園問題の再調査」を行うというもの、岸田氏がブレたことで余計に目を引く。

だが、何とか滑り込みで立候補できただけで泡沫と見られており、森友問題の再調査が行われることは まずないだろう。
勝てないと分かっているから 主張していると勘ぐってしまう。

自民党には多種多様な意見があり、党内批判も受け入れる寛容さをアピールできることで、衆院選前の 自民党としては メリットがあると言えるのではなかろうか。

政治信条より勝ち馬に乗ること

衆院選を控える中の総裁選挙、それぞれの政治家の先生方が何をもって総裁を選ぶのかが注目されている。
福岡5区の原田義昭先生は河野太郎氏の支持を表明しており、これまで原田氏を評価してきた保守層、特に日本会議系から批判の声が上がっている様だ。

原田先生は、自身のFacebookで 河野氏を支持する理由を述べてはいるが、苦しい言い訳にしか聞こえない。

原田先生 Facebook 

普段は「反中共」「尖閣列島防御」など威勢の良い言説で 保守層から評価されてきたが、河野氏とは政治信条が全く異なっている。
確かに同じ麻生派所属ではあるが、今回は派閥の拘束はなく、自身が目指す日本の姿に最も近い総裁を選ぶチャンス、原田先生にとってみれば 今回の4候補の中で 最も近いのは 高市早苗氏だろう。

櫻井よしこ氏は、「河野支持に3回生以下の衆院議員が群がっている。自身の政治基盤に自信が持てず、党の顔に人気者を据えて自らの足らざるところを補ってもらおうとの思惑が透けてみえる。」と河野氏を支持している若手議員を厳しく批判している。

原田先生は7回生の大ベテランだが3回生らと変わらない。
党公認を確実にするために 勝ち馬に乗ろうとしていると思われても仕方がないだろう。



 

マスコミも呆れる原田先生

空気を読めないというはこういうことか。

福岡5区の自民現職、原田義昭議員が、10日午後に記者会見を行うとの連絡が、地元テレビ局及び新聞各社に入った。
折しも中央では同じ麻生派所属の河野太郎大臣が、総裁選出馬会見を行おうとする直前、何らかの政局に関する発言、或いは自身の進退かと各社が関心を持ったのは言うまでもない。

そこで原田氏は2点について 報告したという。

1点目は、5区内の自民党県議が4月、「自民党福岡県連5区支部」という実在しない組織名の肩書を用いて文書を配布したとして、二人を福岡地検に刑事告訴しているというもの。
しかし、文書の内容に誤りは無かったということで、記載ミスとして片付けられる程度の話の様だ。
それ以前に、同じ支部内の県議を訴えるという醜態を晒し、支部長の資質を問われるものだ。

2点目は、原田氏の名誉を棄損し 選挙妨害に当たる出所不明の怪文書が出回っているため、刑事告訴したというもの。

「女性の会」という団体が、マルチ商法で全国に被害者を出しているジェイコスメと原田氏について、昨年2月の週刊誌が報じた記事をコピーして、「反社会的詐欺師の片棒を担ぐ原田氏は国会議員に相応しくない」とした内容である。

しかし、記者から「週刊誌に書かれている顧問弁護士を務めていた事と 400万円の寄付を受けたのは事実か」という質問があり、原田氏は「事実だがそれと告訴は別の議論」と答えた。
また、「道義的責任があるのでは」と問われ、「私が広告塔として損害を与えたということは認めないし、責任はない」と ジェイコスメ被害者が聞いたら怒り出すような回答をしている。

約40分間の独演会に 出席者はほとほと呆れ、翌日ニュースにしたマスコミは無かったという。
10月1日に喜寿を迎える原田先生だが、周囲にアドバイスをしてくれる人はいないのだろうか。
何だか可哀そうになってきた。

本当は人材豊富な自民党

実は、自民党の人材は豊富だ。
知事や市長などの首長経験者がゴロゴロいる。
だが、大所帯だけに質問回数も少なく、テレビに映ることは殆どない。
委員会質疑もあまり回って来ず、本会議場での質疑や討論はいつになるやら。

今回の総裁選は、本来「もの」を申したい、こうした 3回生以下の126人が活発に動いており、安倍総理や麻生副総理など派閥の領袖もお手上げの様だ。
党内には「党風一新の会」というグループが誕生、参加者は90名に上り、河野氏を支持する一大勢力になりつつある。
代表世話人に福田達夫氏(54)、3代続けての総理総裁を目指す細田派(清和会)のプリンスだ。
そして驚いたことに、岸田派からも13名が同会に参加しているのだ。

従来の予測では読めない総裁選である。
誰が勝ったとしても、蓄財が上手な人物ではなく、期数に関係なく国民のために仕事をする人財を登用し、内閣や党の運営の活性化を図ってほしいと思う。



 

県連設立、国民民主が躍進するために(後)

立憲と国民が8月に交わした 総選挙に関する覚書では、小選挙区に重複立候補者は出さず互いに候補者を支援するとしているが、当初案にあった「比例選挙は小選挙区候補の政党の運動を原則とする」という項目に、候補者の少ない国民側が反発し削除した経緯がある。

選挙協力の難しさ

福岡県下で、立憲は11選挙区中 7選挙区で候補者を擁立する一方、国民は長崎1区と宮崎2区に擁立する予定で、九州ブロックの比例票の上積みで1議席獲得を目指している。
覚書通りだと、国民は立憲の候補者を応援しながら、比例票の獲得という離れ業を演じなくてはならないが、その難しさは自民と公明の選挙協力で既に証明済みだ。

過去の選挙で、自民候補者の選挙カーやポスターに、「比例は公明へ」と呼びかけてきたが、公明幹部は「自民支持層から全く票が出ていない」と不満を漏らす。
今回の総選挙について 公明は危機感を募らせており、これまで以上に自民候補者への相応の見返りを要求しているという。
それくらい選挙協力というのは難しい。


無党派層の受け皿になるために

国民が立憲の候補者を応援しても、立憲支持層が比例票を国民に投じることは考えられない。
ましてや、立憲候補者が選挙カーやポスターに、「比例は国民へ」と呼びかけることはなく、客観的に見ても選挙協力にメリットはない。

非自民の無党派層はこれまで、民主党、みんなの党、日本維新の会、希望の党と 新しい政党に変革を求め 風を起こしてきた。
現在、日本維新の会は残っているが、最近は所属議員らによる不祥事が頻発、また残念ながら 大阪にしか目が向いておらず、新自由主義路線の政策に対する批判も多い。

国民は 現実的な政策集団として、維新に変わる無党派層の受け皿になる可能性を十分秘めている。
そういった意味において、今回の総選挙の動き方には注意が必要だ。

仮に国民県連が公式に、立憲の候補者に推薦を出せば、結局「立憲も国民も同じ」という 負のイメージが 無党派層に定着することになり、来年の参院選も埋没し、県連設立の意味は無くなるのではなかろうか。

今回の総選挙は、国民の掲げる理念と政策を訴えるチャンス、来年の参院選で躍進を目指すなら、立憲とは一線を画し比例票獲得に向けた広報戦略に専念すべきだ。
そうすれば自ずと支持率も上がり、参加する地方議員も増えるはずだろう。

ー 了 ー

県連設立、国民民主が躍進するために(前)

国民民主党(以下国民)は、来年の参院選比例票獲得と党勢拡大を目指し、今月20日、福岡県連を設立する。
総選挙前のタイミングでの県連設立に 首を傾げる野党関係者が多いが、支持率が低迷する国民にとって 総選挙は、有権者にその存在と理念をアピールする絶好の機会となる。

代表には小林正夫参院議員(比例)が、代表代行に大田京子県議(福岡市南区)、幹事長に泉日出夫北九州市議(小倉南区)が就く予定、他に 守谷正人県議(福岡市城南区)と松田美由紀大野城市議が参加する。
設立メンバーに地方議員が4人とは寂しい出発だが、期待を込めて 今後取るべき路線について考えてみる。

勝敗の鍵を握る国民県連

国民と立憲は8月に選挙協力に関する覚書を締結したものの、国民は立憲、共産、社民、れいわの野党4党との共闘には参加しなかった。
参加しなかった理由は、政策の不一致としているが、支持母体の産別労組(UAゼンセン、自動車総連、電機連合、電力総連など)の共産アレルギーによるものが大きい。

昨年9月の 旧国民と立憲の合流の際、これまで民主党時代から連合の支援を受けてきた旧国民の議員は、合流するか 分党して新たな国民に移るか 相当悩んだ様だ。
立憲が共産と共闘することが分かっており、共産支持者の票を取り込める一方で、産別労組の票や 中道の無党派票を失うリスクがある。
悩んだ末、福岡2区の稲富修二議員と 10区の城井崇議員は、立憲に合流することに決めた。
二人にとっては、これまで通り産別労組の票や 中道の無党派票を繋ぎ止めておけるかどうかが鍵となる。

支持率が低いとは言え、県連を設立した国民が勝敗を左右しかねないポジションにいることで、ここに来て関係者の注目が集まり始めている。

ー 続 く ー

ホラふき大臣

次期総選挙に向けて、各地で自民党の公認争いが続いているが、長崎4区は 福岡5区と 全く同じ構図となっている。

長崎4区では、現職の北村誠吾衆院議員(74)について、複数の支部から交代を求める声が上がり、瀬川光之県議(59)が自民党長崎県連に同区の新たな支部長として選任するよう求めている。

失言で有名な北村氏、2020年9月17日の地方創生大臣引き継ぎ式で、自身の47都道府県の視察達成に触れ、「47回って相当ほら吹いてきましたから。後の始末をよろしくお願いします」と述べた時は 誰もがぶっ飛んだ。
その後、地元で十分な説明をしないまま、総選挙前の8月になって 支援者に陳謝し選挙への協力を求めるなど、対応の悪さが際立っている。

一方の福岡5区、北村氏は失言だけで済んでいるが、マルチ商法の顧問弁護士を務めた上に400万円の寄付を受けている原田義昭前環境大臣の場合は、数多くの消費者に実害が出ているだけに深刻だ。(詳細は下記の特集記事に記載)

北村氏74歳、原田氏は10月1日で77歳、大臣も経験し そろそろ後進に譲ってはという声が多いが、ご本人たちに聞こえているのだろうか。

【 特集記事 】
原田義昭代議士とマルチの密接な関係(8月5日~26日)



 

 

 

女系天皇容認を撤回・河野太郎氏

世論調査で総裁選を一歩リードしている河野太郎氏であるが、過去の女系天皇容認の発言がここにきてクローズアップされ、持論の女系天皇容認を事実上撤回することになった。

昨年8月のインターネット番組で、皇位継承のあり方について「女系天皇も含めて検討する必要がある」との認識を示し、「今は結婚すると女性は皇室から外れるが、女性も皇室の中に残す」と述べていた。

これまで保守層は女系天皇容認に猛反発してきたが、女性の活躍が当たり前になった時代において、女性天皇や女系天皇の考え方はもっともという論調が多くなり、国民の多くは深く考えずどちらでもいいという雰囲気があったのは事実だ。

しかし、小室氏の登場で 一気に流れが変わった。
仮に、眞子内親王殿下が女性宮家の当主となられ、小室氏とご結婚となると、小室氏は「殿下」となる。
お二人の間にお子さまが生まれた場合、皇位継承権を有し、K殿下が天皇の父親になる可能性も出てくる。

今回、眞子内親王殿下は皇室を離れることをお決めになられたが、報道されてきた小室氏のトラブルによって、国民が女系天皇容認の危うさに気づいたのである。

今回 河野氏は、安倍前総理の支持を取り付けるためだけに、女系天皇容認の持論を撤回したのか、小室氏の一件で考え方を変えたのか定かではない。
改革派リーダーとして古い体質を変えてくれることに期待もあるが、女系天皇容認に見られるように、河野氏に日本の未来を託していいのかどうか不安も多い。

喧嘩できない 「いい人」

弊社記事 「本気で喧嘩できるか」では、「お坊ちゃまというイメージが定着している岸田文雄氏に、我が国を任せていいものかとも思う。多くの国民は、相手が二階幹事長だろうが安倍前総理だろうが 喧嘩を吹っ掛け、ねじ伏せるくらいの 猛々しい姿を期待している」と書いた。

8月26日には 二階氏を念頭においた 党役員人事構想をぶち上げ、過去の勝負弱さを払拭させる勢いを演出、更に 2日のテレビ番組で、森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題について、「「国民が納得するまで説明を続ける。これは政府の姿勢としては大事だ」と、安倍前総理に対しても宣戦布告とも取れる発言をするなど、今回は違うという期待感を抱かせた。

ところが、菅総理辞任発表後、改革派のイメージの強い 河野太郎氏が総裁選出馬を表明、岸田氏が打ち出した人事の公約のインパクトが薄れ、次の総裁を尋ねたアンケートでは 1位 河野氏、2位 石破氏、岸田氏は3位となり雲行きが怪しくなってきた。

そこにきて、6日夜のインターネット番組で、森友学園の公文書改ざん問題について、再調査は必要ないとの考えを述べ、この発言に多くの国民がズッコケただろう。

何か底が見えた気がしてならないが、やはり岸田氏は喧嘩できない 「いい人」なのである。

ジンクスは侮れない

魑魅魍魎の住む政界のジンクスに、日本国内のオリンピックイヤーには、時の首相が辞任というものがあるそうだ。
本来ならオリンピック開催は2020年、安倍総理が辞任をしており、ある意味ジンクスは当たっていた、がそれで終わりではなかった。

コロナ失政続きで窮地に追い込まれた菅総理、急ぎ岸田氏の対抗策として打ち出したのが、二階幹事長切りの秘策だった。
総裁選前の党役員人事案と内閣改造案は、自民内部からの反発により潰されたが、その最たるものは 小泉進次郎環境相の官房長官抜擢案とも囁かれている。
いつから小泉氏が 直接総理に進言する立場だったか定かではないが、ここに来て 4日連続で菅総理と面会しており、人事の目玉として説得されていたと思われる。

さすがに日本国政府のスポークスマンを ポエマーに任せることはできないと、党内からブレーキがかかったようだ。(小泉氏もよく内輪の話をペラペラ話したものだ。)

そのような ごく当たり前の判断もできないほど、菅総理は追い込まれ、憔悴していたのではなかろうか。
菅総理は、二階幹事長と安倍前総理から支持を取り付けた辺りまでは 再選を確信していたと思われるが、岸田氏の立候補表明からわずか9日間で辞任に追い込まれた。

本来は2020年、延期されて実際のオリンピックイヤーは2021年、やはりジンクスは侮れなかった。

抜群の政治センスの無さ・石原伸晃氏

菅総理が総裁選不出馬を発表し、政界に激震が走った。
何でも、総裁選はエネルギーを使うため、コロナ対策に専念したいという理由だそうだ。
いろいろと批判もしてきたが、総理にしか わからないご苦労もあったと思う。
まずは、1年間お疲れ様でした。

平時なら 仕事人内閣のリーダーとして、歴史に名を残せたかもしれないが、コロナに始まりコロナに終わった1年だった。
国民は「希望」を求めていたが、総理の暗い表情からは伝わるものは無かった。

ところで、自民党石原派領袖の石原伸晃議員の間の悪さは際立っている。
昨年の総裁選の際、菅氏支持に乗り遅れたのを反省してか、今回はいち早く再選支持をぶち上げた。
ところが、二階派の中から菅総理支持に反発が沸き起こり、細田派と麻生派もまとまらず、結局石原派だけという状況だった。

それが今日になって、菅総理 総裁選不出馬のニュース。
担いだ神輿がいなくなった。
運がないのか、それとも政治センスがゼロなのか分からないが、10名までに減少した派閥議員が更に減らない事を願うばかりだ。

NEXCOと大島産業(48)■ 信用されない経営幹部

中日本は、調査委員会の最終報告を受けて 7月29日、再発防止策を公表した。

内容は、
1.事業計画の策定と執行のプロセスについて
2.組織体制・人材育成について
3.ガバナンスについて
4.コンプライアンスについて

と 問題点に対する調査委員会の提言に、しっかり応えた格好だが 重要な点が抜け落ちている。

それは、コンプライアンス担当役員が人事を掌握している点だ。
今回、本社、支社、事務所、それぞれの部署で、関係した社員が コンプライアンス違反に対し抵抗を試みているが、2020年7月の人事で一部しゅん工を取り計らった者が異例の大出世をした一方、抵抗していた管理職は左遷されており、社員の意欲を削いでいるという。

中日本には倫理行動規範があり、公益通報窓口(コンプラホットライン)も設置されているにも拘わらず、誰も利用しなかったのはコンプライアンス担当役員を信用していないからにほかならない。

本来ならば、社外取締役にコンプライアンス担当として弁護士を招聘するべきで、少なくとも人事とは切り離すことが必要と言えよう。

中日本の社員の中で、経営幹部に対する不信感は根強いという。
どんなにキレイごとで再発防止策を並べても、人事を切り離さない限り 信頼回復は難しいだろう。

ー 続 く ー


抜けなかった伝家の宝刀

並み居るライバルを退け、ようやく手にいれた総理の椅子、誰もができるだけ長く座り、ともすれば歴史に名を残したいと思うだろう。
そして、総理にしか与えられていない解散権という「伝家の宝刀」は、在任中にどうしても行使したい特権という。

安倍前総理は、野党のみならず 与党までが油断した絶妙のタイミングで 宝刀を抜き、その椅子を守り続けてきた。

菅総理の場合、携帯電話料金の引き下げなど分かりやすい政策で、就任直後の 国民の人気が高い時期に、与党から早期解散を求める声があった。
しかし、新型コロナウイルス感染の波が押し寄せたことと、東京オリンピック・パラリンピックの日程により、そのタイミングを逸してしまった。

そして 任期満了が迫り、総裁選前が最後のチャンスだったが、党内から反発が強く諦めざるを得なかった。
菅総理が「伝家の宝刀」を抜いたことを憲政史に刻むためには、総裁選・総選挙を 何が何でも勝ち抜き、第100代内閣総理大臣に指名されなければならないが、風向きが怪しくなってきた面も垣間見え、なりふり構わぬ人事が行われるようだ。



 

NEXCOと大島産業(47)■ 国会議員の介入

元国交副大臣、自民党の建設族の国会議員が直接の問い合わせをしたとなれば、圧力以外何ものでもない。
現在は農水副大臣を務める 宮内秀樹議員である。

NEXCO中日本と大島産業、民間企業同士のトラブルに国会議員が介入したことが あり得ないことだ。
しかも、NEXCO各社は国交省に対して立場が弱いという。
それを分かった上で、敢えて国交省を通して問い合わせ、中日本の社員を議員会館に呼び出している点に 意図が感じられる。
パワハラの訴えがあった場合、国会議員であれば 弁護士を通じての問い合わせを勧めるべきで、私企業の営業のために 国家公務員を利用したことになる。

また、協議において 「適正利潤」や「設計変更」といった中日本の社員のメモからすると、契約金額の増額につて圧力をかけたことが窺われ、事実であれば問題だろう。

大島がネクスコの耐震補強工事に乗り出したのは、宮内氏が大島の役員に 「耐震補強工事は儲かるから」と勧めたのが始まりとの工事関係者からの証言もある。
その後本件工事を低入札で受注できたが、当初より施工能力に問題があり契約解除もあり得たが、2019年9月のパワハラ騒動に宮内氏が介入したことで、大島は工事を継続、中日本の職員を委縮させ管理が不十分になったことが 鉄筋不足・鉄筋切断等に繋がった。

更に、宮内氏が直接設計変更にも言及してから、大島は工期の延長と工事費増額の要求を強めるようになり、通常では考えられない増額と工期延長に至っている。
これらは、中日本のガバナンスの問題と片づけるわけにはいかないだろう。

第三者委員会の調査報告書では、国会議員の関与も明らかになっていることから、現職の閣僚でもある宮内氏におかれては、一連の関わりについて丁寧な説明が求められている。

ー 続 く ー

 

大島産業に指名停止

9月1日、九州地方整備局は、㈱大島産業(福岡県宗像市冨地原1791-1)に令和3年9月1日から 同10月12日までの6週間、同局発注の一般競争入札の指名停止を実施すると発表した。

http://www.qsr.mlit.go.jp/site_files/file/n-kisyahappyou/r3/21090101.pdf

同社が下記2つの工事で 「虚偽の施工体系図等を作成した」ことは、建設業法第28条第1項第2号に該当するとして、監督官庁である福岡県より 10日間の営業停止処分となったことを受けてのもの。

  1. 中央自動車道天神橋他6橋耐震補強工事(中日本高速道路㈱発注)
  2. 九州自動車道久留米高速道路事務所管内南部地区橋梁耐震補強工事(西日本高速道路㈱発注)
尚、西日本高速道路㈱も 9月1日から10週間の 入札参加資格を停止することを発表した。

https://corp.w-nexco.co.jp/procurement/contest/banlist/pdfs/r3/0901/01.pdf



 

NEXCOと大島産業(46)■ 責任を押し付けられた支社長

一方のNEXCO中日本、第三者委員会の調査では、要求しても出ない書類や 関係者間で主張に齟齬が見られる点があり、嘘や隠蔽がまかり通り真相は明らかになっていない。

今回の工事では、2020年3月に約2億6000万円分の一部しゅん工が、そして 計5回の契約変更で 372日の工期延長と 約7億2000万円の増額が行われたが、いずれも未提出の書類がある中での承認で、社内規約に違反しており、それを指示した者、認識しながら実行に携わった者は、程度の差はあれ背任の疑いがある。

調査報告書によると 全ての指示、責任が八王子支社長にあるような印象を受ける。
本来事務所をチェックすべき支社が、大島の意のままに動き、最後の契約変更では、支社が本社の工務部門の決定を覆し 大島の意に沿った増額を認めている。
これまで本社の工務部門の決定が 支社に覆されたという前例はなく、内規に反していることが判っている中で、支社長個人が それだけの決定を下せるかというと疑問だ。
当然、
相応の後ろ盾、つまり 上層部の了承があったと考えるのが自然である。

社内調査と第三者委員会の調査で 戦犯確定的となった支社長は、次の人事で本社異動が決まっていたが 6月中に辞職願を出し退職したという。
現在は、東京支社内にある子会社のアドバイザーとして再雇用され、事実上の蟄居状態という噂だが、社内では同情する声も多い様だ。

また、1年前に契約変更のミッションを受けて送り込まれてきた八王子支社の担当部長、担当課長、事務所の所長らは7月5日から始まる会計検査前の 7月1日付の人事異動で、 グループ会社に2年間の出向となった。
会計検査では、何も知らない後任の部課長らが曖昧な答えに終始したという話も漏れ聞こえてきたが、このまま会計検査院も舐められたまま終わりにするとは思えない。

中日本経営陣は今回の件について、自身のわずかな減給と 関係者の降格人事、そして 再発防止策の発表により、全てを終わらせるつもりの様だ。
「嘘や隠蔽がまかり通り、最後は社員を犠牲にする素晴らしい企業」と 皮肉る声が聞こえて来た。

ー 続 く ー

二階幹事長交代の裏は

総裁選に向けて、様々な動きが出てきた。
立候補の意向を示していた下村博文氏政調会長が、官邸で菅義偉首相と会談後、出馬を取り止めることを発表した。
首相から出馬を見送るか、政調会長を辞任するかを迫られとのことだが、文科大臣時のベネッセの件で一喝されたとも囁かれている。

一方で、二階幹事長が菅総理大臣と会談した際、自らの幹事長交代を容認する考えを伝えたというニュースだが、これまでの傍若無人ぶりから 俄かに信じがたい話だ。
岸田氏が二階氏の長期幹事長在任を念頭に、「役員1年交代・最長3年」を声高に叫んだことで、世間の注目が集まっていることは確かだ。
自身の言動が 自民党への信頼を落としていることを悟ったというわけではなく、何か代わりに条件を引き出したのではと つい考えてしまう。

御年82歳、幹事長職を辞するとすれば 政界引退に現実味が出てくる。
三男が後継と言われているが、和歌山3区へ参議院議員の世耕弘成幹事長が鞍替えを狙っているという話もあり、その辺りで 調整したか。
それとも二階派所属議員に、次の閣僚や党役員の要職を充てる人事の確約があったか。

NEXCOと大島産業(45)■ 今後の処分と複雑な資金の流れ

まず大島には、建設業の監督官庁である福岡県が法令に基づき何らかの処分を下すと思われるが、提出書類の虚偽記載など常習的に行っていたようだが、せいぜい指名停止数ヵ月程度で、建設業許可の取り消しとまではいかないだろう。
しかし、会社法や税法上の疑義は残る。

今回関わりのある数社についても同様だ。
今回の工事で、施工体系上は一次下請として ㈱ダイコウという会社から 二次下請の業者に支払いが行われる流れになっているが、実際は 大島と同住所の㈲エイチ・ワイ・ディから塚本不動産㈱(塚本總業㈱)、塚本から A社、そして その下の業者に支払われる流れになっていたという。
エイチ・ワイ・ディと塚本は、実際の施工に技術者を派遣していないペーパーだけの関わりだった様だ。

今回、大島、エイチ・ワイ・ディ、塚本不動産の工事経歴書を見比べてみた。
塚本不動産の令和2年3月期の工事経歴では、本件工事をエイチ・ワイ・デから 5億0864万2000円で下請をしたことになっているが、なぜか同時期のエイチ・ワイ・ディの工事経歴に本件工事は記載されていない。

また、令和2年3月末時点で、中日本が 中央自動車道の工事で 大島に支払った金額は、最大でも4億5000万円程度(前渡金+一部しゅん工費)と考えられる。
塚本不動産が、中日本から大島に渡った額を超えて、5億円の売上を立てているのは不自然だ。
更に、下請が実際に契約し 支払いを受けていたのは塚本不動産ではなく、 塚本總業という証言もある。

詳細は闇の中だが、実際のお金の流れを複雑不透明にしているところから、資金洗浄を疑う声も出ている。

― 続く ―

ひょっとすれば

大手新聞社の世論調査で、「自民党の総裁にふさわしい政治家」を聞いたところ、石破氏13%、河野氏11%、菅総理と岸田氏が10%、高市氏3%という結果だったという。
ちなみに下村氏は1%にも満たない不人気ぶりである。

このうち、河野氏は不出馬決定、石破氏は態度を決めておらず、トップ2人が出ない場合は、菅総理と岸田氏の争いになるような印象を受ける。
だが、高市氏が推薦人を20人集められたとすれば、党員票の行方次第で面白い戦いになるかもしれない。

候補者が3人以上いた場合、1回目の投票で1位が有効投票の過半数に届かなければ上位2人の決選投票になる。
菅総理が1位でも過半数を取れないことが十分考えられ、その場合は菅総理にノーの岸田氏と高市氏の合計票が上回ったことになる。

もし高市氏が岸田氏を上回ったとしたら、菅総理と高市氏の決選投票だ。
菅総理ノーの合計票がそのまま入れば、あるぞ、高市氏。

まだ候補者が出揃ったわけではないが、想像が膨んでくる。

 

NEXCOと大島産業(44)■ 7億円増額直後の大どんでん返し

契約変更の協議が大詰めとなる9月30日、大島から中日本の事務所の担当課長に、交通保安要員の新単価処理を要望する電話が入り、「下請業者からの見積りで支払うことを支社長と約束している」との発言がある。
しかし、同課長と八王子支社の関係課による打ち合わせで、新単価は認めない旨が確認された。

ところがその直後、八王子支社の担当課長から事務所の副所長に「部長の意向により新単価で見てほしい。支社が責任を持つ。」という電話があり、支社担当部長、構造技術課長、事務所長、副所長の打ち合わせで、支社の指示に従うことになった。

10月12日、設計変更に疑問を感じた 支社の他部門の社員から、支社長に対し疑義がある旨進言がなされたが検討されなかったという。
まともな社員を 上司が抑えこんだということだろう。

その後、交通保安要員を含む全ての単価について大島との間で合意し、10月23日に 13億2910万1664円(+7億2667万7664円)で契約が変更された。
大島としては、16億円には届かなかったが  7億円の増額に成功して、美酒に酔いしれたと思われる。

しかし、想定外の大どんでん返しが起こる。
実は、9月24日に 緑橋の橋台部に ひび割れが見つかっていた。
その後、下請業者から鉄筋不足の疑いがあるとの告発があり、中日本は騒然となった。

10月26日に 中日本は大島にひび割れの調査を指示、28日に中日本が緑橋の橋台を検査したところ、鉄筋が入っていないことが確認され、全ての関係者の背筋が凍り付いたことだろう。

更に文春が「『鉄筋不足で崩落の恐れ』中央自動車道の手抜き工事を下請け会社が実名告発」と報じ、大島の名前が全国に知れ渡ることになった。
その後、中日本は大島との 同耐震補強工事契約を11月20日に解除するに至った。

以上が 報告書や取材を通じて分かった、施工不良判明までの流れである。

今回の施工不良は、大島の技術不足、経験不足に 無理な低入札による契約など、大島そのものに主因があるのは勿論だが、民間同士の工事に、国会議員と国交省の介入があったことが大きい。
それを機に、中日本上層部が政治忖度をしたことにより、大島に中日本の事務所が翻弄され、現場に目が届かなくなったことで 起こってしまった。

また、内規に違反して認められた7億円の増額は、国会議員による圧力がきっかけとなり、それに応じた経営幹部、忖度した支社長他、関係部課長らが関係していることははっきりしている。
報告書の中には、法令違反が疑われるケースが幾つも見られることから、このまま終わるということにはならないだろう。

ー 続 く ー

勝ち目が出てきたから挑戦?

自民党の石破茂元幹事長は、20日のテレビ番組で、「(菅義偉首相ら)みんなが一致して向かっている時に『私がやります』とは、その気があろうがなかろうが口の端に乗せるべきではない」と述べ、首相の再選を支持する考えを示していた。

妙な理屈をこねるなと思っていたが、27日には、「告示(9月17日)前日まで考えないといけない。出るにせよ出ないにせよ、まだ時間はある」と 出馬に含みを持たせる発言をしている。

二階派の中から菅総理支持に反発する声が出ていることが報じられたことも一因だろうが、26日に岸田文雄前政務調査会長が出馬を宣言し、その政策がこれまでの自民の体質を打ち破るものとして注目されたことが大きいと思われる。
これまで歯に衣着せぬ政権批判で支持を集めてきただけに、岸田氏にお株を奪われないように手を挙げてくるか。

だが、昨年の総裁選で敗れた後、派閥の会長を辞任、戦国時代なら切腹したようなものだ。
1週間前に敵の大将に付く考えを示しておきながら、勝ち目が出てきたから挑戦というのはカッコいいものではない。



 

NEXCOと大島産業(43)■ 肝煎り人事のミッション

2020年7月の人事異動では、八王子支社の部長、構造技術課長、事務所長に 議員会館に行って説明をした者や増田副社長の側近が配置され、副社長との連絡係(本社保全企画部長)に 同じく議員会館に説明に行った者が就いた。

この肝煎り人事のミッションは、大島との最後の精算をスムーズに行うことである。
コンプライアンスの厳しい(はずの)会社にあって、どの社員も好んだ役回りではなかったと思われるが、結果的にミッションをやり遂げており、相応の責任はあると言えよう。

8月6日、大島から事務所の担当課長に電話があり、当初契約額 6億円にプラス10億円、最終金額は 約16億円という希望が伝えられる。
同課長は八王子支社の関係課の打ち合わせで、中日本の基準で積算して せいぜい 約8.1億円(+2.1億円)、大島の見積りを最大限考慮しても 約11.5億円(+5.1億円)という試算を共有している。

8月21日には、八王子支社部長から工期を2カ月程度延長し、設計変更の準備を進める旨の説明がなされ、支社長からは 「丁寧な対応を心掛けること、書類作成には無理な注文をしないこと、60日間の工期延長で打ち合わせること、資料を修正すること」等、大島寄りの指示があった。

変更金額については、大島から16億円という伝達があったが、積算では約12億円で大島が求める額に達しない旨が報告されている。
内部では 「12億円でも多いのに 16億円は調子に乗り過ぎ」という思いはあった様だ。

ー 続 く ー

本気で喧嘩できるか

来月17日告示 29日投開票と決まった自民党総裁選であるが、これほど国民の心が離れているにも拘わらず、派閥のリーダーは 相次いで菅総理支持を表明している。
そうした中で唯一、宏池会の岸田文雄前政務調査会長が26日、「国民の声に耳を澄まし、政治生命をかけて新しい政治の選択肢を示す」と述べ 立候補を表明した。

昨年は、安倍前総理からの禅譲の思惑が外れ、総裁選に出馬するも大差で菅氏に敗れた。
そしてこの1年は散々だった。
特に、4月の参議院広島選挙区再選挙では、河井議員夫妻逮捕の影響で 宏池会が全面支援した自民候補が敗れ、衆院広島3区に公明党に先手を打たれ自民候補を擁立できなかった。
7月には派閥のパーティで秘書ら 5人がコロナ感染と報じられる。
勝負弱さに加え、ツキのなさを感じてしまうのだ。

次期衆院選で、林芳正元文部科学相が勝ち上がれば 宏池会の総理候補になるのは確実、これがラストチャンスになるかもしれない。

今回、「菅総理にノー」という票の受皿になれるかが鍵だが、お坊ちゃまというイメージが定着している岸田氏に、我が国を任せていいものかとも思う。
多くの国民は、相手が二階幹事長だろうが安倍前総理だろうが 喧嘩を吹っ掛け、ねじ伏せるくらいの 猛々しい姿を期待しているのだが。

NEXCOと大島産業(42)■ 議員に恥をかかせるな、払ってやれ

2020年3月、大島には追い風が吹き まさに絶好調、契約金額の増額と一部しゅん工が実現することになる。
その経緯はこうだ。

2019年10月以降、中日本はじめ、NEXCO東日本、西日本、国交省、福岡県、政治家のところに告発文が数回にわたり届けられる。

告発文 → こちらをClick 

送り主は不明だが大島の下請業者で、虚偽の施工体系の違法性、代金の未払い、下請虐めの実態を訴えるものだった。

2020年1月、福岡県が実態の調査を行いヒアリングをした際、未払いの理由を問われた大島は「中日本が支払ってくれないから」と事実に反する回答をしている。
中日本では複数年契約の工事では部分払いをすることが約束されているが、工事の進捗が上がらなかったため、大島自身が 可能な部分払い請求を辞退して申請しなかったというのが実際のところだ。
結局、大島の事実に反する回答がそのまま中日本幹部に伝わり、増田副社長が「議員に恥をかかせるな。払ってやれ。」と述べたという。

その発言で中日本の社内の空気は一変し、ガバナンスが効かなくなった。
八王子支社構造技術課の主導で、3月6日には契約変更で金額を 7億3675万0159円(+1億3432万6159円増額)、工期を 2020年7月10日まで延長(+121日)することに、更に、大島の求めに応じ一部しゅん工検査(2億6391万8711円分)を実施、中日本内部では未提出の書類が多いことから抵抗があったが、最終的に大島の言い値に添う形で新単価が決定され、承認することとなった。

まさに、この点は 中日本が犯した背任行為で、真相究明が必要な一つのポイントと言える。
そして7月の人事異動で、増田副社長に近い者が 八王子支社に送り込まれてきた。

ー 続 く ー

フライデー「ジェイコスメ記事」に抗議の原田代議士

原田義昭代議士が 8月13日、自身のFacebookで 「週刊誌の『誹謗中傷と選挙妨害』に厳しく抗議する」という記事を書いている。

原田義昭氏のFacebook記事はこちら

フライデー(講談社)が  8/20・27号で 「原田義昭衆議院議員に”投資詐欺”被害者の怒りが爆発」と報じた内容に対してだ。

現在、その記事は フライデーデジタルでも読むことができる。
集めたカネは400億円超…麻生派現役議員に被害者が怒りの告発!

Facebook で原田氏は、ジェイコスメが破綻したこと、複数の出資者との間で債務不履行・損害の発生等の事件を引き起こしていること、自身が同社と親交を持ち顧問弁護士を務めていたことを認めている。
この点については、「およそ政治家、議員たるもの、企業などの招きのあった会合、催しには喜んで出かけて、その企業への祝辞などを述べることは極く普通であって、私は同社を含めて東京、福岡を中心に何十の企業と関わりを持つ。」と説明している。

また、「それら企業がその後に起こす刑事民事の法的問題に対して、『宣伝塔』になったとして責任を問われることは絶対にない、何らの因果関係がないからである。」と述べている。
更に、記事の内容が「原田氏がジェイコスメの『宣伝塔』となり出資の際の動機となったとして賠償責任があるかの印象づけをしている。選挙妨害のニュアンスが色濃い。」として批判し、法的措置も辞さないとしている。

残念なのは、その文面から 老後資金を失った方、友人関係や親子関係がずたずたになった多くの人々への配慮が微塵も感じられないことだ。
法律の専門家の立場から、「因果関係がないから『宣伝塔』になっても責任がない」と言われるならその通りかもしれない。

だが 取材の中で、福岡県在住の方が「原田大臣がパーティでジェイコスメを良く言ってたので信用した」という証言があったのも事実である。
自身が顧問弁護士を務めていた企業が原因で、生きる希望を失った人たちがいる。
原田氏にとってそれは、取るに足らない出来事なのだろうか。

NEXCOと大島産業(41)■ 起こるべくして起こった施工不良

国会議員を使ったパワハラ騒動の後、標識工事の現場代理人としてK氏が就くことになり、大島としては目的を達成したと言える。

一方で、下請業者からは工事費の不払い等で大島への不満が大きくなり、もう限界にきていた。
実質的な一次下請 A社が9月で撤退を表明、施工に携わっていた下請27社のうち14社が 2019年12月までにいなくなり、現場作業員がいない空白期間があるという前代未聞の事態となる。



業者からの告発で、中日本の事務所は 「施工体制の偽装」や「下請への不払い」の事実を掴んでおり、大島との契約解除も考えたが、既に国会議員の登場で政治案件化していたため出来なかった。

今回問題となっている鉄筋不足、鉄筋切断の工事が施されたのはこの直後だ。
大島からの度重なる中日本の担当者へのクレーム、威圧的な態度に、両者の関係は悪化して、中日本は立会検査の人間も一定せず、大島の施工に目が行き届かなくなっていた。

下請業者に逃げ出された大島が、「金は払う、とにかく何人でもいい」と躍起になって代わりの下請業者を見つけ出したのが 12月、施工体系図を更新(相変わらず虚偽の書類)して提出するも、集められた労働者は専門性を要する耐震工事に精通していなかった。

鉄筋不足が判明した緑橋の橋台においては、鉄筋組立・鉄筋検査が工程表に記載されておらず、鉄筋がないまま 2020年1月にコンクリートを打設している。



下請の話では、現場に立ち会った大島側の担当社員は 図面が分からない素人で、言われるがままに立っていただけという。
実質は大島の監理技術者が工程管理をしていたが、電話による作業管理で 最後の鉄筋配置が必要なことに気づかず、次の工程を指示したようだ。
この点について、大島は 下請が勝手にやったと反論している。

また、絵堂橋の施工では、2月に行われた鉄筋の組み立て時に、鉄筋どうしが干渉したため故意に切断しているが、工期に間に合わせることを優先した大島の現場代理人が指示したとの証言が得られている。
耐震補強工事において、鉄筋を故意に切断するという 常識では考えられない工事が行われていたのだ。



こうした中でも、なぜかしら大島に「追い風」が吹いてきたのである。

ー 続 く ー

どうなる、北九州市

8月24日、工藤会トップ総裁 野村悟総裁(74)に対し、福岡地裁 足立勉裁判長は死刑判決を下した。

市民を襲撃した4つの事件の直接関与が争点であったが、88人の証人尋問や間接的な証拠の積み上げで、組織犯罪の首謀者として認めた判決内容だったが、被告側は到底納得しておらず、今後も高裁・最高裁まで裁判は続くと思われる。

工藤会は最盛時には 組員800人と言われたこともあったが、現在は 200人前後にまで減少した。
それを補っているのが 組織に属さない 元暴や 反グレと呼ばれる者たちで、直接的な関係は結ばず、案件ごとにアウトソーシングの形態をとっており、県警も詳細にはそれらの実態を把握しきれていないという。

これまで裏社会の秩序は、暴力団よって保たれてきたと言えるが、今後は 表社会から はみ出した人達が 合法・非合法を含め 様々な形で 生業を得ていくことが考えられる。
工藤会の姿が見えなくなったとしても、企業はもちろん 個人においても十分用心することだ。

NEXCOと大島産業(40)■ 国会議員を使ったパワハラ騒動

大島産業は、辞めた現場代理人F氏の穴埋めに K氏を復活させようと考えたが、K氏が2月の改善措置請求の対象となった当事者だったため、中日本の事務所が了承しない事は予見できた。

下請業者が大島の社員から聞いた話によると、ロッキング橋脚の耐震補強工事に応札するにあたり、建設族の地元国会議員に儲かるかどうか相談し、2018年に西日本と中日本の工事を各1件ずつ受注したという。
そこで 大島は、再度 国会議員の力を借りて、中日本に優位に立てる術を思い付いたようだ。

まず、日頃進捗を督促してくる中日本の施工管理員のメールの言葉の過ぎた部分を切り取りパワハラに該当するとして騒ぎにする。
それを収める交換条件が、K氏を現場代理人に復帰させ、今後の精算交渉を有利にすることである。

報告書では「施工管理員のメールの文面の中に、現場代理人を揶揄し個人攻撃ともとられかねない不適切な文言が確認された」と指摘されており、大島に攻撃材料を与えてしまったのは事実だろう。
最終的に、施工管理員は交代することになったが、その経過は次の通りである。



以上だが、国会議員が干渉してきたことで、事実確認が十分になされないまま政治案件化することを避けるため、支社長が施工管理員を交代させるよう指示している。
更に、担当課長のメモでは、国会議員が 「適正利潤」や「設計変更」についても言及しており、コンプライアンス違反が疑われる内容だ。

下図は報告書にあった「受注者側の配置技術者数と施工箇所数」というグラフだ。
2019年8月から9月にかけて 技術者数が少なくなっているが、まさにこの時期、パワハラ騒動が起こっている。

この国会議員・国交省課⻑との面会を機に、中日本の社内で「大島は政治案件、国交省から迂回天下りした副社長もコミットしている」という認識が共有された。
一方で大島は中日本の事務所に対し 要求を強くしていった。

ー 続 く ー