地域福祉の支え手に 見直される老人クラブ [2010年12月9日12:23更新]

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(10年11月号掲載)

高齢者見守りの計画を相談する老人クラブのメンバー年々進む高齢社会。全国の65歳以上の人口は、今年の敬老の日を前にした9月15日現在の推計で約2944万人と過去最高。総人口約1億2700万人に占める割合も23.1%と史上初めて23%を超えた。

増加速度も速く、高齢者人口はこの20年で1.97倍と約2倍に達する勢いだ。 

平均寿命が伸び、長く生きるお年寄りが増えたわけで、本来は慶賀すべき事だが、その一方で「消えた高齢者」や「孤独死」など高齢者にまつわる深刻な問題が次々に起こっているのも現実。

さまざまな施策が行われていながら、その網の目からこぼれ落ちる高齢者が数多くいる実態をうかがわせる。 



 

こうした中で、もっと注目されてもいいと思われるのが「老人クラブ」だ。

老人クラブは戦後間もない1947年に千葉県で結成されたのを皮切りに全国に広がった、おおむね60歳以上の高齢者を会員とする団体である。

1963年に制定された「老人福祉法」で、高齢者の社会参加・生きがい対策の推進組織として位置付けられ、公的補助も行われている。 

旅行などの親睦やゲートボールなどの健康づくりで順調に組織を拡大した老人クラブだが、2000年前後を境にクラブ数も組織人員も減少傾向をたどり始めた。ピークの1997年度の約13万4300クラブ、会員数約887万人に対し、2009年3月末現在で11万9564クラブ、約738万8307人と14%以上も減った。 

減少の理由は多々ある。年金受給年齢が引き上げられたり、経済状況の悪化で働かなければならない高齢者が増えたこと。60歳を過ぎても元気な人が多く、自分を老人だと思わない人が増えたこと。趣味のサークルや旅行などそれぞれ独自の楽しみを見つけることが普通になり、老人クラブという組織に集まる意義を見いだせなくなったこと─などだ。  

 

そんな老人クラブの存在意義が今、少しずつ変わりつつある。

親睦や健康づくりは今でも活動の大きな重点だが、近年、多くの老人クラブが力を入れているのが社会貢献活動だ。

その中心が「友愛訪問」。単位老人クラブの中に友愛訪問班をつくり地域で見守りが必要な高齢者1人1人に担当を設けて、継続的に活動を行っている。 

福岡市老人クラブ連合会の場合、全930クラブ(5万1116人)の95.1%に友愛訪問班(884班)が組織され、4404人の訪問員が6814人の寝たきりの人や一人暮らしの高齢者、夫婦らを見守っている。 

福岡市中央区で単位老人クラブの代表を務めるKさん(65)は「私の老人クラブでは5人が班を作り、町内会役員や民生委員、福岡市の地域包括支援センターなどと連携して、8人の方を見守っています。

もちろんそれだけではなく、校区の健康ウォーキングやふれあいサロンに高齢者を連れ出して、できるだけ孤立を防いでいます」と語る。 

高齢社会の深化の中で、老人クラブに新たなスポットを当てる時期が来たのではなかろうか。

【問い合わせ先】 
福岡市老人クラブ連合会 ℡092-713-1340