「まず移転ありきだ」住民反発(1)みやま市の民間病院移転計画で [2010年12月24日11:58更新]

タグで検索→ |

noimage

(10年11月号掲載)

民間病院の移転先として浮上しているみやま市高田支所旧山門郡の瀬高町・山川町と旧三池郡高田町が合併して発足したみやま市(西原親市長)で、民間病院の移転計画をめぐり一部住民から反発の声が上がっている。

この病院は同市高田支所(旧高田町役場、写真)敷地内への移転を希望しているというのだが、同支所では現在も業務が行われており、病院を建てるとなれば行政機能を別の場所に移すなどの措置が必要。

ところがこういった点はまったく検討されないまま、「まず移転ありき」で話が進められていると言うほかない状況だからだ。

「市長の独断だ」「裏で病院や建設業者などと結託しているのでは」。納得できない住民の間では、西原市長の手法に対して不満が募っている。



降って湧いた病院移転構想  

関係者の話を総合すると、みやま市唯一の一般病院、医療法人弘恵会「ヨコクラ病院」(同市高田町濃施、199床)が西原市長宛に要望書を送ったのは昨年10月のこと。

病院を移転新築し、最新の医療機器の導入による診断・救急医療を提供をしたいとして、同病院から約200mの場所にある高田支所の敷地(約1万4800平方メートル)を新病院建設用地として検討するよう求める内容だった。 

そのため同市では今年1月21日、市議4人と地元区長、学識経験者や医師、弁護士など計20人で構成する高田支所用地活用検討委員会を開催。市側からは同病院からの要望書のほか、西原市長が病院長と話し合った結果として

①病院敷地(約5800平方メートル)と支所用地を等価交換する

②支所用地全体を有償で貸すこともありえる

③支所新築経費についてはヨコクラ病院側は財政支援が可能としている

─との提案がなされた。

支所業務の処遇 まったく触れず  

仮に敷地全部を新病院用地とするならば、高田支所は別の場所へ移すか、廃止して現在の業務を他に統合するなどの対応が必要になる。

だが諮問内容にはこの点はまったく触れられておらず、一部の委員から「これでは病院移転の話を審議することはできない」との声が上がったという。 

委員会では「将来の街づくりを視野に入れ、市で策定した総合計画や行政大綱などに基づき、高田支所の今後のあり方を考えるのが先。その上で病院の件を審議するべきだ」と提言、市側はこれを了承した。 

2回目の検討委員会(同2月)で市側は「高田庁舎で行っている事務事業は継続する」とした上で「庁舎以外の土地約6700平方メートルを病院側に有償で貸す」との考えを伝えたが、前回出された要求はまったく盛り込まれなかった。

みやま市側はこの内容を3回目(同3月)で再諮問。審議の結果、検討委員会は市の方針を妥当と認めた。

病院からあらためて嘆願書が 

多くの問題をはらみながらも、とにかく、いったんは決着したかに見えたヨコクラ病院移転計画。ところが、今年9月、同病院側から嘆願書が出されたのだ。

嘆願書は、「庁舎を残したまま他の敷地を有償で貸すという案ではなく、敷地全体を提供してほしい」「できれば最初から購入、あるいは病院所有地との等価交換が望ましい」とする内容。

その上で「将来も庁舎を存続させるのであれば当該地への移転を断念せざるをえない」と書かれている。

(続く)