柳川市議会で新会派立ち上げ(1)議長選 ドタバタ劇の舞台裏 [2010年12月20日12:49更新]

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(10年11月号掲載)

柳川市議会の様子10月の選挙を経て新たなスタートを切った柳川市議会で、大きな動きがあった。「今の議会はどうしようもない。本来あるべき議会・議員の役割を取り戻そう」と、与党会派の約半数に当たる6議員が、新しい会派を立ち上げたのだ。

同市議選では、暴力事件を起こして辞任した元議長がトップ当選(10月号既報)。元議長は同月末に行われた議長選で復帰を狙っていたとされるが、与党会派が割れたことで頓挫。早くも「新会派効果」が現れている。

07年以降、柳川市政の問題を取り上げつつ、議会についても批判してきた本紙としては、新会派立ち上げを歓迎するとともに、今後の活動に大いに期待したいところである。



あっけに取られた議長選当選者  

「選挙結果が出た瞬間、あっけに取られていた。まさか自分が議長になるとはまったく予想していなかったようです」。ある柳川市議はこう言って苦笑する。 

10月3日に改選された柳川市議会で、新たな議長が選出されたのは同25日。3人が立候補し、投票で公明党の古賀澄雄議員が選ばれた。ところが結果が出た直後、古賀氏はいったん休憩を申し入れ、県議など同党関係者に連絡を取ったところ「辞退すべき」との指示があったという。

そのため関係者の意向を尊重したい古賀氏と、議長就任を求める周囲との間で話し合いが持たれ、5時間半後、やっと就任の挨拶が行われた。  

立候補した者が選ばれた途端に固辞するという異例の事態。議長職をめぐって展開されたドタバタ劇の背景にあるのは何か。

ある地元メディア記者は「与党会派が割れてしまい、新会派が立ち上げられたこと。これに尽きる」と指摘する。 

トップ当選の田中氏 議長職復帰に意欲!?

同市議会では09年1月、田中雅美議長(当時)が自宅の酒席で知人に暴力をふるったことが発覚。直後にはその場に同席していた暴力団関係者を狙った銃撃事件が発生、田中氏は議員辞職に追い込まれた。 

だが田中氏は「みそぎはすんだ」として10月の市議選に出馬、約3000票を獲得しトップ当選。議長職への復帰に意欲的とされ、関係者の注目を集めていた。 

柳川市では05年、合併に伴う市長選で旧大和町長の石田宝蔵氏が当選。だがP社化粧品跡地問題など数々の疑惑が浮上して議会と対立した上、石田市長を批判した一部市民が刑事告訴されるなど市政は混乱。田中氏をはじめ反石田派の議員は昨年の市長選で金子健次氏(現市長)を支援した。 

改選直後の議会(定数24)の構成は

(1)与党会派(反・石田宝蔵前市長派) 13
(2)柳志会(前市長派) 7
(3)公明 2  (4)共産 1  (5)中立 1

-というもの。田中氏は過半数を占める与党会派の中心的存在であり、もし議長に名乗りを上げていれば問題なく選ばれるはずだった。

「ところが直前になって6人が袂を分かち、新会派を立ち上げたのです」(前出地元記者)。 

このため与党会派は7人となり、対抗勢力の柳志会と並ぶことに。少数派の動向によっては数的不利となる恐れも出てきた。

何とか自分の会派で議長ポストを抑えたい田中氏は古賀氏の名前を書くことを条件に公明の2人を取り込んだ。この辺りの事情が古賀氏本人にうまく伝わらず、冒頭のドタバタ劇を招いたのだった。 

(続く)