福岡市長選 総括(2)素人目線の政治 前途多難 [2010年12月7日13:23更新]

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(10年11月号掲載)

当選確実を決め、インタビューに答える高島氏さて、新市長となった高島宗一郎氏(写真)だが、選挙戦を通じて訴えた「素人目線の政治」実現への前途は多難─こう指摘せざるをえない。

ことあるごとに「自治体の発信力」を強調してきた高島氏。しかしマニフェスト討論会では政策内容そっちのけで発信力を連呼する同氏に場内から失笑が。

また10月に放送されたRKBの討論番組では、大学生から「発信力より中身の方が重要」と指摘され苦笑。あるマスコミ記者は「彼の話も公約も、美辞麗句ばかりで中身はカラッポ」と苦笑する。

これまでのままでは支援を受けた保守系議員、そして「手練れ」の市役所職員らに丸め込まれてしまうだろう。 



 

また、植木氏の撤退問題が象徴する自民党の古い政治体質も足かせになる可能性がある。

同氏は自身のHPで「市の領域を越えた政治的圧力に屈服した」と、決断は自らの意志ではなかったことを示唆した。真実はいまだ不明だが、自民党内においては旧来の「密室・談合型政治」が健在であることは間違いない。

これこそまさに、前回選挙で吉田氏に敗れ去り、今回高島氏が唱えた素人目線の政治の「敵」、市民不在の市政そのものであると言えるのではなかろうか。 

 

若き素人市長、そして彼を支えて初当選に導いた古い体質の自民保守政治が、市民の厳しい視線にどれだけ耐えうるのか。

まずは、自らの意志で「推進」から「見直し」へと変更したこども病院移転問題が、高島市政の試金石となるだろう。