新福岡市長 自らの意志貫けるか(1)すでに議員間で綱引き [2011年1月17日09:20更新]

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(10年12月号掲載)

当選確実となり取材に答える高島宗一郎氏(11月14日)昨年11月の福岡市長選で擁立した候補が勝利した自民党。市議会で4年間野党に甘んじ、昨夏の衆院選では多くの国会議員が落選。それから一転、久しぶりの朗報に多くの関係者が喜びに沸いた。 

その余韻が残る中、早くも県議や市議の間で新市長をめぐり激しい綱引きが。その背景には、現職衆院議員が不在となった「空白地帯」福岡市の利権をめぐる思惑がある─と指摘する声も出ている。 

「保守系市議の傀儡(かいらい)になるのではないか」。若き「素人市長」は、今後の市政運営を危惧する周囲の雑音を、封じ込めることができるのか─。



なぜよそ者が? 大きな顔の北九州N県議 

「外からやって来ていばり散らして、一体何様だ」。高島陣営の幹部を務めたあるベテラン市議はこう吐き捨てた。怒りの矛先が向けられたのは北九州地区選出のN県議である(関連記事)。 

選挙戦では谷垣禎一総裁をはじめ自民の有名国会議員が続々と福岡入り。地元選出国会議員の中では特に麻生太郎元総理が力を入れて高島氏を支援した。

「その影で、元総理の腰巾着・N県議が連日、陣営事務所に顔を出していた。地元議員からは『福岡市とは関係ないのに、なんであいつが』といぶかる声が上がっていた」(前出市議)。 

関係者によると、N県議はことあるごとに元総理の名前を口にし、高島氏の当選後は「勝利は自分の功績だ」などと公言。さらに新市長の「付き人」として2人の男性をあてがい、選挙後の挨拶回りに付き添わせたほか、市当局が行う新市長へのレクチャーにも同席させていたという。 

これに対して地元市議らが「よそ者が何をやってるんだ」と反発。市幹部を通じて高島氏に対し「レクチャーには市長1人で出てほしい」と要請、2人を排除させたという。

意欲的な新市長だが・・

新市長に就任した際の高島宗一郎氏は記者会見(今月7日)で、市営地下鉄の民営化を検討することを明らかに。また、選挙戦最中から訴え続けた発信力を具体化するため「広報戦略室」新設の意向を示すなど、意欲的な姿勢を見せた。 

36歳の高島氏は元民放アナウンサー。政治経験はなく自ら「素人目線の市政運営を」と語る。

同氏を擁立・支援したのは自民・公明・みらい福岡の保守系会派。そのためマスコミをはじめ多くの関係者が「海千山千のベテラン市議や市役所幹部の操り人形になってしまうのではないか」と危惧しているのが実情だ。

(続く)