障がい者支援と地域交流の場を提供 NPO法人エスタスカーサ [2011年2月15日09:59更新]

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(11年1月号掲載)

障がい者と交流する子どもたち障がい者のホームヘルプ・ガイドヘルプ事業を行う一方、事務所として借りた民家を開放して、地域の交流の場を提供しているユニークなNPO法人がある。 

福岡市南区弥永2丁目の住宅街にある「エスタスカーサ」。

この名前はスペイン語で「ここを自分の家だと思って、くつろいでください」という意味で、「地域の中に我が家のように安心して居られる、またここに来れば誰かに出会えるという場を作りたいという思いを込めました」と代表の知足文隆さん。 



その言葉のように、事務所1階の間仕切りを取り払った25畳の大広間と、それに続いて庭に設けられたウッドテラスのオープンスペースが特徴。ある時は地域の子どもたちの遊び場になり、またある時はさまざまなイベントが開かれる。そして、知足さんたちがサポートしている障がいのある人たちとの交流の場にもなる。 

知足さんは大学卒業後、大阪の視覚障がい者誘導システムの会社で営業を担当。その後、福岡に帰って人と人のつながりを大切にする仕事がしたいと、福祉作業所の「工房まる」に勤務していた。しかし、妻の育児休暇が短縮されたことから、退職して1年間、育児に専念することになった。 

「この育児では大変たくさんのことを学びました。育児というのは命にかかわる、大変な仕事なんですね。それに親族はじめ周囲の人とのさまざまなかかわりなしでは、子育ては決してできるものではないことも学びました。

そんな中から、障がいのある人をサポートするとともに、障がい者、子ども、高齢者の垣根をはずした福祉のあり方を考え始めたのです」 

 

知足さんはこうした経験をへて2004年、ヘルパー資格を取り、その年の8月にいずれも男性の仲間4人とともに在宅障がい者のホームヘルプ・ガイドヘルプを行うNPO法人エスタスカーサを立ち上げた。「男性5人がヘルパー事業をやるというので、周囲からは大変驚かれましたね」 

福祉の垣根を取り払うには、障がいのあるなし、年齢にかかわらずさまざまな人が交流する場が必要だ。幸い、理解ある人が家を貸してくれ、05年12月には交流スペースとして使えるようになった。 

この交流スペースでは、さまざまなことが行われている。障がいのある人を講師にした絵画教室、福祉関係の勉強会、万華鏡づくりの教室。そして近くの弥永西小学校の子どもたちがプランターに花を植えて持ってきてくれて、福祉作業所のメンバーと楽しく交流することもある。  

「異なる立場の人がともに過ごすことって、とても大切だと思うんです。それぞれの違いを自然に受け入れ、お互いに思いやることができますからね」 

現在、事務所1階に浴室を整備中。4月からショートステイ(短期入所)事業を開始する予定だ。

「1つ1つできることから実現していきたいと思っています」(知足さん)。

NPO法人エスタスカーサのHPはこちら(イベント予定を毎月更新中)

【問い合わせ先】℡092-980-5675