「代理人」疑惑で別府市長 知らぬ存ぜぬ一点張り(3) [2011年4月15日09:22更新]

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(11年3月号掲載)

竹瓦温泉から見える「ゆめタウン別府」商店街で様々なイベントを行っているNPO法人の若者に街の中心部を案内してもらい、有名な市営竹瓦温泉の前に立った。ふと見ると、近くに大型商業施設が(写真)。 

観光客が大勢訪れるこんな場所に? これでは街の景観が台無しではないか。 

聞けば別府市長自らが強引に誘致を決めたという。一体なぜこんな中心部に建設したのか。商店街の人々、活性化に向け努力する市民は何とも思ってないのか。

こうした疑問が今回の件を取材する発端となった。



ゆめタウン誘致の真の狙い  

取材を通して浮かび上がってきたのは、ゆめタウン誘致で中心市街地の活性化を図ると謳いながら、実際には「街殺し」としか言いようのない政策の本質だ。 

中心市街地型の大型商業施設で既存の商店街が活性化した例は、筆者の知る限りどこにもない。別府市も例外ではなく、商店街を歩けばゆめタウン誘致の「効果」は明白だ。

大分県別府市 中心部地図

「誘致で街が活性化すると言っていたがその方向性は今も間違っていないと考えるか」(3月7日の本会議、長野恭紘市議)との問いに、浜田市長自身も「経済状況などもあり結果としてこういう状況になったことで、まだ完成していないという思いだ」と厳しい現状を認めている。 

イズミが民間企業である以上、最優先なのは自社の利益であり、市街地の活性化ではない。だからこそ約束したシネコン建設などが実現していないわけだし、たとえ完成しても状況が好転することはないだろう。

 

今回のX社長の金銭授受疑惑、そして議会と市長のやり取りを見る限り、こう指摘せざるをえない。 市民の反対を押し切って実現させたゆめタウン誘致は、中心市街地の活性化が目的ではなく、誘致そのものが目的だったのではないか。これに絡めてX社長ら特定の人物の懐を「活性化」させることこそが、真の狙いだったのではないか。 

その代償として差し出されたのは一体何か。中心市街地の「生命」、街の未来ではないか。にもかかわらず、市から補助金を受け取っておとなしくしている地元商店連合会。別府市民とは、何と心の広い人たちだろう。 

市長選・市議選が控えていることは承知している。だからこそ、市民が市政について考えるきっかけになればと、あえて報じた。なお、選挙で誰が当選しようと、本紙には一切、利得-例えば補助金など-は生じない。 

3月議会は市長選出馬予定者、浜田市長と長野市議の前哨戦ともなった。市長は同市議を「正々堂々と政策論争をやってほしいと“著初”。市長の言う通りここはぜひ正々堂々と、街づくりのあり方をはじめ別府の未来について両者で公開討論会を行い、市民の判断を仰いでいただきたい。