放言騒動の真相は? 引責辞任の松本龍・前復興担当大臣(2) [2011年7月29日11:08更新]

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(11年7月号掲載)

陳謝する松本前大臣(NNNニュースより)松本龍氏を長年支援してきたある人物は「口調から親分肌と受け取られることも多いが、実際には控え目で非常にシャイな人柄。もっと我を通した方がいいのではとイライラすることもあった。あんな発言はとても考えられない」 

また、福岡の大手紙記者は「荒っぽい言葉で報道陣に対応することもあったがそれも気心の知れた相手に対する彼なりの親愛の情です。一連の言動は確かに、彼のキャラクターからするとギャップを感じますね」 

そのためか、こうした放言は「菅総理を退陣へ追い込むためにわざとやったのではないか」と、複数のメディアが「倒閣自爆テロ説」を唱えたほどだ。



異常なテンション  

「ここのところ、担当記者との飲み会では異常なほどハイテンションで、1人でしゃべりまくっていた。一体どうしたのかと違和感があった。『突然窓を開けて叫び出し、びっくりした』という関係者の話も聞いた」。こう話すのは、前出の東京の政治担当記者だ。 

松本氏の祖父は「部落解放の父」松本治一郎氏。弱者に寄り添う政治が松本氏の原点である。

同氏と長年付き合いがある地元関係者は「震災後、個人的に何度も被災地入りし、『何とかしなければ』との思いを強めていたようだ。ただ、復興担当大臣に就任した時は『大丈夫だろうか』という懸念を正直、ぬぐい去れなかった」 

1990年以来、連続7期の当選を果たしたが、初入閣は昨年9月。環境大臣として第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)の議長を務め、議長案採択にこぎつけた。

「復興そっちのけで政局に明け暮れる永田町を批判した『民主も自民も公明も嫌いだ』との発言は、被災地への思いが込められた素晴らしい言葉だと思った。だがその後の発言は・・。ポストに就いた経験が少ない悲しさかな」(前出地元関係者)。 

「松本氏は官僚からの受けも良かった。一方、達増・村井両知事に関しては、何かにつけ国に責任をなすりつけようとしていると、政権内で『あいつら何だ』という不満が燻っていた。それが、被災地への思い、復興への意欲の強さと大臣としての重圧で心のバランスを崩していた松本氏の放言という形で、現れてしまったのではないか」(前出東京の政治担当記者)。 

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これまで多くの国会議員が、不適切・問題発言によって批判を浴びてきた。福岡・九州選出の議員に限っても太田誠一氏、鳩山邦夫氏、久間章生氏といった方々の名が思い出される。

だが今回の松本氏の辞任は、被災地の信頼を裏切ったという点で、これらの例とは比較にならないほど重い。 

「思いが空回りする結果となってしまったが、たとえどんな理由があったにせよ非は松本氏にあるし、本人も分かっているはずだ。これをきっかけに政治から身を引く決断をする可能性も否定できない」(前出地元関係者)。