公金支出差し止め求め提訴 鹿児島・産廃処分場計画で反対派(2) [2011年8月5日10:56更新]

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(11年7月号掲載)

抗議行動をする反対派住民本紙がこの問題を知ったのは09年1月。ある住民から「地元に突然、処分場建設計画が浮上したのだが、なぜここに決まったのか県に問うと『最終的には知事の一存』。おかしい、納得できない」との声が寄せられた。 

さらに「この件を取り上げてもらおうとマスコミ各社に連絡して記者に話をした。何人かは『これは大問題だ』『必ず記事にする』と言っていたのだが、いつまで経っても報道されない。どうなっているのか記者に問い合わせても明確な返事がなく、最後はこちらから逃げ回るようになった」 



これまでも何度か述べてきたが、特に地方都市におけるマスコミ記者の能力・問題意識は、一般読者が勝手に思い込んでいるレベルよりもはるかに低い。

記者クラブという談合組織にあぐらをかき、大企業や行政・捜査当局の言い分をそのまま垂れ流すのが仕事だと勘違いしている連中ばかり。その上、知事肝いりの事業ともなれば、腰が引けるのも当然だ。 

福岡県とは直接は関係ない事案であるが、鹿児島のマスコミにまったく期待できない以上、本紙が伝えるほかない。こう考え、2年半に渡って報じてきた。 

ある反対派住民はこう語る。「地元の報道を見ると、まるで建設計画を後押ししているかのような印象すら受ける。一方で、こちらの主張はなかなか記事にならない。マスコミの現実を思い知らされた」

 伊藤知事へのメッセージ  

大分県別府市での取材でも感じたことだが、地方都市では行政に対する議会やマスコミのチェック機能がほとんど働いていない。ちょっと賢くて権限を持った人物が、特定の企業や業界と組んで思い通りに事を進めようと思えば、いとも簡単にできてしまう。 

それにしても今回の処分場建設計画は実によく練られている。伊藤知事の「シナリオ作成能力」には感心させられた。同知事は鹿児島の有名私立進学校、東大、総務省出身の「超エリート」。おそらくは計画発表当初から、メディアや反対運動など歯牙にも掛けていなかったことだろう。 

最後になったが、そんな知事に本紙からメッセージを贈らせていただきたい。 

自分のような先輩のおかげで、自らの出身校の名前を胸を張って口にできない後輩がいるかも知れない-こんな風に考えたことはありますか、伊藤知事?

【編注】伊藤知事については一部マスコミが、09年に福岡市の博多座で公演されたミュージカル「ミス・サイゴン」の観劇券2枚を九電から無償で提供され夫婦で観劇していたことを報じた。当時は川内原発3号機増設計画をめぐり、九電が同年1月に知事に増設を申し入れるなど議論が本格化していた最中。伊藤知事の体質を如実に物語っている。