志賀商工会で発覚の横領疑惑(1)いまだ詳細判明せず [2011年8月10日14:24更新]

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(11年7月号掲載)

志賀商工会館(東区西戸崎)「志賀商工会」(福岡市東区西戸崎、松田元紀会長)で昨年、職員が貯蓄共済積立金などを横領していた疑惑が発覚、その対応をめぐり商工会幹部に対して批判の声が上がっている。

一時は横領の事実を認め弁済を約束したという職員は、民事裁判では一転して争う姿勢を見せ、事実関係の解明は遅々として進んでいない。

同商工会は5000万円近くに上る被害のうちおよそ半分を「福岡県商工会連合会」(博多区)から借りて会員への支払いなどに充てているが、誰の責任なのか、誰が最終的に弁済するのかもいまだに不明確。そのため、幹部への不満から脱会した会員もいるという。

一体なぜこのような事態を招いてしまったのか─。



 

志賀商工会は西戸崎から志賀島までを管轄しており会員数は普通・法人合わせて約220。1971年、旧糟屋郡志賀町が福岡市東区に編入された際、福岡商工会議所に統合されないまま存続しているという。

裁判で態度一転  

複数の関係者の証言を総合すると、2010年春ごろ、同商工会が会員を対象に行っている貯蓄共済(1口2000円、10年満期)について「満期が来ても支払われない」といった苦情が寄せられた。調べたところ、知らないうちに勝手に解約されたりしている例などが見付かり、共済積立金約3000万円がなくなっていた。 

さらに、商工会館の改修工事などのために積み立てていた約2000万円も消えていた。同商工会幹部が通帳の管理などを行っていた女性職員を追及したところ、同職員は夫婦で幹部の元を訪れ「とんでもないことをしてしまった」と横領の事実を認め「退職金などから弁済する」と話したという。 

同商工会幹部は臨時総会などで会員に報告。同商工会を指導する立場にある県商工会連合会から2千数百万円を借り、満期が来た会員への支払いに充てた。さらに、この女性職員に損害賠償を求める民事訴訟を福岡地裁に起こした。 

ところが裁判で女性職員側は、事実関係を争う方針に転じた。そのため公判では横領行為がいつから始まったのか、何に使ったのかといった被害実態の詳細はほとんど明らかになっていないという。同職員からの弁済もなく、同商工会は今年4月、県警東署に業務上横領罪で刑事告訴した。

別の職員は不問?  

こうした一連の騒動に対し、商工会関係者や地元住民から「幹部の対応はすべて後手後手に回っている。経過報告もほとんどない。おかしい」などと批判の声が上がっている。 

「横領には別の男性職員も関わっていると見られるのですが、この職員については事実上、何の措置も取られていない」。こう語るのはある商工会関係者。

この男性職員は女性職員の上司で通帳記入や管理などの業務について指導する立場にあった。だが09年、病気を理由に退職しているという。 

(続く)