法治国家の「抜け道」 [2008年7月8日08:44更新]

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日本は言うまでもなく、立派な憲法がある法治国家である。「ねじれ国会」と言われながらも新しい法律が作られ、古い法律は時代に即応するように改正されるなど、国民の生活は一応守られている。

さらに県民性・地域性などを踏まえた「条例」が地方自治体によって制定され、最近は企業の経営や経済界においても、「法令順守・コンプライアンス」などの言葉が横行。違反した人間は、マスコミによって叩かれたりして企業生命を絶たれることもある。



にもかかわらず、法の知識を「活用」し、ギリギリのところを巧みに泳いで利益を得る輩も増えている。それらはいわゆる「パクリ屋」などの"民間業者"だけではない。権限を持つ行政側によるものだってたくさんあり、当然ながら、こちらのほうが始末が悪い。 

知らずにだまされ被害を被っても、それは全て自己責任で処理される。被害者が倒産に追い込まれたとしても泣き寝入りするしか道はない。

また、行政側の行為については無条件で「そんなことなどあるはずもない」と盲信しているものだから、自分たちが払っている税金から掠め取られているという自覚などない人が圧倒的に多い。

何か、あまりにも不合理がまかり通る世の中になって、真相を知ると腹立たしいばかりである。

 

ある自治体で建設された、公民館に関する情報が入ってきた。地域の交流を図るために、地元住民の資金プラス自治体の補助金で建設されたという。こうした施設を建設するのは非常に望ましいことであるが、調べてみるとその目的とは裏腹に、工事発注のズサンさは呆れるばかりである。

加えて、当初の予算を水増ししている。地元負担を少なくする目的であれば理解できるが、浮いた地元負担分は関係者が個人的に流用したという。すでに地元当局が捜査に着手したとの情報もあり、刑事事件に発展する可能性が出てきた。

自治体が公共工事として発注すれば、煩雑な手続きが求められ、施工業者の選定が難しくなる。そこで、補助金を負担し地元発注にすれば、そこに地元に対する恩恵が生じるところから、今回はその盲点を上手く突いたとみられる。

 

自治体発注にすれば議会の承認が必要となるが、補助金での工事になれば議会のチェックを受けない。これまで報じてきた前原リサーチパーク用地に関する県有地等価交換問題も、公民館の例と同様、議会でのチェックを受けない等価交換という「抜け道」を利用したわけである。

 

周辺自治体では補助金を利用した工事の中に、知名度が低い小さな建設会社を利用しながら異常に工事費が高い施設が完成しており、その一部は首長にキックバックされた―との噂もある。さらに取材を行う予定である。

(J)