県のコンベンションセンター構想異聞 [2009年5月27日09:16更新]

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大規模な国際展示会などのイベントを行う会場とするため、福岡市内にコンベンションセンターを建設してホテルなどの関連施設や周辺の交通網を整備。センターを中心とするエリア一帯を再開発する-こんな構想を県が進めていることが明らかになったのは、昨年夏のことである。



その候補地としては当初から福岡市の人工島(東区)が挙げられていた。県は各団体に働きかけて準備委員会を設立し、同地区に関する特区の申請を行うなどの基本計画策定を進めていた。

ところが、一部の関係者が委員になった人物らに対してコンベンションセンターの建設を須崎埠頭(同市中央区)へ誘致するよう水面下で働きかけている-との情報が漏れ伝わってきたのは先月のこと。取材を進めてみると、候補地移転の話はどうやら事実であることが分かった。同時に、吉田宏現市長の周辺からきなくさい臭いが漂い始め、一部関係者の注目を集めている。

 

山崎広太郎・前福岡市長時代、夏期オリンピックの招致計画が浮上した。山崎氏を先頭に市は猛烈な勢いで運動を展開したが、国内選考会で東京が勝利し失敗。その上、市民の反発を買って市長選にも敗れたことは、ご記憶の方も多いだろう。

招致計画の中でメイン会場に予定されていたのが須崎埠頭である。そして、このエリアの土地を所有する企業トップと山崎前市長とが非常に近い関係にあった周知の事実だった。

この企業はキャナルシティを手掛けたことでも知られ、山崎市長時代に囁かれた「福岡市の道はすべてキャナルに通じる」との言葉が、両者の親密ぶりを物語っていた。

だが招致の失敗で再開発計画も当然ながら頓挫。山崎市長も落選し、企業の夢は泡となって消えた。その後、須崎埠頭の土地はそのままの状態で現在に至っている。

なのになぜ今頃になって、新たな再開発構想であるコンベンションセンター計画、それも人工島を前提に進められていたはずの計画の新たな舞台として、須崎埠頭の名前が再浮上したのか。吉田市長が山崎前市長同様、何らかの手で籠絡されたのか、どこに接点がありどの様に結び付いたのか、不思議な気がする。

 

赤字を垂れ流している地下鉄七隈線の延伸問題も、天神南からキャナル経由で博多駅へと伸ばす構想が浮上している。一連の構想や計画を結びつけて考えると、吉田市長も前市長と同様、この企業との関係について取りざたされるようになるかもしれない。

吉田市長は初当選時「市民派」として支持を集めたはずだけに、こうした想像が単なる下種(げす)の勘繰りであってほしいものだが・・。とはいえ、来年に予定されている次回選挙には「市民派の皮をかぶりつつ、中味は自民党の候補として出馬するのでは」と危惧する関係者が多いのは事実である。

(J)