政治家秘書の悲哀 [2009年9月4日10:42更新]

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注目された総選挙は民主党の圧勝で終わり、新しい鳩山政権誕生に向けて準備が進められている。落選した自民党の先生方は180人を超え、議員会館や宿舎からの引越しが大量に行われており、引越し業者は予期せぬ「特需」で嬉しい悲鳴を上げているようだ。



 

議員には3人の公設秘書が付いており、自民落選議員の秘書たちは単純に計算しても500人をゆうに超える。さらに私設秘書や運転手、女性事務員らのスタッフを加えると、かなりの人間が一挙に失業することになる。

過去の選挙においては、仮に落選しても派閥内で秘書の転職がスムーズに行われてきた。そのためスタッフの失業問題も特に取りざたされることもなかったが、今回は民主党内で「自民議員の秘書だった者は雇用しない」といった、何らかの指示が出ている噂も聞かれる。そうなると2000人前後の人間が路頭に迷うことになり、実に深刻な状態である。

 

福岡市周辺を含め自民党の落選した先生については、年齢的にも再起は難しい例が多いと見られ、現状の事務所維持も困難な状況だ、ある自民議員の秘書の中には落選を予測して選挙期間中から就職活動を行っていた者もいたようで、その事務所に関しては落選の動揺はなかったという。

先生が現職であれば就職の斡旋も出来るであろうが、落ちて「ただの人」になってしまえば難しい。再就職を相談された企業側も、すでに自社内でリストラを行っている所が多いだけに、再就職の道も険しいだろう。

 

とはいえ、秘書の中には将来の政治家を目指している者も多く、それらの人は先行投資を考える企業が何らかの支援の手を差し伸べるケースもあり、当分飯が食える状況にはなるから面白い。

中には、今回の失業を機に本格的に政治家への転身を考え、次回の地方選挙を視野にその準備に入る者も出てくるだろう。日頃から幅広い人脈を持っていた秘書が、新たなビジネスの立ち上げを考えているという話も聞かれ、いずれにしてもたくましく生きて行くことが望まれる。

先生の挫折を自分の挫折にしないことで、新しい道を進んで欲しい。