怪しげな高額手形と、その裏書人たち [2016年12月13日10:51更新]

かつて信用調査といえば、手形割引業者との情報交換は欠かせなかったが、近年は手形そのものの発行数が激減しているため、商売にならないとして廃業する割引業者が増えており、問い合わせも少なくなった。

そうした中、久しぶりに高額手形の問い合わせがあった。
額面7億8500万円の手形で裏書人が10名。
この10名の裏書人の大部分は、どう考えてもこうした訳のわからない手形に、裏書するような人物や企業ではなく、おまけに貼ってあったのが僅か1000円の印紙だったこと。
手形振出日は平成22年12月5日で、支払期日が平成28年7月25日。
どこからどう見ても、偽造手形そのもの、という雰囲気。

ところで裏書人10名は、福岡市内に多くの不動産を所有する会社や、北九州を代表する600億円の売上規模を誇るスーパー、同じく北九州の飲食チェーン店創業者、また東京本社の上場飲食チェーン店、南九州の漁協理事長などで誰もが知っている企業。
おまけに第八裏書人までは、皆さん既に亡くなられておられる方々ばかり。
最後の第十裏書人の住所を確認したが、地図上には無かった。

また、手形振出人を確認するため住所を尋ねたが、表示されている住所そのものが無い。
当然だが、電話は不通。

おそらく、この手形は流通していなかっただろう。
何らかの「見せ手形」だったのだろうと推察されるが、どういう使われ方をしたのか今のところ不明。

追加取材の真っ最中ですので、判明次第、順次報告してまいります。