官製談合の疑いで議案否決 ④・嘉麻市 [2021年1月8日07:00更新]

■ 脇の甘い選定方法

まず、今回問題と思われるのが、プロポーザルの事業者の参加資格だ。
参加JV(共同企業体)の構成として、経営審査の評価点数が1500点以上の代表企業(大手ゼネコン)と設計企業の2者、または、それに地元企業を1者加えた3者としている。
JVに地元企業を加えることで600点満点中40点分が加算されることになっており、大手ゼネコンは自ずと地元企業と組むことになる。

地元企業は、嘉麻市の入札参加資格者名簿で等級Aに格付登録されていることが条件だが、該当するのは9者のみ、本来、より多くの技術提案の中から事業者を選定するべきだったところ、地元企業とのJVを容認したがために、参加者数が限定されてしまった。
実際、稲築中学校区には3JV、稲築東中学校区にはわずか2JV、碓井中学校区には4JVと、3つの大型案件に計9JVの参加に止まっており、技術提案の競争としては物足りないものとなっている。
稲築東中学校区に限って言えば、2JVの参加で1JVが審査途中で辞退(抗議の意味では?)、結果的に競争もなく1JVで決定するという事態になっている。

それに加え、地元企業に等級A以外の条件を付していないことも問題だ。
公表されている地元企業9者の経営事項審査結果の比較(下表)をご覧頂きたい。



大手ゼネコンは、9者からJVのパートナーを探す必要がある。
上記のうち2者は法人化していない。
また、地元企業の最低出資比率は30%以上とされているが、売上が1億円にも満たないところ、利益剰余金が少ないとこと、営業C/Fが2期連続マイナスのところも。
更には、建築の技術職員が0~2名のところが4者ある。
客観的にみて、JVのパートナーとして相応しいのは2番目か5番目か。
地元の関係者によると、1番目はペーパー会社、受注したら7番目が工事を行なっていると聞いた。

今回、9者中8者が大手企業とJVを組み(1者は2つの校区で別々の大手ゼネコンと掛け持ち)参加、施工実績のない業者、財務面が安定しない業者、技術職員の少ない業者も含まれている。
受注すれば地元企業は3年間で最低でも9億円、年間約3億円の業務を行う計算になり、発注者(市)として不安になるのが当然だろう。
それが分かっていながら市は、JVに地元企業を参加させると加点という条件を作った。

もう一つの問題点が、審査・評価する技術提案審査選定委員会のメンバー構成だ。
メンバー9人のうち、委員長に学識経験者、副委員長に副市長、委員のうち2人は学識経験者、1人は市教育長、残り4人が市の住宅課長、地域活性課参事、企画財政課長、企画財政課参事となっている。
市役所からは副市長以下、市教育長と市役所職員4人と計6名と過半数を占めており、選定結果に市長の意向が反映される可能性がある。
また、課長であったり参事であったり、また、財政課からは2名であったりと人選の基準が不明確だ。

これらのことを合わせると、「地元企業が入れるようにハードルを下げ、意中の業者を決められるよう選定委員会を構成した」という疑いを持たれても仕方がない。

ー 続く ー