NEXCOと大島産業⑮ ■工事を急いだ理由 [2021年4月2日09:00更新]

次に、なぜ大島があってはならない主鉄筋の切断をしてまで工事を急いだのか。
鉄筋の不足、そして切断、耐震偽装までして何のメリットがあったのだろうか。
現場で技術的な課題が出た場合は、発注者であるNEXCOと協議をして 解決するために工期を延ばすことは可能で、最大の疑問だった。

そうしたところ、下請業者から一つ重大な証言を得た。
令和元年7月頃、大島の協力企業の社員で 福岡から中日本の現場に来ていた者が、「来年、大島の仕事で四国に行くことが決まっているが行きたくない」と不満を漏らしていたという。
東京と違い、長期に亘る四国の工事は割が合わないということらしい。

この話を聞いて、大島が工事を急いだ謎が解けた気がした。
調べてみると、その1年後の同2年7月に香川県、8月に徳島県で耐震補強工事が始まっている。
2つの四国の工事の一般競争入札は同元年11月に行われていたが、それぞれ2社、3社が応札、全社が予定価格を上回り、規程により不落札随意契約となっている。
その場合、NEXCOが応札した会社に見積依頼をして受注者を決定するという流れだが、いずれの工事も他社が辞退をしたため大島の受注が確定、12月からNEXCOと大島が価格協議に入り、夏までには工事が始まることが決まった。

その頃は、工程が大幅に遅れていて、工期の3月11日までは到底間に合わないことが分かっていて、現場では大声や怒声が飛び交っていたという。
そこに来て、夏から四国で2件の工事が始まることが決まり、どんなに遅くても夏までの終了が絶対条件になった。

鉄筋不足が発覚した緑橋で配力筋が施工されたのが 12月、そして、絵堂橋で主鉄筋が切断されたのが1月、時期が一致する。
その後、3月6日には2回目の契約変更が行われ、工期が7月10日まで延期されている。

つまり、今回発覚した施工不良・耐震偽装は、夏に始まる2件の四国の工事を受注したことで、工期までに終わることを最優先としたため、現場で技術的な問題が見つかったにも拘わらず、NEXCOに報告しないまま 施工不良を認識しながら工事を進めたことが、直接的な原因と考えられる。

間もなく第三者調査委員会の最終報告書が提出される。
報告書が水増し請求の詳細や、その背景に政治家への忖度があったことまで踏み込むかは不明だが、笹子トンネル事故以来、安全第一をうたってきたNEXCO中日本が、施工不良な工事で社会不安を引き起こし、国会を騒がせたことに対しての経営責任は大きい。
この問題の核心は、政治忖度によるコンプライアンス違反にあると思われるが、報告書が弊社の取材内容と一致するか 注目したい。



ー 続く ー