NEXCOと大島産業(36)■ 政治案件の処理で決まった人事 [2021年7月8日07:14更新]

5名の精鋭調査官で臨んだ追加の会計検査の行方に、NEXCO中日本の内部の両陣営はもとより、国会議員も注視している。

今回は中日本の業務について検査をしたわけだが、税金の無駄遣いの発端となったのは 「政治家への忖度」で、企業倫理の問題である。
中日本ではコンプライアンス教育が行われており、コンプライアンス相談窓口もある。
なぜ 7名の決裁権者が 水増し請求を知りながら 窓口に駆け込めなかったのか。
その原因は、人事権を持つ役員がコンプライアンスの責任者という中日本の組織体制にあることに尽きるだろう。

また、7名のうち 3名(支社部長、同課長、所長)は、八王子支社に配属される前は、本社で「パワハラ呼び付け騒動(※1)」、「不払い告発文(※2)」に携わっていたことが判っている。

※1 大島産業の社員が中日本の工事担当者からパワハラを受けたと宮内秀樹議員に訴え、国交省道路局の担当者と中日本本社の社員らを衆議院議員会館に呼び出した件

※2 大島産業が建設業法に違反し、届け出た施工体系図とは違う 裏契約を 大島が指定する別の商社と契約させ、かつ不払いを続けた実態を告発した文で、NEXCO3社と国交省、国会議員らに送付されいる

その3人がわざわざ 大島が工事を行っている支社に決裁権者として配属されてきた。
いずれも 大島の工事を「政治案件」と認識した 中日本の幹部が、(政治的に)処理を誤らないよう配置した人事ということが窺える。

配属された者たちも被害者だ。
自身も含め コンプライアンス教育を受けた多くの社員の目がある。
それでも、幹部の意向に沿った方向で進めなければ 自分の立場が危うくなる。

社員たちもコンプライアンス違反が行われようとしている瞬間を見ている。
だが、上司に言っても 本社の意向だからと諦めている。
告発したとしても 間違いなく潰されるし、一人で抵抗しても無駄だから 最後は見て見ぬふりをする。

ー 続 く ー