ハザードエリア移転、市の責任を問う陳情書 [2021年12月7日15:30更新]

高潮5メートルのハザードエリアに 済生会病院の移転が計画されている問題で、北九州市の保健福祉行政を質す陳情書が提出されたことが判った。

「5m浸水想定区域に済生会病院移転」で書いた通り、済生会八幡総合病院が移転を予定している八幡西区則松地区は高潮5メートルの危険箇所、北九州市保健福祉局が開発許可について審査する開発審査会に対し、「移転は望ましい」という趣旨の副申(意見書)を提出している。
想定を超える災害が頻発している昨今、地域医療の中心を担う病院の立地場所の安全面は最優先事項、新規に病院を建設するのだから 候補地がハザードエリアかどうかは当然議論されるべきだった。

しかし、済生会はまとまった安価な土地ということに飛びつき、ハザードエリアの危険性については二の次、2メートル程度嵩上げして地下を造らない構造にすることで対応できるとして、計画を策定し開発許可を申請した。

問題は北九州市の保健福祉局が、なぜ ハザードエリアにも拘わらず移転が望ましいとしたかということだ。
副申では、「八幡西区の病床数が少ないので地域医療のバランスの観点から 移転は望ましい」という理由が示されていた。
しかし、八幡西区は全国平均以上の病床数があり、バランスに言及するなら 若松区や小倉南区は平均以下の水準、保健福祉行政の公平性という見地からすると、若松や小倉南への移転を推奨するべきだった。
副申は、説得力に欠け、都合のいい箇所を切り取った内容になっているが、ハザードエリアへの移転の危険性やデメリットについては 全く触れていない。

陳情では、① ハザードエリアに移るメリットがデメリットを上回るならその根拠を示すこと、② 5メートルの浸水の際 何階まで被害があるのか、その他の被害について具体的に示すこと、③ 浸水で病院機能が停止したとき 市はどう対応するのか説明すること、 ④ 浸水で人的・物的被害が出たとき市の責任を説明することなど を求めている。

閉会中審査となると思われるが、保健福祉局がどのように回答し、また各議員がどのような質問をするか 注目したい。