地域の人々に見守られて 福祉作業所「夢ぽけっと」 [2007年12月29日19:27更新]

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(07年12月号掲載) 

福祉作業所「夢ぽけっと」「息子の養護学校高等部の卒業を前にして、現実の厳しさに突き当たりました。障がいが重いために、受け入れてくれる実習先がないんです。がく然としました。

でも、落ち込んでばかりはいられません。なければ自分たちで作るほかないと、養護学校の同級生の親たちに作業所づくりを呼びかけました」

こう語るのは、福祉作業所「夢ぽけっと」(福岡市南区井尻2丁目)所長の西出節子さん。いまから9年前、1998年のことである。



 

西出さんたちの大車輪の活動が始まった。廃品回収、バザー、募金集め。この街で生まれ育った西出さんの両親は、保護司や民生委員を長年務め、地域の人たちの信頼を得ていた。西出さんたちの活動にも支援の輪が徐々に広がった。

「作業所を運営するために『NPO法人ドリームふくおか』を立ち上げているのですが、理事の皆さんもボランティアの人たちもすべて地域の人たちです。本当に地域から見守られていると感じています」

地域の中に広い一軒家を貸してくれる人も出てきて、1年半の準備活動の末、2000年4月に15人の障がい者を受け入れて「夢ぽけっと」はスタートした。

 

主な仕事は、アルミ缶回収や委託作業の菓子箱組み立て、それにクロネコヤマトから委託されているメール便の配送などである。アルミ缶回収は月に10回程度。定期的に回収に応じてくれる家庭は、宮竹校区、高木校区で2000軒にも達するという。

「地域の方々からはいつも励ましの言葉をいただいて、本当にありがたく思っています。その一方、アルミ缶回収やメール便の配達で地域を回っていることで、防犯といったことでは少しは地域のお役に立っているのかなとも思っています」

 

3年前からは居宅介護事業にも乗り出し、「ヘルパーステーション夢サポート」を立ち上げた。来年2月には、もう1つの作業所(夢ぽけっとの分場施設)を南区横手南に開設する。

「専業主婦だった私がここまでやれるとは思っていませんでした。息子のおかげだと思っています。仲間の父母の皆さんも同じですね。次から次に問題はでてきますが、やりがいがある仕事です。振り返ってみると、楽しいことばかりという感じです」

とはいえ、障がい者を取り巻く状況は厳しい。とくに障害者自立支援法は「補助の水準を切り下げ、障がい者に負担を強いて、自立を支援するどころか、自立を妨げる法律」だと憤る。

現在、作業所の利用者は18人。これを常勤職員3人、非常勤1人、パート1人の体制で支えている。「この献身的な仲間と地域の人たちの励ましがあれば、必ず道は開けると思っています」

【連絡先】
電話&FAX 092-581-5657