音楽とアートでプロ活動 「JOY倶楽部プラザ」 [2007年9月15日14:51更新]

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(07年9月号掲載) 

障がいのある人も健常者と同じように、さまざまな興味・関心があり、多彩な能力を持っている。しかし、それを発揮させるには手助けが必要なことなど、数多くの困難がある。

そうした中、全国でもあまり例のない音楽やアートの授産に取り組んでいるのが、福岡市博多区月隈、総合スポーツ公園「博多の森」近くにある社会福祉法人福岡障害者文化事業協会・知的障害者通所授産施設「JOY倶楽部プラザ」(緒方克也理事長)だ。



倶楽部プラザには、音楽演奏の「ミュージックアンサンブル」とアート制作に取り組む「アトリエ ブラヴォ」の二つの部門がある。

「アンサンブル」の誕生は1993年。最初は歯科医である理事長の緒方さんが、治療に訪れる知的障がい者に呼びかけて作った小さな音楽サークルだったが、練習を重ねて2000年には「プロデビュー」。以後は独自のコンサートや各地の式典、イベントに招かれるなど年間50回を超える演奏を行うプロ楽団として知られるまでになった。

誕生のきっかけは、緒方さんがヨーロッパでの国際学会に出席した際、歓迎の式典で知的障がい者の楽団が演奏するのを見たことだという。以前から知的障がい者の歯科治療を手がけていて「演奏に感動し、日本でもこんなことができないかと、帰国して早速、患者さんや保護者に呼びかけたそうです」と渉外担当職員の古長美知子さん。

 

「アトリエ ブラヴォ」の発足は94年。音楽と同様に知的障がい者の文化活動として、アート部門も設けることにした。こちらも当初は暗中模索だったが、次々に仲間が集まって多彩な個性を発揮。今では絵画、オブジェ、木工、陶芸と多彩な作品制作やデザイン受注、グッズの制作・販売、作品展やワークショップの開催、さらにはステージの上で制作を実演するアートライブにとりくむなど、こちらも「プロ」としての活動を行っている。

しかし、趣味のサークルならまだしも、演奏したり、作品を販売したりしてお金をもらうプロとなるのは難しい。「自己満足的に演奏したりアート制作したりというのではなく、聴いていただいて演奏料がいただける音楽、お金を出して買っていただけるアート作品を作り出してはじめて本当の社会参加になるという考え方で、理事長以下の職員、保護者、支援者、そして何よりも本人たちが頑張った結果だと思います」と古長さん。

ミュージックアンサンブルの予定表を見ると、数日おきに演奏予定がびっしり。熊本県宇城市や宮崎県霧島、鹿児島県奄美など九州各地にも及んでいる。

アトリエ ブラヴォもハウステンボスの07年度の入場者向けパンフレットのデザイン受注や福岡市天神の新天町商店街でのアートライブ、中央区今泉でのウォールアート制作など大活躍だ。

なお、10月27日には天神エルガーラの開館10周年記念にイラストレーターの黒田征太郎氏との第3回コラボ企画「絵と音と─いまココに生きている」が開催される。

《問い合わせ先》
電話  092-504-9371