予想外の長期戦 民主新人候補「危機感」「歓迎」(1) [2008年12月24日11:12更新]

タグで検索→ |

noimage

(08年12月号掲載)

稲富修二氏の事務所(福岡市中央区)麻生太郎総理が経済対策を優先したため先送りされた解散・総選挙。自民ベテラン現職は追い上げを図っており、一部の民主陣営から「情勢は今後厳しくなるのでは」と不安が漏れ始めた。

中でも稲富修二氏の陣営では、リーダー格のスタッフが10月末に突然辞職。停滞する福岡市政に対する有権者の反発も高まり、危機感を隠さない。 

一方で、解散先送りを歓迎する新人候補も。通常は時間があれば、知名度アップなどの面で有利に働くが、「想定外の長期戦」となった今回の選挙、民主新人候補にとって吉と出るのか、凶と出るのか─。
(写真=稲富修二氏の事務所)  



理由は分からぬまま  

「あまりに突然で、彼がなぜ辞めたのか、いまだに正確な理由は不明です」。稲富陣営のある関係者はこう言って途方に暮れた。 

稲富氏は昨年11月、民主新人としては県内で最初に立候補を正式表明(2区、福岡市中央区など)。今回辞職したスタッフは、前福岡市長・山崎広太郎氏の元秘書で、出馬表明後に陣営入り。稲富氏の信頼も厚かったという。 

重要な役割を担うスタッフの辞職は、当然ながら陣営に衝撃を与えた。「精神的に厳しいという話でしたが、そうなった理由など詳細は分かりません。辞職の意志は固く、彼を引き留めることはとてもできませんでした」(前出関係者)。 

稲富陣営ではボランティアなどをのぞき、ずっとスタッフ3人が支えてきた。今は2人となり、穴を埋めることはできていない。

こども病院問題で 市民から批判受け

陣営にさらに追い打ちをかけているのは、市立こども病院(中央区)の移転問題などで揺れる、福岡市政への批判の声である。 

吉田宏市長は06年11月、民主などの推薦を受けて初当選。だが学童保育無料化案は議会で2度に渡って否決され、こども病院の人工島移転については見直すと公約に掲げたにもかかわらず結局、人工島に決定。市民からは「公約違反だ」との声が上がっている。 

「これまでも『吉田市長は何をやってるんだ』『民主の市議もだらしない』との声はありましたが、こども病院は選挙区内にあるため、市民の反応は以前と比較にならない。吉田市長と、人工島移転案に賛成した市議への批判の矛先がこちらに向かっていることを強く感じます。今後も状況は厳しくなるばかりでは・・」(同)。 

(続く)