県が前土地所有者に損賠請求書送付 詳細は明らかにせず [2009年2月17日09:41更新]

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福岡県庁県が前原市で進めていた「前原IC南地区リサーチパーク」用地に絡む問題で、県が前土地所有者のA社に損害賠償を求める書類を昨年11月、送っていたことがわかった。県はこれまで請求の事実を一切公表していなかった上に、請求額などの詳細も公にしていない。

先月、「リサーチパーク問題を考える前原市民の会」(加納義郎代表)が、A社に損害賠償請求などの措置を取るよう県に求める住民監査請求を提出。 監査委員会が請求を受理するかどうかを検討する過程で、県側がすでに賠償請求書を送付したことを明らかにした。

加納代表は「詳細を一切明らかにしないのは非常に問題がある」と話している。



県の説明によると、11月5日付の内容証明郵便でA社側に損害賠償請求書を送付。翌6日、相手が受け取ったことを確認したという。

賠償金額の詳細やその根拠などは一切明らかにしてない。理由について県は「相手方の弁護士が協議を進めている段階であり、詳細を明らかにすることは協議に多大な影響を及ぼす」としている。

その上で県は「すでにA社に賠償を請求しており、請求人(市民の会)の主張はあたらない」と説明。加納代表は「もし監査請求しなければ、こうした事実はまったく表面化しなかったことになる。隠れてやっていたわけで、県はなぜそういった措置を取るのか。A社との間に何か特別な理由があるとしか思えない」などとして、今後の対応を検討している。

 

前原リサーチパーク用地は、県が九大学研都市構想に関連して06年7月、A社所有の土地と県有地7所とを等価交換し取得。07年、用地から環境基準値を超えるヒ素などが検出され、産業廃棄物が埋設されていたことが発覚。「県は事前に産廃埋設の可能性を知っていたのではないか」などと議会で追及され、麻生渡知事は「損害があればA社に賠償を求める」と答弁していた。

同会は「A社はこの用地に廃棄物が埋まっている可能性を知りながら説明を怠り、県は少なくとも土壌調査(07年)費298万円の損害を被った」「発覚から1年以上経っても何ら賠償を求めていないのは不当で、県は損害を補填する措置が必要」と主張している。