注目集める・益正グループ [2012年7月18日16:08更新]

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福岡には50年以上の、業歴を持つ老舗飲食店も多い。一方で客のニーズも多様化し、新旧飲食店の集客競争は一段と激化している。代表が飲食店勤務の経験を生かして、平成5年に居酒屋「益正」が、福岡の地に忽然と出現した。 後発ながら代表の経営感覚は斬新で、たちまち福岡での知名度は上がり、地域性を生かしたメニュー構成が顧客のニーズを掴み、営業形態を変えての店舗展開が進む。平成16年には福岡を中心に19店舗を擁し、急激に売り上げが増して、年商は約31億円を超えた。同社の特徴は各店舗の社員の意見を尊重し、店舗毎にメニュー構成が異なり、地域に密着した営業戦略は見事に当たった。店の雰囲気が良ければ社員はもちろん、客が新たな客を呼ぶ好循環で店内に活気が溢れる状況が続いていた。

社員の成長は著しく幹部社員への登用が功を奏し、益正グループは多くの幹部社員によって、支えられていると、客の間でも話題になるほどであった。代表も順風満帆の売り上げ増から、株式の公開を夢見て、夢を実現するために取引銀行などと、株式公開の準備をはじめる。

しかし福岡で起きた飲酒運転による交通事故などの影響から、グループ郊外店の売上げが急速に下降線を辿る。毎日が勝負の飲食業だけに、売上げの減少は即資金繰りに影響を及ぼし、急速な店舗展開であった為に、金融機関からの借り入れが重く、資金繰りを圧迫し始めた。

繁盛しているときは、社員も良く働き明るく楽しい店も、一度歯車が狂いだすと瞬く間に灯が消えたようになる。スクラップ&ビルトを行なう傍ら、資本増強などで財務面も持ち直し、関係者も安堵した。しかし一度離れた顧客の回帰は難しく、新たに飲食関連の新分野に挑戦、代表を取り巻くブレーンの努力で、それなりの成功を収めたように聞いている。

ところが強い絆で結ばれていた代表と幹部の間に、トラブルが起きた模様で、経営を担っていた幹部に変化が起き始め、相次ぐ退社の情報が伝わってきた。飲食業は特に社員の独立心が強く、一国一城の主を夢見る社員も多いだけに、新たな独立話などの情報も聞かれる。財務面においてもメイン銀行から、これ以上の資金調達が難しいと言われ、かなり厳しい状況になっているようだ。取引先の協力を得て安価での仕入れをスムーズにし、社員の奮起を促しヤル気を出させ、これを乗り越えるのが代表の才覚で、初心に戻り頑張って貰いたいものだ。