グローバル化に対応 福岡県国際交流センター 国際理解教育や外国人支援 [2012年8月1日16:41更新]

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急速にグローバル化が進む世界。地域の発展も、いかにこのグローバル化に対応できるかにかかっている。古くからアジアへの玄関口として歴史誇る福岡だが、その歴史に安住するわけにはいかない。海外からやってきた人々をあたたかくもてなし、その異なる文化から学び国際理解を広げる一方、国際感覚豊かな人材、国際化を担う人材の育成が求められている。福岡県においてそうした幅広い取り組みを行っているのが財団法人国際交流センター(福岡市中央区天神、新宮松比古理事長)だ。同センターの設立は1989年6月。今年で設立23年になる。

同センターの取り組みは、国際化を担う人材の育成や友好都市・地域との交流、国際交流を行う団体や個人の支援、海外の福岡県人会の支援、そのほか国際交流に関しての情報提供や広報などと幅広い。

アクロス福岡3階に 「こくさいひろば」

その活動の一端をかいま見られるのが、事務局を置く福岡市中央区天神のアクロス福岡3階の「こくさいひろば」。広いワンフロアのスペースに交流スペースや書籍やビデオなど情報提供コーナー、外国雑誌・新聞コーナー、留学資料コーナーなどがあり、いつも外国人と日本人、外国人同士の交流が行われている。

ひろばでは、奇数月には外国人スタッフが中心となって外国の文化を紹介したり、一緒にお茶を飲んだりしながら交流する「こくさいひろばカフェ」、偶数月には国連人間居住計画(ハビタット)福岡本部のスタッフが、世界での活動を紹介する「ハビタットひろば」を開催している。もちろん、利用はだれでもOK。外国の資料などを見にふらっと入ったのがきっかけで、外国人の友人ができるなんてこともあるかもしれない。

全国でも注目 留学生サポート

ひろばの一角にあるのが、全国でも注目されている「福岡県留学生サポートセンター」だ。多くの大学や高等教育機関が集まる福岡県内の留学生は約9300人で全国第3位。これら留学生は母国にとっても福岡にとっても貴重な人材。手厚くサポートすることで、国際交流の架け橋にも県内企業の有能な働き手にもなる。

そのため、アルバイトの紹介や生活相談、地域社会との交流の支援、日本企業への就職の紹介、福岡県留学生会の支援も行っている。こうした在学中の支援だけではなく、入学前には海外での福岡留学フェアの開催(ハノイなど8都市)、県内の外国人学生向けの進学説明会の開催、さらに卒業後のフォローアップ事業として昨年は「留学生・帰国留学生交流フォーラム2011」を開催、また帰国留学生会の設立支援も行い、昨年9月に「ベトナム元日本福岡留学生会」、今年2月には「上海福岡留学生会」を設立している。

県内在住の外国人は約5万2000人あまり(09年)。70人以上在住する国だけでも16カ国に及ぶ。こうした在留外国人が地域社会に溶け込む壁になっているのが言葉。すでに日本語学校のほかにボランティアによる日本語教室が県内に80教室(今年3月末)開設されているが、日本語教室などのない地域もある。そこで、同センターではNPO団体と協働し、未設置地域に日本語教室の初期開設支援を行っている。08年度に八女市と朝倉市、09年度に中間市と宗像市、10年度に糸島市、11年度に行橋市に開設した。

小・中・高校に 留学生講師派遣

国際化を担う人材の育成も重要な事業。それにはまず、青少年への国際理解教育が大事というわけで、小・中・高校に県内在住の留学生や青年海外協力隊など海外活動経験者を派遣する取り組みを行っている。11年度は講師派遣が63カ所111人、講師紹介が48カ所81人にのぼっている。

青少年を海外に派遣するアジア友好事業も活発に行っている。昨年8月には高校生6人をタイ・バンコク都に派遣。現地の高校を訪問しての交流やホームステイを行った。また今年3月には、バンコク都が各国の友好都市の大学生を招待し、経済、環境、観光などのテーマを議論した「バンコク・シスターシティ・ユース・プログラム2012」に4人の大学生を派遣した。

海外には、ブラジル、パラグアイなど9カ国、21地域に海外福岡県人会がある。福岡県人の海外移住は1885年のハワイ移住が最初。戦前、5万1240人が海を渡り、戦後も93年までに中南米に4368人が移住している。県人会も今や2世、3世が中心で、日本語や日本の文化を知らない世代も増えている。そこで、県人会の子弟を県内の大学などに毎年1年間、留学生として受け入れ、各自の専門知識や技術の習得とともに、福岡県の文化や社会に触れ、地域住民と交流することで、福岡県と移住国の架け橋となる人材の育成に努めている。  来年2月には「第8回海外福岡県人会世界大会」が開催される。そのため、各県人会を訪問しての交流促進・関係強化にも力を入れている。

ユニークな取り組みとして、アジアの若者文化交流を活発にするため、最新のポップカルチャー情報を多言語(7言語)で発信するウェブサイト「アジアンビート」がある。11年度は184カ国・地域(延べ)の海外からも含め1117万アクセスがあった。