地に落ちた名門コース [2012年8月1日16:45更新]

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数ある福岡近郊のゴルフ場の中では、古賀ゴルフ・クラブの格式が最も高いと言われている。だが歴史的には唐津ゴルフ倶楽部が古く、経営しているのは唐津の名門企業の昭和自動車グループ企業だから安心し、メンバーであることを誇りに思っていた。 ところが、預託金の返還を巡り裁判へと発展したことで、同ゴルフ倶楽部は煩わしい問題を避けるためか、突如佐賀地裁へ法的手続きを申請した。申請に際してもグループのメンツを重んじた余り、金融機関からの借入金や取引先への仕入代金などは、前日までにすべて支払いを済ませていたほどだ。債権者は預託金を預かるゴルフ会員だけに限定した、実に見事な事前処理だった。

同ゴルフ倶楽部は法的手続き申請後、組織変更を行う一方、経営から手を引くため昨年11月2日から約10年間の契約で、運営をリゾートソリューションに委託。だが新しく就任した若い支配人は、パブリックコースを運営した経験しかなく、常識では考えられない経営を始めた。利益確保のためコストカットに走り、手の空いているキャディをレストランで接客させた。また来客数を増やすためプレイ料金も値下げしたが、マナー意識に劣るビジターが増え、これでかつて唐津ゴルフ倶楽部が持っていた良い雰囲気は消え失せた。

あろうことか、フロント前のロビーをコンペルーム替わりに成績発表で使用、おまけに賞品ではなく賞金の現金が飛び交う有様で、余りの騒々しさに来場していた他の客が眉をひそめる始末。従業員も見て見ぬ振りで、地元プレイヤーの質の低下は驚くばかりだ。開いた口が塞がらないとはこのことで、接待などではとても使えないゴルフ場に堕落した印象だ。コース管理だけは未だに健在でせめてもの救いだったが、売上増と利益至上主義がこのまま続くようであれば、コース管理もいずれはという、一抹の不安がぬぐいきれないことも確かだ。  客が店を育て店が客を育てるとよく言われているが、運営のトップ自らが品格を落とすような経営では、良い客は集まらずコースが荒れるのも時間の問題だろう。ゴルフには、バンカーを使用したプレイヤーは自らの足跡などを直し、グリーンではボール跡があれば黙ってフォークで直すマナーが求められている。

佐賀県内でこれ以上の集客を求めようとすれば、料金を下げねばならず、ゴルファーの質が落ちるだけで、ゴルフ場経営には決してプラスにはならないだろう。むしろ高速道路の延伸で、時間も短縮されているため、福岡からの集客に力を入れるべきではないだろうか。名門と言われてきただけに、唐津ゴルフ倶楽部でプレイしたいと希望する、福岡のゴルファーはまだ多い気がする。名門コースだけに、ゴルフ場の格式が落ちていくのを見るのは忍びない。