長浜の鮮魚市場で架空取引 総額30億円超か [2009年5月20日09:01更新]

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福岡中央魚市場などが入る市場会館(長浜)中央卸売市場(福岡市中央区長浜)の鮮魚卸売業「福岡中央魚市場」(同)など複数の業者が07年から始めた冷凍マグロの取引量がこの1年あまりで激増。そのほとんどが、商品を業者間で循環させるなどした「架空取引」だった可能性が極めて高いことが分かった

架空取引は今年3月まで続いたが、業者が代金不払いを起こして破綻。それまでの架空取引の総額は30億円を超えると見られる。



この取引で中央魚市場への未払い金約2億4000万円が発生。取引に関わった老舗仲卸業者が休業するという事態となっており、回収は事実上困難な状況。

現在、市場を監督する福岡市が詳しい調査を進めており、中央魚市場は「通常の取引だと思っていた」と説明しているという。一部の業者は「だまされた」として法的措置も検討している。
(写真=福岡中央魚市場などが入る市場会館) 

福岡市農林水産局鮮魚市場や関係者の話を総合すると、福岡中央魚市場と仲卸業「喜平商店」(同市長浜、現在休業中)、鮮魚卸業者などが冷凍マグロの取引を始めたのは07年夏ごろ。中央魚市場が仕入れたマグロを喜平商店が買い、それを鮮魚卸業者に転売する形で始まった。

ところが昨年から取引量が急増、さらに4月からは別の仲卸業者が取引に加わり、市場関係者から「福岡でこれほどマグロの需要が伸びるのはおかしい」との声が上がった。このため福岡市は昨年10月、関係者から話を聴くなどして調査。その際、中央魚市場の仕入れ先が、仲卸業者が転売していた鮮魚卸業者であることが判明し、市は「仕入れ先と販売先が同じなのはおかしいのでは」と指摘していた。

その後も取引は続けられたが今年3月、鮮魚卸業者から仲卸業者への支払いがストップし一連の取引は破綻。仲卸業者からの代金請求に対し、鮮魚卸業者側は「商売の実体がない架空取引だったのだから、代金請求権が発生するはずがない」などとして支払いを拒否している。

一方、中央魚市場は福岡市に対して「マグロ売買の実体はあった」と説明しているという。

★5月15日号で詳報