デパートから和菓子が消える日 [2012年12月17日14:55更新]

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福岡市には岩田屋、大丸、三越、阪急の4つのデパートがあり、売上を競っている。デパートは数え切れないほど多くの品を揃えているから、百貨店と呼ばれていた時代もあった。しかしその後、販売している商品によってはアイテム数が増えたため、客の求める品揃えが出来なくなり、百貨が次第に数を減らしていった。  最初にデパートから売り場が無くなったものとして「本」がある。そして何時しか「おもちゃ」売り場も消えた。また「家電製品」もデパートでは広い売り場を占めていたが、家電量販店に比べると坪単価売上が低く効率が悪いため、姿を消した。

一方、デパ地下の食品売り場は精肉、鮮魚、野菜などの生鮮三品が、産直品やブランド品、高級指向や健康指向などの特色を持った品揃えで、購買力を煽っている。  そして阪急が昨年3月、博多駅ターミナルに初進出してからは、従来福岡には無かった全国ブランドのスイーツ人気店が出店、菓子業界も競争が激しくなってきた。

今では市内のデパートを一巡すれば、全国的に有名な菓子はほとんど購入出来ると言ってもいいだろう。また最近はコンビニもスイーツに力を入れており、新商品も相次いで開発されている。コンビニスイーツはまず価格が安い。そして少量ずつ1コからでも買えるところが良い。自宅で食べるには手頃な値段と量で、よく売れているようだ。

ところが地元福岡で銘菓と呼ばれている老舗菓子舗は、どこも苦しい戦いを強いられているのが現状だ。

企業などが得意先への挨拶回りで手土産として購入していた菓子も、美味しいと評判の高いスイーツや、商品が小分けされた実利的なものに変化しており、有名菓子舗の包み紙や紙袋も影を潜めている。駅や空港で販売されている博多土産の菓子類はまだ健在だが、高級和菓子を中心にした店舗は、デパートからの撤退を真剣に考え始めてきたようだ。

デパートに出店して、売り場面積や売上高に比例した賃料を要求されるのは仕方ないにしても、その他にカード利用客の手数料や協賛広告費など、デパートが催事を行えば様々な名目で負担金を強要され、売上は伸びたとしても手元に残る金は僅かでしかないからだ。

デパートの魅力も最近は薄れつつあり、いつの日にかスイーツ売り場から和菓子が消える時が来るのかもしれない。