大混乱! 福岡2区自民党事情 [2012年12月17日15:16更新]

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安倍晋三新総裁のもとで、政権奪還をほぼ手中にした自民党。「近いうちに衆議院解散・総選挙」という野田総理の言もあって、自民党福岡県連本部は候補者がまだ決まってない、衆院選福岡1区と2区の候補者選定を開始した。2区では山崎拓元自民党幹事長が高齢を理由に不出馬を表明していたことで、公募方式による候補者選定となった。一般的に公募方式は票の掘り起こしにつなげるため、有権者に分かりやすいように候補者選考過程をガラス張りで行うのだが、既に候補者が決定している福岡3区と同様、すべてを秘密裡に進める方針だ。そのため誰が名乗りを挙げているのかさえ定かではない。真相を探れば探っていく程、生臭い話があちらこちらから聞こえてきた。

「修猷館卒で若い人」 

この公募では、締め切り時点でなんと21人が名乗りを挙げたという。当初は18人も、という声さえあったのだが、駆け込みでさらに3人増え21人に膨らんだ。この中で福岡県に縁がないとして外されたのが3人、また書類不備で1人が外され、最終的には17人が残った。

顔ぶれも多士済々で、霞が関官僚や大手商社勤務のエリートから、国際キャビンアテンダント経験者や、たけし軍団所属のタレント、医者に弁護士も顔を揃えているらしい。次の衆議院選挙で自民党候補になることが国会議員への最短コースということもあって、国政議員を目指す人物が殺到したのだ。

しかしこれでは自分と無関係の人物が候補者になってしまう、そんな危機感を持ったのが山崎拓氏だ。本当は出馬したかったのだが、周囲にそっぽを向かれ不出馬に追い込まれた山崎拓氏は、後継の決定になんらかの影響力を行使したいと思ったようだ。山崎派の武田良太衆議院議員・自民党福岡県連会長に「自分の希望は修猷館卒で若い人」と囁いたらしい。

これで山崎拓氏が引退するなら、後継の最有力候補と言われてきた中央区選出の鬼木誠県会議員は、ラサール高卒だから「拓さんの意中の人ではない」との話が広まった。では修猷館卒で浮上するかと思われた阿部真之助市会議員は、拓さんに気に入られていないため、「県会議員がダメなら市会議員もダメだろう」という形で潰されるとの見方が流れている。では誰が本命なのか。

そこで情報通の間で出て来た人物が、三菱商事社員で修猷館卒のS氏である。小川洋知事、麻生渡前知事にもラインがある人物といわれたが、最近はどうもこの噂自体が、三菱地所出身のM氏と混同されたのではないか、との話もあって定かではない。

本命登場か

そうこうしているうちに「拓さんの本命は日銀で現在貯金保険局に出向しているK氏だ」という話が耳に入る。東大卒でアメリカの大学院に学んだという経歴は、福岡を代表する2区の顔として申し分ないというわけだ。このK氏ならば最近福岡県で影響力を増した麻生太郎元首相も異存はないらしい。  というのも福岡3区では古賀誠衆議院議員の姻戚で、古賀派のパーティーでも挨拶した古賀篤氏が候補者に決定している。福岡1区も古賀誠氏の秘書を務めてきた新開裕司氏が、周囲の状況に規定されてグズグズしている対抗馬の井上貴博県会議員を尻目に、東区で辻立ちを重ね候補者としての実績を積み上げてきている。さらに2区で鬼木県会議員が候補となれば、福岡市での麻生太郎氏の影は薄くなる。  安倍晋三総裁誕生にひと肌脱ぎ、キングメーカーとして中央政界では、久々にその力を再認識させた麻生太郎氏としては、この2区こそは官僚出身か大手企業のエリートサラリーマンを候補者として選定してほしいと願っているのだ。だが自分が表に出ては反発をくらう。そこで山崎拓氏に協力し、山崎拓後継候補を認めるというのが現在の麻生太郎氏のスタンス。いまや福岡市・県の財界は中央との関係で太いのは麻生太郎氏のライン。市長も県知事も麻生太郎氏の影響力のもとに誕生した点を考慮すると、山崎拓氏も麻生太郎氏の意向を受けて、2区での影響力を行使するのにやぶさかではない。  S氏の話が最初に流れたのは当て馬だったからで、当初から拓さんの本命は2人といわれていた。それがK氏であり、M氏というのが現在の定説だ。

駆け引きは続く

今回の公募に吉田宏前福岡市長が応募したのでは、という噂も流れた。結局、それはなかったとして落ち着いたのだが、この噂が出てくる理由はある。8月時点で吉田宏氏は麻生太郎氏に出馬を相談していたという。「自民党候補としては無理がある」ということで、見送りとなったというのは有力情報筋の話。「そもそも民主党の推薦で市長になった人がよくもまあ」というのがその人の弁。「首長を1期しか務められなかったにも関わらず、自分を落選させた麻生太郎氏の所に行くとは」とまで酷評する。

このようなエピソードを伴いながら、福岡2区の自民党候補者決定まで密室作業は進む。応募者が多すぎ書類選考で半分ぐらいまで絞り込まないと、面接する時間もとれないという話もでている中で、本命といわれるK氏が出てくるのか、それとも意外な人が浮上してくるのかまだ不透明だ。最近では「山崎拓氏の意向は選定には関係ない」という話も強調され始めた。どんでん返しの様相も呈しつつ、福岡2区の自民党候補者選定は最後までもつれそうだ。