麻生総理の地元に異変(1)無風区一転、注目の選挙区に!? [2009年7月21日09:11更新]

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演説する山本氏(7月18日、飯塚市)今日21日午後にも衆議院が解散される。各陣営はそのまま一気に「政権選択 夏の陣」-8月30日に予定される総選挙へとなだれ込む。

福岡は麻生太郎総理をはじめ派閥の領袖、前閣僚ら自民党のベテラン・実力者が名を連ね、全国的に注目されている選挙区がいくつかある。そんな中で麻生総理の地元、福岡8区(飯塚市、直方市など)の注目度がにわかにアップしている。

通常であれば現職総理の選挙区は事実上の「無風区」、少なくとも当落・結果についてメディアに取りざたされることはまずありえない。ところが今回ばかりは様子が違う。麻生総理のお膝元で、一体何が起こっているのか。



 

7月18日土曜日、飯塚市の大型スーパー駐車場。多くの人々が並んだ車の隙間を埋めるようにして立ち、「主役」の登場を待ち構えている。地元県議や応援に駆け付けた国会議員の演説の後、大きな体の若者が遊説カーの上に現れると一斉に拍手が起きた。「現状か未来か。ここが変われば日本が変わるんです」。若者は声を張り上げ、腕を振り回す(写真)

民主党公認の立候補予定者、山本剛正氏(37)。国会議員の秘書を務めたことはあるものの、政治経験はほとんどないと言っていい「落下傘候補」である。07年末の出馬表明以来、自らポスター張りを行うなど地道に活動を続けてきた。「相手はセレブ、こっちはセルフ」(山本陣営関係者)。

8区の自民現職は、麻生財閥の御曹司であり現職の総理総裁、麻生太郎氏。その対抗馬は無名の新人。福岡県内では他にも自民の実力者・有名議員が多く、それぞれが厳しい選挙戦を強いられている。そんなこともあって麻生氏が総理に就任して以降、8区が注目の選挙区として挙げられることはなかった。一時は「あそこは選挙になってない。取材の必要なし」(地元民放記者)との声も聞かれたほどだ。 

 

ところが状況は一気に変わった。今月15日、地元の西日本新聞が九州管内を取材した総選挙関連の連載を開始、その1番手として福岡8区を取り上げたのだ。

「地殻変動 首相の足元 翻る反旗」。従来の麻生支持層がついに離反を始め、同陣営も苦戦を覚悟している-そんな内容の記事は、関係者に大きな衝撃を与えた。

「取材の必要なし」とされた選挙区が一転、注目区の1つに躍り出た。「この記事の反響は結構大きかった。ドイツのメディアからも取材の申し込みがあったほどです」(山本陣営関係者)。一方、麻生陣営は西日本新聞側に激しくクレームを付けたという。

 

実は、「麻生総理就任直後にも」とされていた解散・総選挙の先送りが決定的となった昨年末辺りから、「あまり注目されていないが8区は意外と面白くなるのでは」との声が自民関係者の間で囁かれていた。また地元で取材するマスコミ記者からも「確かに麻生氏も、言われるほど地元で人気があるわけではないのだが・・」との声が漏れていた。

本紙はこうした事実についてHPなどで紹介してきた。だが大手メディアにおいては「現職総理に無名の新人候補が太刀打ちできるはずがない」-こんな先入観が支配的で、同選挙区を取り上げることためらわせていたのが現実だった。

だが、「変化」は麻生総理の足元で、確実に進んでいたのである。

(続く)