民主県連体制刷新 真の狙いは?(2)金銭絡みの疑惑表面化 [2010年1月7日09:45更新]

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(09年12月号掲載)

新幹事長に就任した吉村敏男県議(中央)「吉田宏氏は当初、北九州市長選への出馬を目指していた。ところが、これとは別に北橋健治氏も出馬の意向を固めており、現職との三つどもえになれば新人2候補が不利になる。 

そこでS県議は吉田氏を福岡市長選の候補にするという『ウルトラC』を編み出し、北橋氏の出馬へ道筋を付けた。結果、両ポストを押さえたわけですから、確かに彼の功績は大きい」(民主関係者)。 

両市長選に勝利した民主は続く統一地方選挙(07年4月)でも議員を大幅に増やした。

「S県議は保守系議員とのパイプを持つなど民主では珍しい辣腕タイプ。一部関係者の反発は根強かったが選挙戦での勝利という形で結果が出ている以上、表立っては誰も何も言えなかった」(前出マスコミ記者)。 



衆院選でもS県議は、自民有力議員である古賀誠氏のお膝元、福岡7区から前八女市長の野田国義氏を擁立する際、保守系県議らと結託するなど暗躍、「まさにわが世の春でした」(同)。

ところがここへ来て大きく事情が変わってしまった。 
(写真=新幹事長に就任した吉村敏男県議<中央>)

数々の疑惑が浮上  

衆院選直後の09年9月上旬、福岡2区で山崎拓氏を破り当選した稲富修二氏が知事選(07年)に出馬した際の資金のうち、約1900万円が使途不明になっていることを地元紙が報じた。 

これを受け、当時の選対本部長で元県議のK氏が会見し「金は私が預り、別の財界人に預けている」などと釈明。その後金は県連に返却されたものの「K氏を本部長に据えたS県議ともども、陣営の金を私的に流用していたのではないかという疑念が県連内に渦巻いた」(前出民主関係者)という。 

それだけではない。本紙は07年12月号で、パラマウントテーマパーク建設計画に絡み、S県議が「日本トレイド」(博多区)の未公開株を関係者に購入させていた疑惑を報じた。

このような金銭に絡む疑惑は、S県議の周辺に事欠かないのが現実である。

手腕を惜しむ声も  

こうした点も含め「県連内の『質の悪い部分』を大掃除しなければならないことをあらためて感じている」との声が関係者から上がっていることは9月号で報じた。今回の幹部交代劇は、本紙が指摘した通りになった結果、と言えるかもしれない。

幹事長辞任を受け、県連内からは「彼はやりすぎた。交代も仕方ない」との声が漏れる一方、一部の支持者からは「問題はあっただろうがS県議の手腕が民主躍進に必要だったのも事実。これからどうなるのか」と危惧する声も。 

新体制となった民主県連、そしてS県議の動向を、今後も注視したい。