中島孝之・前副知事逮捕の内幕(2)「もらい慣れに渡し慣れ」 [2010年3月17日13:30更新]

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(10年2月号掲載)

福岡県庁一方、贈賄容疑で逮捕された山本文男会長(添田町長)。他を寄せ付けない雰囲気を漂わせ「国の役人も一目置く存在」(地方自治関係者)だった。

「一度聞いた数字は忘れないなど頭脳は明晰。地方分権にも、頭が下がるくらい熱心な人」(町村会関係者)と、行政手腕にかけてはこちらも「名声」ばかりである。 

だが、こと「金」に関しては違ったようだ。ある大手マスコミ記者は「中島さんは『もらい慣れ』、山本さんは『渡し慣れ』だった」と語る。



中島前副知事は、逮捕容疑の100万円以外にも数回、金を受け取った疑いが。山本会長にいたっては「町長になる前、贈賄で捕まったことがある」(同)という。

捜査関係者は「本人たちには罪悪感は大してなかったのでは」と話し、元県政担当記者は「やっぱりなぁ、という感じ。2人ともろくなもんじゃないと思ってましたよ」と吐き捨てる。
(写真=福岡県庁)

麻生渡知事の進退問題は  

2人が逮捕された2月2日。県警による中島前副知事の事情聴取を新聞各社の夕刊が報じ、記者団の取材に応じた麻生渡知事は「警察から連絡は受けているか」との問いに「まあ、それに近いことですね」と答えたという。ある県政担当記者は「さばさばして吹っ切れた表情に見えた」と振り返る。 

前日の同月1日。新規プロジェクトの進捗状況を報告しようと知事室を訪れたある課長は、麻生知事から「そんな話は後だ」とけんもほろろに追い返されたという。

別の職員も、この日の様子を「いら立っているようでどこか変だった」と打ち明ける。ベテラン県職員は「直前に何か情報をつかんで気が気でなかったのかもしれない」と推し量る。 

 

来春の知事選への出馬に意欲的とされる麻生知事。昨年12月に中島前副知事が接待疑惑の「道義的責任」を取る形で辞職して以降、講演会などで新年度予算案に盛り込んだ目玉事業をアピールするなど、傷付いたイメージ回復に躍起だった。

「汚職事件にまでなるとは夢にも思っていなかっただろう。接待疑惑だけなら、失墜した県政への信頼を取り戻すことも十分可能だったはずだ」(前出大手マスコミ記者)。 

だが側近中の側近の逮捕となれば、知事の任命・監督責任は免れまい。接待疑惑の真相究明に及び腰だった県議会もようやく追及の構えを見せ始め、県民からも批判が高まれば知事自身の進退問題が浮上する可能性もある。

 

ある県議は断言する。「今回の件は4期15年という長期政権のひずみにほかならない。知事の残任期間、レームダック(死に体)になるのは目に見えている」 

最大の試練を迎えた麻生知事。乗り切ることができるのか、それとも・・。