今秋予定の福岡市長選 水面下の動向(2)野党会派 候補選定難航 [2010年5月24日14:12更新]

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(10年4月号掲載)

福岡市役所民主県連執行部が刷新されたことも影響するかもしれない」。こう見るのは別の民主関係者である。

昨年11月、衆院議員の松本龍県連会長(当時)が突然辞任を表明。これに伴う形でS幹事長も交代し執行部は刷新された。

一部の反対を押し切って吉田氏を担ぎ出したのは“辣腕”で知られた前幹事長のS県議。だが昨秋に交代して以降、糸島市長選をはじめ選挙で結果が出ていない。実際に支持率が低下している以上、前回のような追い風は望めない。参院選も含め厳しい戦いになると覚悟している」



会合持つも野党は結論先送り  

4月8日、野党保守系3会派(自民、公明、みらい)の関係者が市内で会合を持った。市長選での統一推薦候補擁立を目指して話し合うのが目的だったが結局、結論は出なかったという。

「国政では自民からの離党者が新党を立ち上げたり、離合集散の真っ最中。極めて流動的な状況で結論を急ぐべきではない、夏の参院選の結果を見てからでも遅くない─ということで、先送りとなった」(自民関係者)。 

一時は「徹底的に戦うという若手議員がいる一方で、市長側にすり寄ろうとする市議もいる」(ある自民市議)とされた保守系会派。だがこの会合の結果から分かる通り、野党3会派として「反現職」でいく方針は固まったようである。

ただ、では対抗馬として誰を擁立するのかという段になるとこれといった案が出ず、意見がまとまらない。  

 

これまで有力な候補者として名前が浮上したのは元市幹部の女性。昨年夏、出版記念パーティーを開催した際にはある自民ベテラン議員が出席、マスコミも注目していた。 

だが、自民若手市議やみらいの反発が激しく、「本人はやる気まんまんで、退職を理由に各方面へ挨拶回りをしているが、野党が推す可能性はほとんどない。そうなると選挙資金面で問題が生じることから、側近からは『政党推薦を得られなければ出馬は難しい』との声が漏れている」(選挙通)。

 対抗馬の本命か?

そんな中、最近になってある男性の名前が一部関係者の間で取りざたされ、「野党統一推薦候補の本命ではないか」と囁かれている。 

この男性は地元有名公立高校、東大出身の元財務官僚で、現在東京在住。中央区の商店街にある有名店と姻戚関係にあるという。

「自民ベテラン市議がこの男性を担ぎ出そうと画策している模様。毛並みもいいし、保守系3会派でまとまる可能性は十分あるだろう」(前出自民関係者)。 

 

また、かつて参院選での出馬経験があり、前回市長選でも名前が挙がった現職保守系県議も意欲的とされる。

「次期参院選にみんなの党から立候補することになった県議と親しく、密に連絡を取り合っているようだね。そのため、同党推薦で出馬するとの見方が強まっている」(前出選挙通)。

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国政レベルにおいては、民主の支持率が低下の一途をたどる一方で、自民からは離党者が相次ぐなど「崩壊」が始まり、「第3極」を謳った新政党も誕生した。 

このため、夏の参院選では候補者が乱立、大混戦の様相を呈している。秋の福岡市長選でも前回の自公vs民主のような単純な構図にはなりそうもなく、各党の思惑が絡んだ水面下の動きは当分、続きそうだ。 

福岡市民の未来がかかる市長選。本紙は今後も随時報じていく予定である。 

【編注】4月号にて本稿掲載後、保守系会派は元財務官僚の擁立を断念した模様