障がいを知って授業に活かそう 福祉セミナーで学ぶ教師たち [2010年9月29日12:18更新]

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(10年8月号掲載)

アイマスクを着けて焼き芋づくりに挑戦学校が長期間休みになる夏休みは、教師たちにとっては勉強に励む研修の季節である。

7月28日と8月4日の2回にわたって北九州市で開かれた「夏のふれあい福祉セミナー」には、視覚障がいや聴覚障がいの実際を知って授業に活かそうと学ぶ教師たちの姿があった。



同セミナーは、県立北九州視覚特別支援学校、県立小倉聴覚特別支援学校、社団法人北九州市障害福祉ボランティア協会で作る実行委員会の主催。参加したのは、北九州、京築、筑豊地区の小・中・高校で特別支援学級を受け持ったり、受け持ちクラスに障がいのある子どものいる教師たち計約50人である。 

 

7月28日の会場は県立北九州視覚特別支援学校。まずアイマスクをつけた人と介添え役の2人1組で視覚障がいの疑似体験をした。介添え役が何も話さずに歩くのと、周囲を説明しながら歩くのを体験。介添え役の役割の大切さを学んだ。 

その後、北九州市の福祉・ボランティア教育用副読本「やさしさのあるまちづくり」(中学生用)を使った授業プランの提案や障害福祉ボランティア協会が行っている小学校での出前授業の様子が披露された。

出前授業は、同協会出前授業担当委員で、自身が車イスユーザーである後郷法文さんが、教師たちを小学生に見立てて、いかに障がい者への理解を深める授業を行うかについて話した。 

 

8月4日は県立小倉聴覚特別支援学校を会場に行われた。午前中、「きこえない、きこえにくいってどんなこと」と題して講義が行われ、耳の構造や聞こえの仕組みを学んだ後、補聴器や赤外線補聴システムの体験もした。 

さらに「きこえにくい子どもへの配慮と支援」として、「ちょっと立ち止まって、きこえない子どもの立場に立って考えること」「きこえない子どもがいると意識することから支援が始まる」ことが強調された。 

午後は、北九州市障害福祉ボランティア協会のコーディネーター、遠山昌子さんが出前授業「いっしょに歩こう!」を紹介。点字の意味や歩道の点字ブロックの見方、横断歩道と車道との段差が、視覚障がい者や車イス利用者など多様な障がいを持つ人同士の話し合いで「2センチ」に決まった経緯などが話された。 

その後、障害福祉ボランティア協会会員で視覚障がい者の高嵜和子さんの指導で、アイマスクをつけて焼き芋を作るモデル授業が行われた(写真)。 

アイマスクをつけた教師たちは、おそるおそる包丁を握って、サツマイモを適当な大きさに切ることに挑戦。次には、ホットプレートに芋を乗せ、焼き上げる。高嵜さんから、いかにやけどをしないで芋を焼き上げるかの方法を教わって、教師たちは視覚障がいの困難さとそれを乗り越える工夫を学んでいた。 

北九州市の小学校で特別支援学級を受け持つ若い女性教師は「ほかにもいくつか研修会がありますが、このセミナーは実践的なので、毎夏参加しています。早速、学校で活かしたいと思います」と抱負を語っていた。

【問い合わせ先】
北九州市障害福祉ボランティア協会(戸畑区) 
093-882-6770