傾斜マンション・杭長の不足が判明(後)

検査を行った㈱日本建築検査研究所代表取締役の岩山健一氏は、今回の調査で初期沈下を認識した上でマンションを販売し、その後も不具合が出て瑕疵を疑う住民に対し虚偽の説明で押し通してきたことについて、不誠実で悪質と批判した。

住民側はこれまで、ドアの開閉が困難になったり建物各所でひび割れが繰り返されてきたことから、売主側に原因の徹底究明を再三申し入れてきた。

売主側は一通りの調査を行い、平成29年12月27日付の報告書で、「杭は支持層以下まで到達していると考えられる」、「建物の傾斜が不具合の原因であることは否定できない」という内容を住民側に伝える。

それに対し、住民側がJR九州マンション事業部の担当者に「今後、建物が傾斜した原因の追究はしないのか」とメールで確認したところ、売主側はそれを認め、以後住民側と協議が行われることはなかった。

困り果てた住民側は同30年5月に補修工事を求めて調停を申し立てたが、売主側から歩み寄ることはなく翌年5月に不成立に終わる。

その後、住民側は日本建築検査研究所の岩山氏とコンタクトを取り、大きな後ろ盾を得ることとなった。

25年もの間、専門的な知識もない住民側は、捏造されたデータ等で「構造上の問題はない」と言いくるめられてきたが、今回の調査結果をもって訴訟を検討中だ。

「負の遺産」を受け継いだ売主側にとって難しい案件と思われるが、マスコミが注目する中で法廷で争うか、それとも瑕疵を認め補償を前提に管理組合とテーブルに着くか、大きな岐路に立たされていることは間違いない。(了)



 

傾斜マンション・杭長の不足が判明(前)

「JR九州を信じて買ったマンションが施工不良と判りショックですが、それ以上にこれまでの対応が許せません。」
福岡市東区の傾斜マンションの住民は怒りが収まらない。

今年2月から㈱日本建築検査研究所(代表者 岩山健一氏)が傾斜原因の調査を行ってきたが、建物を支える杭の長さ不足が立証され、建設時から構造上の問題があることを知りながら販売していたことが明らかになった。

まず、建物を支える基礎杭の調査だが、傾斜が最大の1階地点のベランダ(南)側と廊下(北)側、2ヵ所をボーリングによる支持層までの深さと、磁気探査棒で杭の長さを測定、その結果、南側は支持層まで17.0mに対して杭長が9.7m、(7.3m不足)、北側は支持層まで16.0mに対して杭長11.9m(4.1m不足)という予想以上の数値となり、これまで疑義のあった杭長の不足が証明された。

次に室内の傾斜を調査、傾きの大きい1~5階までの11戸について、梁や床の傾斜角度及び内部の造作物の角度を測定したところ、全戸とも梁と床板が同一方向に傾斜している一方で、ベランダの柱やアルミサッシの縦枠は垂直に、キッチンのシンクは水平に調整して設置されていた。

建設後に不同沈下が起こり建物が傾斜していた場合は、内部の取付物も同様に傾くはずで、このことから建築工事中に初期沈下による傾きを承知していたことが判った。
(続く)