■ 分譲地を売るのは誰か
前回、旧鎮西中学校跡地が坂平市議のもとで約2億円の利益を生む「打ち出の小槌」に化けようとしている構図を報じた。では、その63区画を実際に売っているのは誰か。
現地の看板と広告に社名が出ているのは、坂平市議ではない。
飯塚市内に本店を置く不動産会社(以下、A社)である。
福岡県への情報公開請求で開示された資料によると、この土地は坂平市議個人からA社へ一括で売却する契約になっていた。
金額は黒塗りだが、既報の総販売額約4億3,000万円と坂平市議側の総事業費から逆算すれば、3億円前後と見るのが自然だろう。
■ 不動産収入は3年で1,640万円
ではA社に、3億円規模の用地を買う体力があるのか。決算書を開くと、首をかしげる数字が並ぶ。
建設業以外の売上、すなわち不動産部門の収入は、令和5年9月期が0円、6年9月期837万円、7年9月期802万円。
直近3年間を合計しても約1,640万円にすぎない。
しかも、その売上原価は3期とも0円である。
仕入れを伴う不動産の売買を、この3年間まったく手がけていないことになる。
財務も心もとない。
令和7年9月期末の総資産は約4,600万円、長期借入金1,836万円に対し、現金預金はわずか約46万円だった。
■ 外注費比率99.5%――施工実態のない元請
A社にはもう一つ、建設業という顔がある。工事経歴書によれば、毎期欠かさず福岡県発注工事を元請で受注している。
令和5年9月期に飯塚警察署二瀬交番庁舎新築工事4,582万円、6年9月期に県営花瀬団地第8工区個別改善工事2,801万円、7年9月期に同第9工区個別改善工事3,903万円。
飯塚市発注工事が加わる年もある。
問題は原価の中身だ。
完成工事原価に占める外注費の割合は、令和5年9月期94.5%、6年9月期98.7%、7年9月期99.5%。
材料費は令和7年9月期でわずか6万2千円、労務費に至っては3期とも計上がない。
自社では資材も買わず、人も動かしていないことになる。
名義だけを貸して工事を右から左へ流している、と見られても仕方がない実態だ。
奇妙なのは、丸投げの度合いが高まるほど儲かっていることである。
完成工事総利益率は、令和5年9月期1.7%、6年9月期11.6%、7年9月期30.6%と跳ね上がっている。
公共工事の一括下請負は、入札契約適正化法により、発注者の承諾があっても認められていない。
これらの数字は、一括下請負に該当する疑いがあると言わざるを得ない。

■ 県は「確認が必要な数字だ」
県はこの実態をどこまで把握していたのか。本紙は今年5月20日、飯塚県土整備事務所の建築指導課を訪ね、決算書の外注費比率を示して指摘した。
担当者は「確認が必要な数字だ」と述べ、問題視する姿勢を見せた。
裏を返せば、県はそれまで3期分の数字を素通りさせていたことになる。
■ 誰がこの会社を支えているのか
施工体制を持たないに等しい会社が、毎年のように県の公共工事を元請で受け、3億円規模の用地取得の受け皿にもなる。実は、地元関係者の間では、A社は元県議と深い関係にあることが知られている。
公有地が現職市議の手に渡り、その市議から一括で買い取る先が、また別の政治的な人脈につながっているとすれば――。
坂平市議の公有地取得から分譲に至る一連の流れで、A社が果たした役割は、単なる「買い手」にとどまらない可能性がある。
― 続 く ―

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