梓設計①

2020年9月14日から5回にわたり、「JA全農ふくれん」と「滉王㈱」の関係について書いたが、滉王と深い繋がりを持っていたのはJAだけではない。

滉王が、公共工事や学校法人の建設工事で「中抜き」をする目的で、1次下請に入る為にあらゆる手段を講じていたが、特に目を付けたのが設計会社である。
元請も設計会社から、1次下請に滉王を入れるよう強く依頼されれば、今後の受注のこともあって無下には断れない。
当初は地場の設計会社から始まり、次第に大手設計会社との関係を築き、事業規模を拡大していった。

恒例の滉王主催の忘年会、会場の席次表を見ると、上座には、㈱日本設計(東京都)、㈱久米設計(東京都)、㈱綜企画設計(東京都)、㈱あい設計(広島県)、株式会社 ユニバァサル設計(神奈川県)等の各九州支社(支店)の支社長ら幹部の名前が並んでいる。

短期間でこれだけの人脈を築いた滉王会長の力量には頭が下がる思いだが、中でも、新国立競技場や東京国際空港などの設計でも知られる ㈱梓設計(東京都大田区 代表者 杉谷文彦氏)との強固な絆は衆目の一致するところである。

2017年の滉王忘年会では、梓設計の喜多村成雄副社長が来賓として東京から出席し壇上で乾杯の発声を、また2018年には来賓挨拶で祝辞を述べるほどの関係だ。
喜多村氏と言えば営業力に長けた人物として業界では知られた存在だが、実は久留米市出身、滉王との接点が数多くあったことは容易に想像できる。



ー続くー

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JAと滉王⑤

看過できないのは、組合員から徴収した組合費や国・県の補助金を原資とするJAの資金が、下請に入って中抜きをする滉王の利益に繋がったこと、それをJA全農ふくれんから単位農協にまで指示が出ていたことである。
前述のように、これは組合員を裏切る行為である。

また、福岡県警が滉王の前社長・会長を「暴力団関係業者に該当する」としており、JAの資金がそのような企業に渡ったということであれば、重大な法令違反に該当する。

全農グループ役職員行動規範の一部を再掲する。

  • 社会的常識・儀礼の範囲を超える贈答や接待の授受は行いません。
  • 業務上の立場を利用して、自己および近親者または知人へ、利益の誘導となる行為はしません。
  • 反社会的な個人・団体に対しては、一切の利益、便宜の供与は行いません。
JA全農ふくれん、及び滉王の忘年会に来賓として招かれていたJA関係者が、同社の社長、会長が逮捕されたこと、県警が自治体に指名排除措置の要請を出したことを知らないはずはないが、何事もなかったかのように沈黙を続けている。

日々真面目に農作物に向き合っている農協組合員がこれらの事実を知れば、説明を求める声が上がるのは必至だ。

JA全農におかれても、これを地方の問題と捉えるのではなく、自らの手で全容解明に取り組むことに期待したい。

―了―



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JAと滉王④

JAと滉王の関係は2009年頃に遡る。

滉王株式会社は2002年、滉王コンサル株式会社として久留米市津福本町で設立、その後2005年に現商号に変更し、2008年に本社を久留米市安武町に移転させた。

一方のJAの緒方義範氏は2009年にJAくるめの組合長に就任しているが、緒方氏の自宅は安武町、この時期に二人が知り合い、JAくるめから滉王への工事の発注が始まったと見てよいだろう。
そこは想像ではあるが、実際に滉王が工事をしたJAくるめの工事数は群を抜いている。

2011年には、緒方氏はJA全農ふくれんの運営委員会会長に就任、同組織の人事にも介入するようになり、絶対的な権力を有するようになったという。
その後は、県南の単位農協、更には福岡県下のJA全農ふくれんグループ各社の工事に幅広く携わるようになっていったのである。





―続く―

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JAと滉王③

ここに2016年(平成28年)12月に開催された滉王の忘年会の進行表及び座席表が記載されたパンフレットがある。

取引のある企業が参加、総勢134名の盛大なパーティであったが、来賓席と思しきテーブルが2卓、その中でも最も高い主賓席の指定がされていたのが、全国農業協同組合連合会福岡県本部(JA全農ふくれん)の運営委員会会長、緒方義範氏である。
運営委員会は、実質的な福岡県のJA事業の決定機関で、運営委員長はそのトップにあたる。

その肩書の他、JA全農ふくれん子会社の「九州協同食肉株式会社会長」、「ジェイエイ北九州くみあい飼料株式会社会長」、更に「久留米市農業協同組合代表理事組合長(JAくるめ)」と記されている。

JA関係からは他にも、JA全農ふくれん本部、九州協同食肉株式会社、ジェイエイ北九州くみあい飼料株式会社、JAくるめの幹部らが来賓として招かれていた。
これだけ見ても、緒方氏を先頭にJAと滉王との深い関係が見てとれる。

ここ10年という短い期間に滉王の売上は急伸していったが、まさに緒方氏がJAで権勢をふるった期間とリンクする。





―続く―

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JAと滉王②

では、なぜ滉王はこれ程多くの工事をJAから受注できたのだろうか。

取材の中で、単位農協から工事の発注を受けた 元請業者から、「JA全農ふくれんから下請に滉王を使うよう指示があった」という重要な証言を得ることができた。
なるほど、施主から依頼されれば元請業者は従わざるを得ない。

前回、滉王が下請に入って中間マージンで利益を得ていたと書いたが、JA全農ふくれんからの指示が事実ならば、指示した側は組合員に対する背任行為の疑いが出てくる。
滉王を通さなければ工事代金を圧縮できたと考えることができ、元請の工事金額の積算に、初めから滉王へのマージンも含んでいて工事費が増額されていた可能性もある。

いずれにしても、農協の施設の整備費の原資は、組合員から徴収する組合費や国・県の補助金である。
この件について、JA全農ふくれんに取材を申し込んだところ、「個別の案件にはお答えできない」ということで拒否されてしまった。

全農グループ役職員行動規範には

  • 社会的常識・儀礼の範囲を超える贈答や接待の授受は行いません。
  • 業務上の立場を利用して、自己および近親者または知人へ、利益の誘導となる行為はしません。
  • 反社会的な個人・団体に対しては、一切の利益、便宜の供与は行いません。
などの文言が並ぶ。

―続く―



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JAと滉王①

今年5月、福岡県久留米市の建設業「滉王株式会社」の社長及び会長(実質的経営者)が建設業法違反の容疑で逮捕され、6月には福岡県警が同社を「暴力団関係業者に該当する」として自治体に排除要請を出したことから、これまで関係の深かった大手企業等に波紋が広がっている。

その一つがJAだ。
取材を進めるうち、滉王と全国農業協同組合連合会福岡県本部(通称JA全農ふくれん)及び福岡県南地域の単位農協の、奥深い関係が浮き彫りになってきた。

滉王が公開しているこれまでの施工実績を見ると、公共工事・民間工事など全て合わせて424件、そのうちJAが発注する工事を元請・下請合わせて149件請け負っている。

滉王は創業2002年、最近でこそ売上が20億円の業績を上げているが、2011年時点ではまだ3億円程度の事業規模だったことから考えて、これだけの数の工事を全て自社で行ったとは考えにくい。
滉王のことをよく知る人物は、「仕事を取って来ては別の業者に丸ごと流し、中間マージンを抜くことで売上を伸ばしていた」と話す。
滉王のこうした手法は、業界の間ではよく知られており、距離を置く者も多かった。

 



―続く―

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