福岡名酒場100

たまたま入ったコンビで、雑誌コーナーに並んでいた「福岡名酒場100」を見かけたので、手に取ってみると、昔よく通っていた居酒屋店主の顔が表紙にあり、懐かしくつい買ってしまった。
55年前に初めて中洲で入った「スタンドバー 山」が、今は場所と店名を変えて「はんごう雑炊の店 山」になっており、酒を断って17年になるが、思い出のある店が今でも健在なのが嬉しく、昔を思い出しながら何時しか笑顔になっていた。
この本によれば1957年・昭和32年の創業とあるが、最初に行ったのは昭和36年頃だから、オープンして4年後ぐらいだろうか、那珂川に面したビルの2階で、1階は「蓼」という名前のクラブかバーがあり、階段を上った記憶がある。
店の中は、店名通り山登りに関連する道具が飾ってあり、トリスハイボールを飲みながら、鶏のささ身を焼いて、大根おろしで食べていたはずで、皿などはキャンプで使用する食器類を使い、山で男が料理するスタイルが、売りであったように覚えている。


当時サントリーの角瓶は、普段は飲めない高級なウイスキーで、洋酒のジョニーウォーカー黒ラベルは1本1万円、現在の価値に換算すると、10万円くらいに値するほどの非常な貴重品で、簡単に手が出るようなウイスキーではなかった。
ところで酒飲みは、「大雑把」、「太っ腹」、博多弁で言うところの「おおまん」と見なされているが、案外と価格にはシビアなところがあり、「けちん坊」とか「吝嗇」という意味ではなく、酒と肴と、店主やお女将の会話を楽しんだ時間にふさわしい支払いであれば、その後も店を訪れるが、納得出来なければ再び足が向くことはない。
「福岡名酒場100」は読んでいて楽しくなり、行ってみたくなる様な本である。

サントリーホワイトもうまかったな。


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焼酎に陰り

~ウィスキーブーム~

 半世紀前の福岡では清酒が主流であり、焼酎は南九州ではよく飲まれるものの、あくまでも現場の建設作業員などが飲む安い酒でしかなく、普通のサラリーマンは飲んでいなかった。

どの様な経緯で焼酎が飲まれるようになったか知る由もないが、いつの間にかブランドが誕生し、銘柄によっては1本、すなわち1升が3万円前後の焼酎まで現れたから驚きだ。

焼酎は原料によって芋、麦、米、そばなどがあり、製造過程で使用する麹にも黒や白などがあり、こだわる人がいるようで、一時期はゴマやコーヒー、ニンジンなど、さまざまな野菜や果物を使って製造されたこともあった。

その一方でウィスキーは酒席では片隅に追いやられていたが、ハイボールの登場で若者が飲み始め、さらにサントリーウィスキーがヨーロッパで最高の賞を獲得したことで、ウィスキーの人気が再び高まり、商品によっては品不足の声も聞く。

また麻の連続ドラマで、ニッカウヰスキーの創業者が話題となり、その名をとって命名したウィスキーも、早々に品薄になったようだ。

テレビの影響は即座に現れるようで、トリスのキャラクターが復活してコマーシャルに登場しているが、このウィスキーブームが果たしていつまで続くのだろうか。

焼酎からウィスキーに飲み物が変われば、飲食店の形態も変わるだろうから、新しいビジネスが生まれるチャンスが来る。

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