福岡に近すぎて発展しない町~粕屋町~前編

人口250万人を擁する福岡都市圏の中で、全国的に注目を集めている町が粕屋郡内には2つある。
1つは新設されたJR新宮中央駅前を中心に、人口増加率の著しい新宮町で、もう1町は出生率日本一の粕屋町だ。
だがこの粕屋町、取材してみるとどうも良い事ばかりではなさそうだ。

町のほぼ中央をJR福北ゆたか線が走り、長者原駅で南北にJR香椎線が交わり、町内には6つの駅が存在するなど、他の自治体から見ればうらやましいかぎりのはず。
なかでも長者原駅から博多駅までは僅か10分だから、若い夫婦者にとっては魅力ある町で、同駅周辺にはマンションが立ち並んでいる。

ところで先日発表された、昨年の国勢調査確定値によれば、粕屋町の人口は5年間で3363人の増加となっているが、実はこの増加分は、人口流入分ではないのだ。
粕屋町に引っ越して来る人たちと、町外に出て行く人たちはほぼ同数となっており、赤ん坊、つまり出生数が人口増に繋がっているのだ。
だから出生率が全国1位になっているのである。

ところが、この人口の増加に対して、町の整備、形成が遅れている。
駅の前にはまとまった商店街は形成されてないし、出生率がナンバーワンであるにもかかわらず、町内に産婦人科医院が無い。
10分で博多駅まで行けるのだから、町内に無理に作る必要はない、経営上当たり前だという言い分もあろうし、ただ単に福岡市にくっつき、ベッドタウンとして存在できるなら、福岡市粕屋区で良いじゃないかという声もあるだろう。

~続く~


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