続・国民の金はわしのもの

弊社記事「国民の金はわしのもの(2023年11月30日)」では、立憲民主党福岡県総支部連合(立憲県連)顧問を務める吉村敏男元県議が、令和2年9月の旧国民民主党福岡8区総支部の解散時に 残余金約900万円を 自身の後援会に移し、その後も自身の事務所費等に流用していると書いたが、関係者からかなりの反響があった。

→ 国民の金はわしのもの(2023年11月30日)

立憲県連の幹事会の席で、「記事が事実かどうか確認をするべきでは」という提案があったそうだが 当然だろう。
他の総支部で同じことをした代表者がいれば、集中砲火を浴びて糾弾されるはず。

だが相手が吉村氏、直接本人に尋ねられる勇気のある者はいないと想像する。
おそらく次の幹事会では、吉村氏本人にではなく周囲の関係者に聞き取りをした曖昧な報告があって、誰もそれ以上深掘りせずシャンシャンで終わるのが目に見えている。

吉村氏が自身の後援会に移した900万円を、県連か8区総支部に戻さないまま終わらせるならその程度の組織ということだ。
代表におかれては、一般の議員や党員、県民も注目しているということは忘れず、公平で毅然とした対応を期待したい。

 

立憲顧問、吉村敏男氏とは

さて、本稿では福岡県が毎年11月と3月に公表している政治資金収支報告書を参考にして、更に詳しく、吉村氏の政党資金の使い方と、県連及び8区総支部の権力者としての活動について明らかにしていく。

→ 福岡県公報

その前に、吉村氏がこれまでいかに県連に貢献してきたか振り返ってみる。
元々は飯塚市が合併する前の穂波町の職員、職労活動を経て町議会議員に当選し政治の世界に。
平成11年の県議会議員選挙(飯塚市・嘉穂郡選挙区)で初当選を果たし、同31年に落選するまで5期20年間務めた。

県議3期目の同20年、民主党初の福岡県議会副議長に選出される。
以後は、民主系会派(現在の民主県政県議団)の取りまとめ役として自民党県議団からも重宝がられる存在になる。

自民党県議団との繋がりを誇示することで、会派内で絶対的な地位を手に入れた。
副議長は歴史に名前が残る名誉職で、自民会派にも副議長に就きたい議員が多いはずが、同24年以降、民主系会派から9人の副議長が選出されている。

しかし、「副議長の椅子を貰って骨抜きにされる」「一生頭が上がらなくなる」など批判も少なくない。
副議長の人選は吉村氏が行っているのは周知の事実で、相応のリターンがあるという生々しい話も聞くがここで止めておく。



吉村氏は、県議会での勢いそのままに民主党福岡県連でも発言力を強め、平成19年から民主党県連副代表、民主党~民進党代表代行を歴任した。
特に、松本龍代議士や対立してきた助信良平県議が政界を引退した後は権力が集中、更に同29年の選挙前に元職を含む国会議員らが希望の党と立憲民主党に移ったことで意見する者もいなくなり、民進党県連代表に就任、その後も国民民主党県連の代表に就いている。

我が世の春を謳歌していたが、6期目を目指した同31年の統一地方選挙で落選する。
現職議員しか総支部の役職に就くことができないという内規があり国民民主党県連の代表は辞任するも、なぜか8区総支部の代表(会計責任者を兼任)に居座った。

令和2年9月、旧国民民主党が解党することになり8区総支部も解散、総支部の残余約900万円を自分の後援会に移したのはこの時だ。
総支部解散で無役になりかけたが、新たに設立された立憲県連、及び8区総支部の顧問という肩書を得て、引き続き影響力を保持している。

今もなお権力欲は旺盛で県連内の人事に睨みをきかせているが、昨年佐々木允県議を立憲に入党させたのも吉村氏の意向で、誰も表では反対できなかった。
「やりたい放題で困っているが鈴を付ける者がいない」というのが関係者の本音の様だ。

吉村後援会に流れる資金

前置きが長くなったがここから本題。
福岡県が公表している政治資金収支報告書を参照し、平成27年から令和2年までの6年間で、県連から各総支部に寄附・交付金として支出された額をまとめた。
民主党から民進党、国民民主党と党名が変わっても、各総支部には比較的均等に支出されているようだが、よく見ると吉村氏の福岡8区総支部への寄附・交付金の額が、他の総支部に比べて多いようだ。



次は、同期間の福岡8区総支部の政治資金収支報告書の収支内訳である。
支出内訳を見ると、組織活動費や宣伝事業費はさほど多くない一方、寄附・交付金の額が多いことが分かるが、いったいどこに支出しているのだろう。



そこで、吉村敏男後援会の政治資金収支報告書を参照したところ、福岡8区総支部からの寄附額が記載されていた。
年によって違うが、寄附・交付金総額の半分以上が吉村敏男後援会に移動している傾向があることが分かった。

令和元年が0円になっているのは、落選して政治活動を止めたから。
同2年の 912万2812円の資金移動は、前述の旧国民民党解党時に福岡8区総支部の残余全額を自身の後援会に移したものである。



理解しやすいように、「県連 → 福岡8区総支部」、及び「福岡8区総支部 → 吉村敏男後援会」へ移動した資金の額に、割合の計算式を入れてみたのが下表である。
平成27年から令和2年の6年間で、県連から福岡8区総支部に 2475万3310円支出されていて、県連の寄附・交付金総額 3億3892万4700円の 7.3%を占め、全総支部の中で最も多い。
また、同期間に福岡8区総支部からは、吉村敏男後援会に 1648万5562円が支出されているが、8区総支部の寄附・交付金総額の 67.3%を占めていた。

吉村敏男後援会が6年間で受け取った1648万5562円は、県連が支出した寄附・交付金の総額 3億3892万4700円の 4.9%に当たる。
県連の寄附・交付金の 20分の1が吉村敏男後援会に移っている事実を、これまで関わってきた人々はどう受け止めるだろう。


候補者を擁立しない8区

福岡8区は「直方市、飯塚市、嘉麻市、中間市、宮若市、遠賀郡(芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町)、鞍手郡(小竹町、鞍手町)、嘉穂郡(桂川町)」の5市7町と広範囲に渡り、本気で党勢を拡大させるにはとてつもない労力と資金を要すると同時に、リーダーの意識が重要になる。

吉村氏が中心となってきた福岡8区総支部には、全総支部の中で最も多い寄附・交付金が支出されていたが、8区総支部の収支を見ても、党勢の目安となる収入の党費・会費は増えておらず、組織活動に力を入れたようには見えない。
宣伝事業費に至っては平成29年からの支出はゼロ、それでも仕事をしたと言えるのだろうか。

対照的に、潤沢に支出した寄附・交付金のうち、約3分の2が吉村敏男後援会に支出されている。
極めつけは、全総支部中、最も予算が配分されているにも拘わらず、平成26年12月の衆院選以降、福岡8区から3回連続で候補者を擁立していないことだ。



今年、衆院選が行われる公算が強いが、福岡8区は空白区で麻生氏の対抗馬となる候補者が決まっておらず、立憲の党本部も立候補者を喉から手が出るほど欲しいはず。
ところが、昨年、党本部の公募に8区内からの公認候補に2人が手を挙げたというのだ、共に不採用となっている。

1人は立憲の元市議会議員の女性、もう1人はマスコミ関係者、共に即戦力になり得る人材と聞く。
もちろん、書類選考や面接等で不採用となることもあるだろう。
しかし、元市議のケースでは、昨年6月に応募、本部も前向きで話がスムーズに進んでいたにも拘わらず、突然「今回はご期待に沿えません」というメールが送られてきたという。

党本部が勝手に決めた訳ではなく、福岡の県連に判断を委ねている。
実は、8区のことなので県連幹部が吉村氏にお伺いを立てたところ、難色を示したため 県連内部で正式な会議を開かずに潰したという話である。
書類選考も面接もなし、志ある者が党本部の公募に手を挙げているのに理由の説明もなく党本部に押し返したということだ。

これが事実だとすれば、立憲県連は民主的な手続きを取らない、党勢拡大より実力者への忖度を優先する組織ということになる。
これで自民党の体質を批判できるだろうか。

ここまで、吉村氏が県連の資金の20分の1を自身の後援会に移動させたことや、
党勢拡大に努めた形跡もなく、衆院選の候補者擁立もして来なかった事実を紹介してきた。
これは立憲県連の内部の問題だが、猫の首に鈴を付けることができる人物がいないのがこの組織の弱いところだ。

忖度は止めてクリーンでオープン、公平且つ自由に意見を言える組織に生まれ変われば、若い人の支持も集まってくるだろう。
今後を期待したい。

ー 了 ー

今年の十大ニュース

今年もあと残すところあと3日となりました。
県内各地から数多くの話題を提供頂きました。
感謝の意を込め、弊社が選ぶ十大ニュースを発表します。




10位 春日市長、資産報告に虚偽記載の疑い

7期目の選挙も楽勝だった春日市の井上澄和市長、情報開示を拒む姿勢は大任町並みと指摘する声も。
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9位 我がことだけ、なりふり構わない 稲富修二代議士

4月の統一地方選、立憲の稲富代議士は 他党の県議と2連ポスターを作ったかと思えば立憲のN市議の支援は一切せず、理解に苦しむ行動が目立つ。
いったい何がしたいのか。
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守谷県議は国民民主党幹事長代行(当時)、現在は常任幹事

 

8位 ワクチン接種後の副反応被害が表面化

今年も新型コロナウイルスワクチン副反応被害に関連する記事を書いた。
来年も マスコミが報じない影の部分にスポットを当てていきたい。
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7位 立憲県連顧問の吉村氏、政党支部の残金900万円を自身の政治団体へ

「政治とカネ」の問題を追求するはずの立憲民主党、その県連顧問がこれでは まともな追求ができるはずがない。
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6位 飯塚市の坂平副議長、百条委員会を振り切る

「今すべき事を、今行います。」と当たり前のことを公約に掲げたにも拘わらず、再選を果たした飯塚市の坂平市議、来年は 素晴らしいゴミ焼却施設建設のオピニオンリーダーとして期待が集まっている。
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5位 田川地区、介護と政治の深い闇

田川地区の介護保険料が高いのはなぜか。
政治家が介護事業に関わっていることとの関係を検証した。
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4位 現職の二場公人氏を破り 村上卓哉市議が新市長に

今年の統一地方選も各地でメイクドラマがあった。
中でも特筆すべきは田川市長選挙だろう。
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3位 佐々木県議会副議長、説明責任果たさず

田川市には清潔な県議会議員が必要です。
政務活動費の支出の仕方や、親戚の県道取得への担保提供、報道を無視し続ける不誠実な態度は、政治の不信と疑念を増幅させています。
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2位 進む 利権絡みの国道3号広川~八女バイパス建設

国道3号、八女市と広川町の住民が 渋滞解消を望んでいるのは 広川から久留米に向かう箇所だが、広川~八女に600億円の利権バイパスが実現しようとしている。
福岡県民の負担は200億円、その分他の道路の整備が遅れる。
誰も止めようとしないのはなぜ?
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1位 町村会会長選挙で大どんでん返し、永原町長敗れる

田川市長選で永原氏の義弟、二場公人氏が敗れたのに続き、福岡県町村会会長選挙で永原町長がまさかの敗戦、流れが変わったと実感した瞬間だった。
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以上ですが、こうして振り返ると やはり筑豊の話題が多いことに気づかされます。
来年も良い世の中になるよう情報発信に努めて参ります。
それでは、良いお年お迎えください。

自民党批判、稲富氏にブーメラン

12日の衆院本会議に、松野博一官房長官の不信任決議案が提出されたが、賛成少数で否決された。
立憲民主党が松野官房長官の辞任を求めるのは最大野党として当然であるが、趣旨説明の登壇者の人選を間違ったようだ。

登壇したのは福岡2区の稲富修二議員、自民党の政治資金パーティの問題、裏金づくりを
疑惑の域を超えて、疑獄といわれるほど、近年まれにみる異常事態
政治に対する国民の信頼は、地に堕ちた
と痛烈に批判、更に
自民党政権のもとで真相解明が進むのか甚だ疑問
自民党政権の自浄作用にはとても期待できない
と畳み掛けた。

堂々とした趣旨説明だったが、一方で稲富氏を知る関係者から批判の声が上がっている。
というのも、令和2年9月の国民民主党解党時、残った1億円以上の資金を将来にわたり身内に還流させるための政治団体が新たに設立され、同3年10月の衆院選前に 500万円を受け取っているからだ。

この件については 後日報じるが、税金が原資の政党助成金の還流である。
パーティ券のキックバックを誤魔化して脱税した自民党議員も悪いが、国民の血税をマネーロンダリングして懐に入れている点ではもっと悪質だ。
立憲には「政治とカネ」の問題は厳しく追及してほしいが、ブーメランが返ってこない議員を選ぶ必要があるだろう。

立憲「政治とカネ」追求、問われる本気度

立憲民主党の城井崇議員や稲富修二議員は、12月8日の衆議院予算委員会を どういう思いで聞いていただろう?
質問に立った元代表の枝野幸男議員の追求は迫力があった。

安倍元首相が亡くなった昨年7月8日付で、「自由民主党山口県第4選挙区支部」と安倍氏の資金管理団体「晋和会」の代表者が妻の昭恵さんに代わり、7月から12月までの間に約1億3000万円が 第4選挙区支部から晋和会に寄付として移されていた。

枝野氏は、同選挙区支部には県議市議が多数いるにも拘わらず、安倍氏が亡くなったその日に政治家でもない私人の昭恵さんが支部長に就いた点、昭恵さんが代表を務める第4選挙区支部から同じく昭恵さんが代表を務める晋和会に資金移動がされた点について、公党の体を成していないと断じた。

支部の資金には ①政党助成金や②支援者からの寄附金の他に、③安倍氏個人の寄附金、④安倍氏の政治資金パーティーで集めた金が含まれているので、一部を 安倍氏の資金管理団体に戻すというのも分からないではないが、問題は支部内で民主的な手続きを踏んだ上で 昭恵さんが代表になり、資金移動が行われたかだろう。


枝野氏の追及はさすがだが、立憲福岡県連顧問の吉村敏男氏が行った資金移動はご存知だろうか?
全く同じ構図であり、枝野氏が事前に知っていたら この日の質問はできなかったかもしれない。

吉村氏は平成31年4月、県議に落選し他の地方議員がいたにも拘わらず旧国民民主党福岡県第8区支部の代表に居座り、令和2年9月の同党解党に伴い、支部解散の直前に自身の後援会に約900万円を移動させた。
吉村氏の場合、支部の資金は 個人の寄付やパーティ収入ではなく ほぼ全額が政党助成金が原資なので 質が悪い。

折しも立憲福岡県連は、昨年市長選に出た田中慎介福岡市議の資金管理団体が、寄付金など収入約336万円を政治資金収支報告書に記載していなかったという理由で、田中市議を無期限の役職停止処分とすることを決めたばかり、「政治とカネ」の問題には厳しく対処する点をアピールした。

枝野氏が 衆議院予算委員会で 山口県「自由民主党第4選挙区支部」の資金移動がおかしいと指摘しているのに、城井氏や稲富氏が吉村氏の資金移動を不問にできるだろうか。
立憲民主党福岡県連が本気で「政治とカネ」の問題に取り組む気があるのか 地元マスコミも注目している。


立憲民主党福岡県連ホームページより

国民の金はわしのもの

福岡県選挙管理委員会が29日、政治団体の収支報告書を公開した。
国会では 自民党派閥の裏金疑惑などが問題視されているが、これから話す 県内の某政治家のケースも かなり悪質と言えるかもしれない。
法をすり抜ける上手さはどこかの副議長と同じだが、こんなことが許されるていいものか、特に この政治家に関わりのある方にはよく考えて頂きたい。

登場するのは 元県議会議員の吉村敏男氏、立憲民主党福岡県連の顧問を務め 佐々木允県議を副議長に押し上げた立役者、また「九州の自立を考える会」の副会長を務める人物だ。
吉村氏は平成31年4月の県議選で落選後、今年の統一地方選にも出馬はしなかったが、現在も自身が代表を務める後援会を維持し、公式ホームページも存在するので まだ政治家と言ってよいだろう。

→ 元福岡県議会議員 吉村敏男 ホームページ

下図は 令和4年分の吉村敏男後援会の収支報告書であるが、前年からの繰越額 832万3612円という額に注目してほしい。
国会議員でも 現職の県議でもないのに、これだけの額を後援会にプールしていることに驚きだ。

あまり知られていないが、政治団体を解散した場合、そこにある残金の報告義務はあるが その行き先について追跡する法的な規定はなく、大抵の場合、政治家個人の懐に入る いわゆる臨時収入になる。
後援会の資金は 政治家本人が寄附として入金することが多いので、解散時に本人に戻るという流れに、そこまで目くじらを立てることもないという考え方もある。

だが、吉村氏の場合、その金額の大きさ、入手した経緯が 看過できるレベルではないのだ。
令和4年分で 次年度繰越金として 772万9002円を計上、仮に 後援会を解散した場合、吉村氏の懐に入ることになる。

解散時の残金の行き先を届け出る仕組みになっていないのは 法の盲点と言える。
税務署が把握しなければ 税金もかからない。
与野党含め 国会議員はそのことを じゅうぶん承知しているが、故意に放置しているという指摘もある。
知り合いの国会議員に尋ねてみたらいかがだろう。






平成24年に民主党が下野して以来、「民進党」になったり「維新の党」やら「希望の党」が出てきて、今振り返っても理解することは容易ではない。
ここでは、どうやって吉村氏が後援会にこのような大金をプールしたかについて説明するが、ひとつ言えるのは 政党の離合集散のどさくさで、偶然 大金がそこに出現し、それを動かせる立場にあったということである。

平成29年10月の衆院選直前、福岡県では 当時「民進党」の現職衆院議員の城井崇氏と稲富修二氏、浪人中だった緒方林太郎氏らが離党して「希望の党」入り、一方で「希望の党」から排除された山内康一氏は枝野幸男氏が立ち上げた「(旧)立憲民主党」に参加、その後、参議院議員の野田国義氏も「(旧)立憲民主党」に合流した。
その結果、「民進党(同30年6月に(旧)国民民主党に名称変更)」福岡県連にとどまった国会議員は 参院議員の古賀之士氏だけになり、本来国政選挙に使うはずだった 潤沢な資金(約2億円)が残されたという経緯がある。

当時の「(旧)国民民主党」県連会長は吉村氏、その資金を仲間で合法的に山分けすることを決め、他の国会議員・地方議員らも損をする話でもなかったので その決定に従っている。
資金の流れを見て行くと、旧国民民主系の国会議員(城井氏、稲富氏、古賀氏)はじめ 地方議員に幻滅してしまうほど低レベルな内容である。
今回はそこには触れないが、中心人物の吉村氏が行った資金移動について、明らかにしておきたい。

前述の様に 同31年4月の県議選で吉村氏は落選、県議という身分を失ったが「(旧)国民民主党」 第8区総支部(直方市、飯塚市、嘉麻市、中間市、宮若市、遠賀郡、鞍手郡、嘉穂郡)の総支部長を辞任せず 居座り続けていた。

令和2年8月19日、「(旧)国民民主党」の党本部は、解党し「(旧)立憲民主党」と合流して 新党結成を決めた。
それに応じ、同年9月末までに「(旧)国民民主党県連」はじめ 各衆院選挙区の政党支部も、政治団体の解散届を提出している。

下の図は、県が公表している「(旧)国民民主党」第8区総支部が 同年9月28日に解散届と同時に提出した収支報告書である。
収入と支出の金額が1034万9775円なので 総支部の残高は0円だが、寄附・交付金として 912万2812円を支出していることが分かる。

いったいどこに寄附したのか。
もうお察しの通り、寄附の相手先は 吉村敏男後援会だった。

福岡県公報 令和3年3月26日
第186号増刊1 [PDFファイル/2.17MB] 13頁






令和2年8月31日付で、「(旧)国民民主党第8区総支部(飯塚市若菜52-1)」から「吉村敏男後援会(飯塚市若菜52-1)」に 912万2812円の資金が移った。
同住所の建物内で右から左への資金移動、名目は 政党支部から後援会への寄附である。
寄附とは、一般的に「公共の利益のために自身の金品を差し出すこと」を指すが、私たちの知らない もっと幅広の解釈があるようだ。

吉村氏は(旧)国民民主党第8区総支部で 自身が代表 兼 会計責任者を務めていた。
自民党の国会議員のように多額のパーティー券収入がある場合は別だが、野党議員の場合、後援会活動の収入の殆どは 自己資金か政党からの寄附金で、政党からの寄附金は「政党助成金」が 元になっている。
つまり、国民の税金が原資である。


令和2年分政治資金収支報告書
福岡県公報 令和3年11月30日
第254号増刊1 [PDFファイル/1.13MB] 112頁

 自身の後援会に 912万2812円を資金異動させた翌年、令和3年分の収支報告書では、収入は前年繰越額の 857万3050円のみ、自己資金や政党からの収入はなしで、事務所費として 24万9438円を支出し 前年入金した資金から支出している。

令和3年分政治資金収支報告書
福岡県公報 令和4年11月29日
第353号増刊1 [PDFファイル/1.01MB] 104頁

同じく令和4年分の収支報告書()では、収入は前年繰越額の 832万3612円のみ、自己資金や政党からの資金移動はなしで、事務所費として 59万4610円を支出している。
翌年への繰越金は772万9002円、(旧)国民民主党から入手した金を自身の後援会の事務所経費として使い続けている。

「国民の金はわしのもの」というタイトルは、(旧)国民民主党の資金を 我が物として使っているという意味ではなく、原資が国民の税金、政党交付金を我が物にしていることを指している。

そもそも、政党が政党交付金として国からもらった資金は、その政党の政治活動に使われなければならない。
党が解散して他党に合流する決定をしたのであれば、党に残った資金は 国庫に返納するか、合流する党に移動させるのが筋だろう。

ところが、(旧)国民民主党の県連会長の吉村敏男氏は、令和2年の解散時に残った資金を国庫に返納せず、立憲民主党に持ち込むこともせず、そこにいる 国会議員(城井崇氏、稲富修二氏、古賀之士氏)と地方議員で山分けする方針を決めた。(これについては別途報じる。)
そして、自らが代表と会計責任者を務める(旧)国民民主党第8区総支部に残った資金 912万2812円を自身の後援会に移し、使い込んでいる状況だ。

この厚かましさはとても真似できるものではない。
完全に国民の感覚とずれている。

そう言えば、佐々木允県議を県議会副議長に押し上げたのも立憲民主党に入党させたのも 吉村氏と言われている。
10月11日に行われた 佐々木氏の副議長就任記念祝賀会で、佐々木氏は 吉村氏を「私が新人の頃から 県議会の有り様を教え導いて下さっている」と紹介、強固な師弟関係であることを披露した。

この言葉に全てが集約されていると思われる。
こうした人物が 立憲民主党福岡県連の顧問であり、九州の自立を考える会の副会長を務めていることから、これらの団体の信頼が低下するのを心配する声が出始めている。

県議が県道用地取得に担保提供

弊社記事「政務活動費を姻族へ、これってOK?(2023年10月12日)」では、福岡県議会の佐々木允副議長の姻族が設立した会社が土地建物を購入し、佐々木氏が県議事務所として入居、以降 家賃月額18万7000円を支払っているが、そのうち半額の 9万3500円を政務活動費から充てていると書いた。

その続編だが、資金の出所について調べたところ、県道予定地の買収にも 佐々木氏とその家族が間接的に関わっていたことが分かった。

まず 、姻族の会社は T社(仮称)という商号で、設立は平成29年5月19日とされる。
本店住所は 当初、購入した建物の住所(田川市大字伊田4510-6 佐々木県議の事務所)で登記されていたことから、佐々木氏が同社の設立に深く関与していたことが推測される。

下図は T社が購入した建物の「所有権以外の権利に関する登記事項」の写しであるが、平成29年6月23日に T社が 金融機関から融資を受けたことが分かる。
一般の我々に「根抵当権設定」というのは馴染みのない用語だが、ここでは「共同担保目録第2052号」に記載された資産を担保に設定することで 「最高2880万円を限度に金融機関から借りることができる」という意味になり、万が一 T社が破産した場合はそれらが差し押さえられることになる。

その後、6月29日受付で本店住所移転と同時に 根抵当権極度額が 7700万円に変更され、更に 9月21日付で 極度額が 9100万円に変更されている。
平成29年に設立したばかりの会社に、金融機関が 1年3ヵ月で 9100万円もの資金の融資を決めており、相応の資産が担保として差し出されたことが考えられる。



金融機関から融資を受ける代わりに T社が差し出した担保「共同担保目録 第2052号(下図)」について解説する。
まず、同目録の左の列の番号 1~5 は、平成29年6月23日に T社が土地建物(田川市大字伊田4510-6、現佐々木県議事務所)を購入した際、極度額2880万円で根抵当権が設定されているが、取得した土地建物を担保に入れている。

続いて 番号 6~7、これは 同30年6月29日、根抵当権極度額が 7700万円に変更された際に、追加で差し出された担保である。
この日、T社は 県道田川直方線延伸のルート上にある ㈱上田自動車の土地建物(田川市大字伊田3565-1)を購入しており、ここでも取得した土地建物を担保に入れている。

上田自動車の土地が 県道延伸のルート上にあることは分かっていたので、上田自動車の経営者が直接 福岡県に売却すれば良かったが、同社は経営不振で売却先を探していた。
その情報を佐々木氏がキャッチし、T社が購入することになったと推測される。
ここまでは さほど問題はなさそうだが、番号 8~22 の内訳を見ると かなり違和感を覚える。

上田自動車跡の土地建物を購入して  3ヵ月後の 9月21日、この時 根抵当権極度額が 9100万円に変更されている。
担保設定(番号 6~7)されている上田自動車跡の土地建物は、県道用地として売却するためには担保を外す必要があった。

当然、その代わりになる資産を差し出さなければならない。
そして、なぜか T社は 同日付で 佐々木氏の父親が所有する土地(番号 8~16)と母親が所有する土地(番号 17~21)を購入し、それら担保に入れている。

そしてもう一つ、T社が 佐々木氏が所有する建物(番号 22、田川市大字糒824-13)を、所有権はそのままで 担保に入れていたことが判った。



T社が購入した物件に設定された根抵当権の「共同担保目録2052号」について、簡単に整理すると下図のようになる。
T社は3回にわたり不動産を取得、個別の取り引きに見えるが、3回とも同じ金融機関の融資を受け、一つの共担目録に記載があることから 関連していることが分かる。

ある現職政治家は、政務活動費を充当している事務所の物件取得、及び県道用地取得に関する共担目録に 佐々木氏所有の建物があることが一番問題と指摘する。
T社が破産した場合、佐々木氏所有の建物は差し押さえられる。
裏を返すと、佐々木氏所有の建物がなければ、T社の不動産取得は成り立っていない。



まず、佐々木氏の県議事務所の土地建物について。
T社は 同事務所の土地建物を維持していくのに 家賃収入(月額18万7000円)を得ているが、そのうち 9万3500円は政務活動費から充当している。
平成29年8月から6年余で 少なくとも700万円の政務活動費が充当されてきた計算になるが、このおかげでT社の経営は成り立ち、佐々木氏所有の建物が差し押さえられずに済んでいるという考え方もできる。

県議会の政務活動費使途基準に反していなければいいというものではない。
原資は県民の血税、それが政治家本人や家族や身内に還流していないと言い切れるかが問われている。



次に、県道用地となる上田自動車跡の土地建物について。
佐々木氏は、田川直方線延伸整備促進期成会の顧問を務め、選挙前の討議資料にも「田川直方バイパス延伸を後押し」「第1期工事の増や工事着手に向けた予算確保に奔走。大きく予算を拡充」と地元貢献をアピールしているが、地元県議としていち早く情報収集できる立場にあった。

T社が同土地建物を取得し抵当に入れた3ヵ月後、抵当から外す代わりに、佐々木氏が所有する建物を担保に差し出した。
不動産の専門家は、「この土地が、県に売却予定で担保を抹消する必要があるというのは分かっていたはずで、金融機関と佐々木氏らとの間で 代わりの担保を差し出すことで、話がついていたと考えるのが自然」と話す。

用地を購入したのは姻族の会社(T社)だが、その担保不足を佐々木氏が補ってやった。
期成会の顧問を務める現職県議が、バイパス延伸を後押しして大きく予算を拡充し、姻族の会社の県道用地買収を資金面で手助けしたという構図である。
いったい誰のために予算確保に奔走したのか疑問がわいてくる。



この土地取引の中で、公職選挙法違反逃れがあったと指摘する声がある。

繰り返しになるが、T社の設立は平成29年5月19日、代表者の住所は糟屋郡須恵町であるが、会社設立当初、本店住所は 田川市大字伊田4510-6で登記されている。
同年6月23日、T社は 前所有者から 同住所の土地建物を取得した。
それが 現在の佐々木氏の県議事務所で、佐々木氏のブログには 同年8月に入居したと記されている。

そして、約1年経った 同30年6月1日、T社は本店住所を 田川市から須恵町の自宅に移し、そして同じ月の 6月29日に 上田自動車跡の土地建物を取得、本店移転と土地建物取得は6月29日で登記している。



T社については 上記3回の不動産以外に取得した形跡がなく、それらの物件は全て田川市内にある。
会社設立の主目的は「不動産管理」なので、本店は田川市にあった方が利便性が良いはずだ。
なぜ 土地建物を取得した日と同じ 6月29日の登記受付で、T社が6月1日に須恵町の自宅に本店移転の事実を作らなければならなかったのか。

それは、公職選挙法に抵触する可能性が高いと判断したからではないかと言われている。
法律では、選挙の有無に関わらず、政治家や政治家が関係する団体が、選挙区内の人や団体に寄附を行うことが禁止されている。
今回、T社が取得した土地建物の担保に、佐々木氏が所有する建物が差し出されているが、T社の本店住所が田川市だと 選挙区内の団体への寄附行為と見做される可能性が極めて高い。

佐々木氏がこれを回避するために、T社が急遽本店を移転することに協力したと見られても仕方がないだろう。



佐々木氏の政務活動費の支出や、県道予定地に関連して姻戚関係にある企業への担保提供について、県議会の事務局に適正かどうか尋ねてみた。
「『道義的な適否』については、政務活動費制度では特に問題とはしていない」、「当議会のルール上、(担保提供などの)行為を禁じる規定が現状では存在しないため、いいとか悪いとかは言えない」との回答だった。

昨日今日と地元紙が政治資金収支報告書の公開について、県議会からの圧力があったことを報じたばかりだ。
現在 佐々木氏は福岡県議会を代表する副議長という立場、個人だけの問題ではなく、県議会として政治倫理に対する姿勢が問われている。

以前も紹介したが、あらためて 佐々木氏のチラシ(平成31年4月の県議選前に配布された討議資料)を読んでみたい。

「県議会議員には多くの権限があり、発言や行動は、地域に大きな影響を与えます。政務活動費の不正や 汚職事件、そして不誠実な態度は、政治の不信と疑念を増幅させています。」とある。
県議会議員に多くの「権限」があるかどうかは別として、県政の情報をいち早く取得できたり、県の幹部や職員に要望を直接伝えられる立場にあるのは事実だ。



このチラシ配布時には 一連の不動産取り引きや担保設定は終わっていたので、ここまで堂々と書けるということは、やましいことをしたという意識はないものと想像する。
この連載では、T社の土地売買の登記情報を元に客観的に報じてきたつもりだが、佐々木氏の言い分もあるだろう。

今後は 佐々木氏が、
・T社が 法の抜け道のためのペーパー会社ではないこと
・政務活動費が姻戚関係者に還流していないと言い切れるか
・県道予定地の取得と自身の建物を担保に提供したのは無関係であること
・T社の本店移転が公職選挙法違反を逃れるためではなかったこと
などを 集会やブログ等で有権者と県民を説明し、政治倫理上 問題がないと納得させられたらそれで良いだろう。

説明責任を果たさなければ、佐々木氏がチラシで述べているように「不誠実な態度」と取られ、県議会や立憲民主党に対して「不信と疑念が増幅」し、火の粉が飛ぶことになるだろう。
佐々木氏におかれては、「利権や自己の利益に執着した政治ではなく、清潔で誠実な政治をつむいでいくことの大切さ」を示して頂けるものと期待している。

ー ひとまず 了 ー

立憲県連代表が欠席

近頃 立憲民主党に入党した佐々木允県議の第86代福岡県議会副議長就任祝賀会が11日、市内のホテルで盛大に執り行われた。
原口剣生自民党県連会長はじめ、県議会各会派の代表、県の幹部職員も多数参加、また地元田川市からは約200名が駆け付け、副議長就任を祝福した。

ある政治家が挨拶の中で、「九州の県議会の中で、特に自民会派が過半数を占める福岡で、民主系会派の県議が副議長に就くのは 普通ではあり得ないこと、そこには『高度な政治的判断』があった」と述べた。
佐々木氏本人も 「近畿・中四国を含め 西日本の地域で、民主系会派から選ばれた唯一の副議長」と表現した。

確かに、「民主系(昨年まで社民党)」「3期目」「42歳」と 副議長になるには不利な条件が揃っているにも拘わらず、並み居る自民会派の県議や 期数の多い県議を押しのけて副議長に就くというのは不自然だ。
この人事を快く思わない者が相当数いることが想像されるが、不利な条件を覆すだけの「高度な理由」があってのことだろう。

さて、この有り難い人事にさぞや 立憲の政治家は喜んでいると思いきや、今一つ お祝いムードが伝わって来なかった。
というのも、福岡県内の国会議員5人のうち、本人が姿を見せたのは稲富修二衆院議員だけ、それも短時間いただけで 会場を後にしたからだ。
3人の国会議員は秘書が代理出席、そして肝心要の党県連代表 城井崇衆院議員は 代理出席すら出さない「欠席」だった。

自民党県連の幹部らがはるばる遠方から出席していたのとは対照的で、マスコミ関係者には 佐々木氏の立憲入党が歓迎されていないと映ったようだ。

政務活動費を姻族へ、これってOK?

政治とカネの問題は多岐にわたるが、法を犯しているものと、法は守っているが道義的にどうかというものに分かれる。
今回紹介する佐々木允県議会副議長のケースは、法を犯している訳ではないが 首を傾げたくなるケースなので、同義的に許されるかどうか判断を仰ぎたい。

まず下の図、これは 福岡県が公開している政治資金報告書(平成30年分)から抜粋したもので、「佐々木まこと連合後援会」の収支の内訳である。
収入の7割程度が寄附によるもので、佐々木県議本人が 270万円を寄附している。

興味深いのは、介護事業を行う両親が 個人名義でそれぞれ150万円を寄付していること、田川地区で 年間300万円を政治家に寄附できる世帯がどれくらいあるだろう。
更に、県内各地で介護施設を運営している会社経営の兄も150万円を寄附している。
実に羨ましい一家である。

ちなみに、父親は 現在 田川市社会福祉協議会の理事長、 母親は 田川地区の約300の介護施設が加入させられている「田川地区介護サービス事業所協議会」の理事長を務め、夫婦で介護関連の主要ポストに就いている。
選挙前には 母親が、同協議会から理事長名で、 二場公人市長と 息子の佐々木允県議を推薦する文書を会員に送付していた。

弊社記事 →  政治と介護施設の深い関係 ③ (2023年6月23日)



さて本題だが、支出の内訳を見ると 佐々木県議が事務所費として 237万0890円を支払ったことが分かる。
家賃は月額18万7000円、所在地は田川市大字伊田、鉄筋コンクリート造、地下1階付2階建の建物で、これほど立派な政治家の事務所を県内で見たことがない。

建物の貸主はT社(本社 粕屋郡須恵町 代表者A氏)、不動産賃貸業を主目的に平成29年5月19日に設立された会社である。
T社は同年6月 同物件を前所有者から購入、その際 銀行から融資をしてもらい、同年8月、佐々木県議が賃貸契約を結び入居している。

平成29年5月 T社設立
→ 6月 T社が物件購入
→ 8月 佐々木県議入居

この流れから、佐々木県議が田川市内に気に入った空物件があったので、須恵町のA氏に不動産賃貸業の会社設立・物件購入をしてもらい、その後入居したことが想像される。
そのA氏について調べて行くと面白いことが分ってきた。



佐々木県議事務所の貸主A氏は、平成17年8月に 介護施設の運営を目的にS社を設立し、須恵町内でデイサービス施設(定員33人)を運営しており 地域の評判は良い。
ほぼ同時期に佐々木県議の実兄が、介護施設の運営等を目的に法人を設立し県内各地で事業展開を行い成功を収めているが、それとは対照的にA氏は 事業を拡大する方ではなかったようだ。

転機が訪れたのは 同29年、佐々木県議事務所の賃貸を皮切りに不動産関連の業務を開始し、同30年6月には 県道田川直方バイパス延伸に掛かった自動車販売会社を買収し県に売却、法人所在地は須恵町だが田川地区のインフラ整備に貢献している。
同年9月には 佐々木県議が所有する田川市糒の土地建物を担保に、A氏が銀行から借り入れを起こしており、2人が強い信頼関係で結ばれていることが窺えた。

A氏と佐々木県議の実兄が同時期に介護事業を始めていたので調べてみると、S社の役員に実兄の奥様が就いており、その後の取材でA氏と佐々木県議が姻族関係ということが判った。



佐々木県議がT社に家賃月額18万7000円を支払っていると書いたが、そのうちの半分の 9万3500円は 政務活動費から支出している。
平成29年8月の入居以来、約6年間の合計は約700万円に達する計算になる。

県議会の政務活動費使途基準によると、2親等以内の親族が所有する事務所の家賃に政務活動費を充当することは認められていない。
その趣旨は「近親者への政務活動費の還流禁止」と解していいだろう。

佐々木県議の場合、良い空物件があったが2親等以内の両親や兄が物件を購入しても入居できないので、A氏に会社設立と物件購入を依頼したと疑われても仕方がない。
確かに法律や政務活動費使途基準には違反していないかもしれないが、原資が県民の税金である政務活動費が佐々木県議の姻族の資産形成に寄与していることになる。

これを知る議会関係者からは、「脱法行為」「マネロン」「姑息」「道義的に問題」という声が上がっている。
このケース、法を犯している訳ではないが同義的に許されるかどうか、皆さんはどう思いますか。

そう言えば、佐々木県議のチラシに「政務活動費の不正や汚職事件、そして不誠実な態度は、政治の不信と疑念を増幅させています」とある。
もう何を信じていいのかさっぱり分からなくなってきた。

親族への賃料支払い ~報じられた閣僚のケース~

最近、岸田新内閣の閣僚らが親族に賃料を支払っていたことを問題視する報道が相次いでいる。
親族への支払いは「政治資金」の還流が疑われるとして疑問視する声があるという。
本稿では、閣僚らの他の疑惑は置いておいて、親族への賃料支払いの件について考えてみたい。

まず、政治家が 親族所有の事務所を借りることそのものに問題はない。

松村祥史国家公安委員長の場合、「自民党熊本県参議院選挙区第1支部」が、2018年1月~20年6月に月額3万円、2020年7月~21年12月に月額5万円を 兄が代表取締役を務める建設会社に支払っていたとされる。
その建設会社とは 熊本県人吉市に本社を置く建設会社と思われるが、年商70億円の企業であり、月額5万円の微々たる家賃は逆に不要だろう。
ただで借りる訳にはいかないので 月額5万円を支払っていると思われ、そのことを取り上げる方がおかしいのでは。

また、加藤鮎子こども政策担当相の場合は、政治資金団体「加藤鮎子地域政策研究会」が事務所の家賃として、少なくとも2018年~21年に月額15万円を母親個人に支出していた。
月額15万円が相場より高いかどうかだが、もともと 元官房長官の奥様が 15万円を必要としていたかも疑問で、そこまで目くじらを立てる必要があるとも思えない。

弊社の見解は ここに関しては 2人ともセーフ、親族への政治資金の還流というほど大袈裟な話ではない。

昨年8月の内閣改造後、寺田稔総務相と秋葉賢也復興相の関連政治団体が親族に対し、事務所の賃料を支払っていたことも問題視された。
2人は他にも疑惑があったことで辞任に追い込まれたが、「政治とカネ」の問題として、追求の矛先を向け 厳しく追及したのは 他でもない立憲民主党の議員だった。

次回は、先頃その立憲民主党に入党を許された 県議会副議長のケースについて紹介したい。

- 続 く -

副議長就任祝賀会、でも地元はカンカン

自称「清潔な政治家」佐々木允県議会副議長、10月11日には市内のホテルで副議長就任祝賀会が予定されている。
代表発起人を務めるのは、吉村敏男立憲民主党県連顧問と岩元一儀県議会民主県政クラブ県議団会長の2人だ。

吉村氏と言えば、2017年11月から2019年4月の選挙で落選するまで 民進党・旧国民民主党の県連会長を歴任、落選後も 同県連が解散する2020年9月まで 福岡県第8区総支部の代表に居座ったドンとして知られる。

強権的な手法に県連内部での評判は最悪だった。
その吉村氏が、今も立憲民主党県連の顧問という肩書と知り、驚くと同時に佐々木氏とは繋がるべくして繋がっていたので妙に納得してしまった。

ところでその佐々木氏、立憲民主党への入党がほぼ決まったという話が入ってきた。
国会議員らは内心反対だったようだが、ドンの後ろ盾があり 誰も文句を言えなかった様だ。
旧国民民主党の国会議員がドンの言いなりになっている理由は後日報じたい。

今年4月の統一地方選前の昨年11月、佐々木氏はお世話になった古巣の社民党に離党届を提出、その際「(県議選を)県民党で闘いたい」という理由を述べたそうだが、県議選は無投票で当選し、その頃から既に 立憲入りの動きを見せていたという。
おまけに 市長選では村上卓哉候補ではなく、社民党や立憲民主党の田川市議らを吊るし上げてきた永原譲二町長の義弟の二場公人候補を公然と応援した。

社民党市議はもちろん、 元立憲田川支部代表を務めた前市議もバイオマス発電から続く佐々木氏の裏切りに怒りを隠さない。
社民党田川支部では今年8月、佐々木氏を「離党」ではなく「除名」相当として県連に伝えている。

地元での評判をよそに佐々木氏の立憲入り、この先 黒い話が何も出て来なければよいが…。
まずは副議長就任祝賀会、会費1万円、多数の方が参加して盛会に開催されることを祈念している。

国民民主党・合流に?

統一選挙前半戦の県議会議員選挙で、国民民主党の県連代表を務めていた飯塚市・嘉穂郡選出の吉村敏男議員が、無所属新人の高橋義彦氏に破れ、吉村氏は70歳を超える年齢を考えて、政界を引退するとマスコミが報じていた。

中央の国民民主党は豊富な政党資金を持つものの、玉木雄一郎代表の明確な方針が国民に理解されず、世論調査では1%前後の支持率で低迷している。

自由党の小沢一郎代表との合流構想も、二転三転して結論が出せないところから、迷走が続く状態を多くの地方議員が見ており、他の党に移籍して政治活動を続ける地方議員が出始め、更なる弱体化が進むのではなかろうか。



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国民民主党福岡県連

国民民主党は支持率も低く、野党の中でも存在感が薄まりつつある政党だが、飯塚市・嘉穂郡選出の福岡県議会議員吉村敏男氏が、福岡県連代表を務めていたが、残念ながら落選した事で県連代表を辞任し、これを期に政界引退も発表された。

更には県連幹事長だった福岡市議会議員の阿部正剛も、油断したのか落選し役職を辞任する事態となった。

国民民主党福岡県連は、13日に常任幹事会を開催し新代表には代表代行だった、比例区選出の衆議院議員城井崇氏を決めて発表するも、幹事長のポストは空いたままになっている。

幹事長の後任人事は現在のところ直ぐに決める予定は無く、2人いる幹事長代理で乗り切り、秋の総会に幹事長を正式に決定する予定と言われており、実にのんびりした話で呆れるばかりだ。

今後の状況次第では櫛の歯が抜けるように、1人2人と他の政党に移籍する人が、出てくるのではなかろうか。



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国民民主党が地方組織を完備

6月24日、民進党福岡県連臨時大会が、福岡市内で開催された。
この大会は民進党福岡県連所属の地方議員が、国民民主党へ移行する大会であって、ここには衆参の国民民主党所属の稲富修二氏を含む4人と地方議員47名が出席した。
大会では新たに、国民民主党福岡県連の役員が選出され、民進党県連の会長であった吉村敏男氏(飯塚市・嘉穂郡選出69歳)が、党県連代表に就任した。
福岡市早良区選出の栃木義博福岡市議(64)を始め、県議1名、福岡市議2名の合計4名が国民民主党への移行を保留し、当面、無所属で活動するものと思われる。
マスコミ各社の世論調査で政党支持率が1%前後と低迷する国民民主党は、地方組織の整備で起死回生の適時打となるだろうか。
また、その背景には、それぞれの支援労組の力が働いている様に推測される。
来春の統一地方選では、政党の公認の有無によって、選挙運動の差が出ることは当人たちも承知のはずで、有権者としては、しばらく静観して動向を見極めるべきだろう。

【特別企画・ナベちゃんの政界虎の穴】福岡県議会の実態(2)

(11年1月号掲載)

福岡県議会棟K県議の取る手法は、かつて「天皇」とさえ呼ばれたM県議(故人)のそれと重なる部分も多い。

「共通するのはよく金を集め、よく金を撒くということ。やっぱり資金力のある人間のところに、権力も人も集まるんですよ」(県職員OB)。 

県議会を取材してきたマスコミ記者の1人は「K県議のやり方は非常にクレバー。地元に何か利益を誘導しようとする時は、まずはまったく別の県政の重要案件に関して、下っ端議員に無理難題を言わせて県執行部を困らせる。

行き詰った執行部はK県議に相談を持ちかける。すると『分かりました。何とかしましょう』と言って、下っ端議員に無理難題を引っ込めさせる。

その見返りに、裏でしっかり地元への利益誘導を認めさせるという寸法です」 


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【特別企画・ナベちゃんの政界虎の穴】福岡県議会の実態(1)

(11年1月号掲載)

福岡県議会棟ハローハロー!読者の皆さん、お元気ですか?  昨年から県民新聞HP「福岡政界虎の穴」にて、政治・選挙の裏話を連載しております私ナベちゃん。紙面では1年ぶりの登場です!  

さて、今年は春に統一地方選を迎えます。まずは知事選の行方が気になるところ。一方で最近、全国的な傾向として、地方議会のあり方があらためて問われているんですな。

そこで今回は、現在最も力があるとされるK県議を中心に、わが福岡県議会の実態についてご紹介したいと思います。 

★本稿は1月号紙面に掲載された記事を一般読者用にアップしたものです。


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麻生知事 突然の不出馬表明(2)久々の県政界政局

麻生渡知事の5選不出馬で、16年に渡った長期政権は幕を閉じる。福岡県政は来春から、新たな1ページを刻むことになるわけです o(^-^)o

県庁や県議会では、早くも次期知事選をめぐって有象無象の情報が飛び交い、「これぞ千載一遇のチャンス」とばかりにハイエナのごとき輩(-.-;)が勝ち馬に乗るべく動き始めてる。降って湧いた「久々の県政界政局」に、博多区千代・馬出の県庁周辺一帯はにわかに活況を帯びてるんですなぁ (*_*)

それでは民主、自民両党を中心とする各党の後継候補選びは今後どう展開していくのでありましょうか? ここからは私ナベちゃんが拾い集めた情報を元に、現時点での動きを紹介しましょうかな (o~-‘)b 


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