「今回はうちの番」、西田建設に指名停止6ヵ月

弊社記事「同姓の別人に談合呼び掛けか(2022年12月21日)」で既報の嘉麻市談合疑惑であるが、ここにきて処分が行われるなど動きがあった。

記事ではN建設と書いたが、「今回はうちの番」と人違いで電話したのは 西田建設(嘉麻市平1226-1 代表者 西田寛信氏 ​)、同社は建築業を目的に現代表が昭和46年創業、平成元年に法人化を行った老舗企業である。
令和3年に行われた義務教育学校整備事業「碓井中学校区」の業者選考では 村本建設・西田建設・楠山設計のJVで受注し現在施工中だが、代表の営業意欲は旺盛で今回の入札も積極的に取りにいった様だ。

12月21日予定の入札について談合情報が入ったため 26日に開札が延期されたところ、情報通り西田建設が最低制限価格に最も近い金額を提示し落札予定者となっていたことから、手続きが保留となっていた。
その後、市は参加した8者全てに聞き取りを行い、その中で西田建設が「今回はうちの番」と電話で話したことを認めた一方、その他の業者から談合に応じたという証言は得られなかったという。

このため、保留していた入札結果について、西田建設を失格、2番目に最低制限価格に近かったガーデンホーム㈱(嘉麻市鴨生30−46 代表者 石橋純二氏)を落札者とした。

また、市は西田建設に対し 「市発注工事の入札執行に関し行った不正又は不誠実な行為」があったとして、令和5年1月10日から7月9日までの6ヵ月間、指名停止処分にすることを決めた。

市は今回の聞き取りの資料等を 警察と公正取引委員会に提供しており、今後しかるべき捜査が行われるだろう。
嘉麻市では、官製談合の疑いで百条委員会が開催されるなど、建設業界はあまりいい印象がないが、真面目に取り組んでいる業者にとっては 迷惑な話だ。

同姓の別人に談合呼び掛けか

いつもホットな話題を提供してくれる嘉麻市で、入札談合情報が入り 本日予定していた条件付き一般競争入札が延期されたことが判った。
対象は市発注の「市立うすい人権啓発センターあかつき」の改修工事(予定価格1910万円)。

きっかけは「N建設」N社長から「T技研」T社長への電話、入札公告(11月28日)後すぐ携帯に電話が入り、「今回はうちの番です」と言われたという。
T技研はN建設と業種が異なり 何のことか分からず一旦電話を切ったが、その後もう一度念押しのための電話が掛かってきた。

T社長によると、N社長は 同業種の「T工務店」T社長と勘違いして 自分に電話してきたのではないかということだ。

これは談合話ではないかと思った「T技研」のT社長、すぐ嘉麻市役所に出向き この件を責任者に伝えたのだが、その後も入札が延期になるという話は聞こえて来なかった。
そこでT社長、知人を通じ全国紙の新聞記者にこの話を伝えてもらい、記者が市役所に問い合わせをしたことで、昨日になって市が慌てて入札延期を判断した様だ。
事実なら、業者の通報には耳を貸さないが マスコミなら聞くという役所の姿勢も問われそうだ。

市は今後 業者等から事情聴取をするとのことだが、報道を見た市民からは「これだけ注目されていながら懲りない面々」と 呆れ声が上がっている。

カホアルペ・指定管理者移行に暗雲

嘉麻市議会12月定例会の冒頭で、議会が福岡地検に提出していた告発状5件が全て受理されたとの報告があった。
告発内容は市発注工事の官製談合疑惑を調査する特別(百条)委員会における偽証容疑、対象は赤間幸弘市長、元副市長の白石二郎氏及び建設業者2社の代表者の計4人で今後の行方が注目される。

こうした中、新たにコンプライアンス上の問題が議会で取り上げられた。
それは、廃校になった小学校の建物をリノベーションした市営宿泊施設「カホアルペ」の指定管理者の選考について。

現在、市直営の同施設は来年度から指定管理者に運営させるとして、今年5月公募、6月24日締切、8月4日にプロポーザル方式による業者選考が行われた。
応募したのは 現在同市内のキャンプ場の指定管理者P社(福岡市)、NPO法人B(嘉麻市)、そして 石川県に本社を置くR社の3者。
選考の結果、僅差で最高得点を獲得した R社に決まった。

そして、嘉麻市議会の12月定例会に 「R社を指定管理者とすることに同意を求める議案」が上程されたのだが、複数の議員から質疑があった。
要約すると、R社の社員と嘉麻市の職員の間で、募集期間の随分前から複数回にわたる接触があり飲食をしていた事実があるのではないか、このことは指定管理者募集要項における選定方法及び選定基準(本件の関係者に対し不当な接触等が認められたときは無効または失格)に該当しているのではないか、ということである。



それに対し執行部は「指定管理者制度に移行するにあたり、いろいろな業者の方に指定管理者に手を挙げてもらえないか営業を行い、その中で質問されれば答えられる範囲で回答してきた。不当な接触という認識はない」という趣旨で答弁、公募前にR社と接触したことは認めている。

市の立場なら、「同様の施設管理に実績があり、少ない指定管理料で応じてくれる業者があれば請けてほしい」と考えるのは当然で、ネット検索などで業者を見つけ、指定管理者の公募に応じるようにお願いしたとしても不思議ではない。
しかし、そこから一歩踏み込んだとすれば 話は微妙に違ってくる。

市は R社に営業を行ったと述べたが、事前にR社の社員との接触が複数回、それも飲食を伴っていた、これが事実であれば、事前の接触に当たる可能性はじゅうぶんあるだろう。
少なくとも P社やNPO法人Bは、市と複数回の接触もなければ飲食もしておらず、公募が始まってから準備を始めている。

こうなると、ポロポーザルの採点が公平公正に行われたかどうかも疑わしくなる。
P社は11月8日付で、赤間市長宛に 処分の取り消し(選考の無効)を求める審査請求書が送付している。
ところが、前述の通り 市は12月議会に議案を提出、市は議案が可決すると高をくくっていたと思われるが、議会が黙っていなかった。



12月6日の産業建設委員会において議案の継続審査が決まったという。
これは市とR社にとっても想定外だったと思われ、4月からの移行のスケジュール等に影響が出るのは必至だ。
最悪の場合、否決されることもあり、こうした面倒な状況が続けばR社も撤退を検討し始めるのではなかろうか。

一連の流れを見ると、学校建設の官製談合疑惑とは異なり、市の厳しい財政状況の中で最良の施設運営を考慮した苦肉の策だったことが想像され、利権絡みとか悪質さは感じられない。
しかし、業者選考は 細心の注意を払って 公平公正、完璧に行う必要がある。

今後の展開が注目されるが、期待されているリノベーション施設だけに、赤間市長におかれては知恵を絞って最適な答えを見つけ出し、議会と協力しながら前に進めて頂きたい。

官製談合情報

田川広域水道企業団(企業長:二場公人氏)では10月31日、白鳥浄水場(仮称)機械設備設置工事の入札が行われたが、官製談合の情報がSNSで出回っている。

怪文書の類ではあるが、当入札については 弊社記事「注目が集まり始めた田川市(2022年7月28日)」で報じた入札の関連工事で、落札会社が弊社予想と一致しているので 敢えて取り上げておきたい。

11月5日現在、入札結果は公表されていないため、応札した業者数や落札した会社名、落札金額は不明、企業団事務局は「決裁中なので来週以降に公表」としている。

情報によると、落札すると見られているのは S機工、同社と副市長がこの会社が優位になる様な条件(実績・資格)で縛りを入れており、受注後は地元の紐付き業者への架空上乗せ金額で発注することを裏で約束しているという。
どこの副市長かは不明だが、発信元は「10億円以上のバラマキが〇〇建設経由で行った」など 内部事情に詳しい方の様だ。

S機工と言えば、隣町の親分と これまでも密接な関わりを持つ会社、また 筑豊地区の某自治体で浄水施設などの管理運転業務を行っていた際、別の地域で官製談合を行った事実が認められたとして 24ヵ月間の指名停止となった過去がある。
業界に詳しい関係者は、S機工ならやりかねないと話す。

今後 入札結果が公表され、本当にS機工が落札していたなら この情報の信ぴょう性が増してくるだろう。
つまり、田川地区の皆さんの血税が 一部の者に流れていくことになる。

百条委員会、嘉麻市の次は田川市

当新聞で報じてきた 嘉麻市の官製談合疑惑であるが、6月28日の市議会で 赤間幸弘市長ら4人を告発する議案が可決し、舞台は 県警を飛び越えて福岡地方検察庁に移ることになった。

来年4月開校予定の3つの小中一体型義務教育学校の建設工事で、令和2年10月に業者選考前に 受注業者が予め決まっていたという情報が入り 一度は議会が否決したが、過疎債の申請期限の関係から同3年の3月議会に議案が再提出され可決、その代わりに真相の調査のため百条委員会を設置した経緯がある。

昨年4月から1年かけて、告発した市議・市長・前副市長・建設会社・関係職員らの尋問を行ってきたが、証言に食い違いが見られたことから虚偽の疑いがあると結論づけた。

一段落ついたと思ったら、今度は隣接する田川市の市議会でも百条委員会が設置された。
田川市は昨夏、家庭ごみ収集業務の委託先を決める業者選考を3工区に分けて公募型プロポーザル方式で実施したが、うち2工区で1位となった業者が辞退し次点の業者に決まるなど不可解な動きがあった。
市はプロポーザルの審査に市役所職員5名のみで行ったが、その役職や氏名を公表しておらず、情報公開に消極的な姿勢に議会や地元メディアから批判する声が上がっていた。

情報公開に消極的で全国に名を馳せたのは 隣の大任町、その町長の義弟が田川市長と聞いて納得した。



 

市役所でドローン、大丈夫?

嘉麻市の公共施設の上空から撮影された映像が Youtubeで公開されているが、違法ではないかという問い合わせがあった。
動画を確認したところ、嘉麻市役所、支所、そして 建設中の義務教育学校をドローンで捉えていて、普段 見ることができない角度からの映像は素晴らしかった。

作成したのは現市長の赤間幸弘後援会、エンディングでは 赤間市長が市役所のベランダから笑顔で両手を広げておられた。

→ 私たちの住みたいまち嘉麻市 赤間幸弘後援会

航空法に違反している訳ではなさそうだが、市が許可を出したかどうかだろう。
総務課に尋ねたところ、現在ドローン撮影に関する規定はなく、何とも言えないとのことだった。
それなら ドローン愛好家が殺到して敷地内で 何台飛ばしても問題にはならないと解釈できる。
少なくとも赤間市長からは苦情は出ないだろう。

また、学校上空からの映像については、教育委員会がドローンで撮影をしたことはなく、恐らく 学校建設中のゼネコンが撮影したという報告を受けているとのことだった。
そう言えば、百条委員会では 市長後援会の地場業者とゼネコンとの密接な関係が調査されていたが、ゼネコンが撮影した映像が市長後援会に渡ったとしても何ら不思議ではないと納得した次第である。

いずれにしても、現職市長の後援会だからこそ作成できる動画であることに違いはない。

市長選直前!市長らを刑事告発へ

嘉麻市義務教育学校施設整備事業に係る官製談合を調査する委員会(百条委員会)が3月26日に開催され、赤間幸弘市長、前副市長の白石二郎氏ほか建設会社3社の代表者計5名について、議会として福岡地検に刑事告発することが 賛成7、反対1の賛成多数で可決された。

告発の内容は 談合があったと結論付けたものではなく、委員会で偽証をした地方自治法違反容疑。
4月17日投開票の市長選挙後に開催される本会議で 可決されれば 手続きに入る。

前回の委員会が開催されたのが 2月17日、赤間市長らの証人喚問が行われるも、その後 議事録作成に 通常より時間が掛かっていたという。
市長選挙前に委員会を開催させないよう 誰かが故意に議事録作成を遅らせるよう指示したのではとの憶測が広がったが、結局 委員から事務局に通常通り開催を急ぐよう抗議があり 26日開催の運びとなった。

折しも 市長選挙の直前、赤間市長自身に加え、側近だった白石前副市長、そして 市長後援会の建設会社代表らの刑事告発が圧倒的多数で決定し、官製談合を想起させる内容がマスコミに報じられたことは、市長サイドにとっては大きな痛手となる。
赤間市長は新聞の取材に、当事者の石原市議が採決に加わったことなど、委員会の過程や結論に不満を語っている。

3選を目指す赤間市長、これまでは稲築地区ばかり優遇してきたという批判が 他の3地区から出ていたくらいで、有力なライバルもいない状況だった。
市長後援会関係者の話では、事務所が重苦しい空気になっているのに加え、今回対象となっている建設会社の代表者が 相変わらず出入りを続けているため、距離を置き始めた支援者もいるという。

赤間市長としては勝利し、その勢いを駆って議会の刑事告発を阻止したいところだろう。
一方で、昨年9月に立候補を表明した元飯塚市教育長の西大輔氏は、米国三井物産社長、日本ユニシス社長、NHK会長を歴任した籾井勝人氏とは親類関係に当たるそうだが、ここに来てようやく名前が浸透してきた。

告示まであと1週間、2人の一騎打ちとなりそうだが 予想は難しくなった。

官製談合か?

嘉麻市義務教育学校、3校の施設整備事業にかかる官製談合を調査する百条委員会が設置されて9ヵ月が過ぎた。

令和3年12月17日に開催された委員会では、赤間幸弘市長と2月末に体調不良を理由に退職した前副市長、白石二郎氏の証人尋問が行われたが、白石氏に対する吉永市議の質問の中で 耳を疑う話があった。

吉永氏は一昨年11月、3校の建築工事について、それぞれ参加JVと受注予定予定JVの詳細を記した図が記載されている文書(下図)を某ゼネコンから入手した。
業者選考日は約1ヵ月後の12月7日、まだどこの業者が手を挙げるか 表に出ていない時期である。



同文書は出所が書かれていない いわゆる怪文書の類だったが、市内業者名が入っいるため心配になり、市長と副市長を議会棟の委員会室に呼び、他市議2名と計5名で話したという。

その時の内容は次の通りだ。



吉永氏が市長に、「こうした文書が出ているが、業者が決まりもしていないのにどういうことか」と尋ねたところ、市長は首をひねってチンプンカンプンの様子で「分からない」と答えた。
次に、副市長に文書を見せた瞬間、「私は不正をしておりません」と大きい声を出した。
その後、副市長は3者の本命のうち2者を消して、「1者だけでいいので、これでさせてもらえないか?」と言った。






俄かには信じ難いが、つまり3校の受注業者3者が事前に決まっていたが、吉永氏らに質されたことで、副市長がそのうちの1者だけ残していいか尋ねたというのである。

12月7日の選考で3校の工事の受注業者がそれぞれ決定、上記の通り怪文書中の本命3者のうち1者だけが受注した。
3校の工事の選考に参加した9JVの、代表企業・地元企業・設計企業の組み合わせが怪文書と一致していたのも注目される。

事実であれば官製談合の疑いがあると思われるが、同席した他の市議も聞いたとされる一方で、白石氏は委員会の中で「(話したことは)全く記憶にない」と否定している。



4月には市長選挙を控える中、赤間市長も9月議会で3選出馬を表明したところだが、市長後援会の地元企業代表者も百条委員会で証人尋問を受けていることもあって、後援会の動きも以前ほど活発ではないと聞く。

百条委員会の今後については、これまで尋問者への再尋問が行われ、結論が出るにはまだ先のことになりそうだが、特にに選挙関係者の間で 委員会の成り行きに注目が集まっている。

 

百条委員会設置・嘉麻市

官製談合の疑いで議案否決・嘉麻市」で既報の、再提出された義務教育学校工事請負契約であるが、2月10日の臨時議会で3議案とも可決した。
12月議会に提案した内容に修正が加えられていないため反発もあったが、国の補助金や起債の要件に期限があり、時間がないことを重く見た一部議員が賛成に転じた。

一方、これまでの委員会審査の中で、同工事業者の選考方法に官製談合の疑いがあるということで、これらを調査する百条委員会の設置が賛成多数で可決した。
嘉麻市では、建設業許可を受けていない業者が工事を受注・完工していた問題が発覚するなど、業者選定に不透明な点が指摘されている。

これまでの委員会において、市長や副市長の関与があったとの証言も出ているが、白石二郎副市長が体調不良で入院している中、百条委員会の行方に注目が集まっている。



 

衝撃の議会中継

国会の予算委員会のテレビ中継と違って、地方議会は原稿の棒読みが殆どで、退屈の極みだが、福岡県のある自治体で、例を見ない 熱い議会中継が配信された。

市議会の特別委員会、市長、副市長、担当部課長らが出席する中、議員から執行部への質問が始まったが、その中でA議員から出た爆弾発言があった。

要約すると次の通り。

私が市長を信頼できなくなったのは、1期目の時 市長に呼ばれ「あなたは与党でいくか、野党でいくか。1期目では たいした仕事はできない」と言われてからだ。恫喝のようで圧力を感じた。

昨年6月、私が庁舎建設について一般質問の通告を出していたところ、市長の後援会長を務める地元K社の社長とG社の社長から割烹に呼び出され、
一般質問で余計なこと聞かないでほしい。
それから今後進められる学校建設についても 市長・副市長と我々3社で話がついて、設計会社もゼネコンも既に決まっているから 余計な質問はしないでほしい。
黙ってくれれば ゼネコンにお宅の会社をゼネコンに推薦してやる。
そうすれば3000万円にはなるだろう。」

その一部始終が、ケーブルテレビでお茶の間に配信された。
会議は収拾がつかず、次回へと続いていくことになった。

反対議員説得で議案再提出?・嘉麻市

官製談合の疑いで議案否決・嘉麻市」で既報の通り、12月議会において義務教育学校建設の事業者との「工事請負契約の締結」3議案が、賛成7・反対8で否決されたが、1月28日に臨時議会が開催される予定で、議案が再提出される可能性が出てきた。

市長と副市長が、中学校区の自治会長らを招集し、学校建設の早期実現を求める嘆願書を提出するよう要望したという話もあり、これ以上竣工を遅らせてはならないという思いが窺える。
しかし、12月議会で反対討論をした吉永雪男市議は「学校建設は推進したいが、官製談合の疑いが払拭されていない中での議案の再提出は考えられない」と話す。

議案の再提出を巡っては、ある人物が反対した議員らを訪ね、臨時議会で賛成するよう説得して回っており、次期ポストを餌に複数の議員を吊り上げたという噂もある。
絶対連敗は許されない市が議案を再提出するのであれば、議員の説得が成功したとみて間違いないだろう。

官製談合の疑いで議案否決 ⑥・嘉麻市

■ 透明性の確保と説明責任

嘉麻市では 3中学校区の義務教育学校建設の契約議案に反対した議員を批判する声が高まっている。
開校時期に遅れが生じることがほぼ確定したからで、稲築中学校区では、反対した議員名を記した匿名の文書が各戸に配布されている。

しかし、議会は税金の使い道をチェックする立場、プロポーザル方式は随意契約で受注金額が高くなることもあり、慎重になるのは当然である。
むしろ、談合の疑いが指摘されている状況で、もろ手を挙げて賛成する議員がいるなら、それこそ市民への裏切りだ。
裁決を延ばすことも可能だし、真相究明のための委員会を設置することもできる。
市民の皆さんには、そのことをまず理解頂きたい。

それから、嘉麻市の情報公開の姿勢について知って頂きたい。
弊社は昨年12月23日付で、「義務教育学校施設整備事業の公募型プロポーザル方式に関して、3中学校区ごとの審査結果で、評価の内訳が分かる表(一覧表等)及び個票」の情報開示請求を行った。
そして、1月5日付で開示されたのが下図だ。



点数を付けた委員の名前を伏せるのは分かるが、それぞれが付けた点数まで全て黒塗りになっているのには驚いた。
30億円以上もかけて建設する学校というのに、提案のどの部分が評価されて選定されたか、これでは市民は知ることができない。
官製談合など無かったと信じたいが、やましいことがあると勘繰られても仕方がない。

敢えて申し上げるが、”ちゃんとした” 自治体は、透明性の確保と説明責任を果たすことを目的として、「プロポーザル方式による情報公開基準」を設け、事業者を選定するための評価項目・配点は公開すると定めている。

→ 参考: 豊島区 ポロポーザル公開基準

今回、議会で契約議案が否決したというニュースを聞いて取材を始めたが、プロポーザル方式に多くの問題があることが分かった。

人口減少が進む筑豊地方では、小中一貫の義務教育学校の検討を進めている自治体が多いと聞く。
1校区あたり30億円~50億円もの大型案件、大手ゼネコンや地場企業が必死になって取りにくる中で、業者選定に疑念を持たれない工夫は必要だ。
特にプロポーザル方式を採用する場合は、どうにでもできるというデメリットも言われてるので、今回のケースをよい教訓として、他自治体では 透明性の確保と説明責任を果たせるよう、努めていく必要があるだろう。



ー 了 ー

官製談合の疑いで議案否決 ⑤・嘉麻市

■ 巻き込まれた大手ゼネコンと設計企業

12月議会で契約案件が否決された理由として、官製談合が疑われたことは事実である。
市は義務教育学校整備事業全体について再検討を迫られることになったが、事業者選定の方法については見直す必要があるだろう。

まず、参加者数が限定されてしまう要因となった、地元企業のJV参加への優遇は止めるべきだ。
もちろん、分離発注や、下請けに一定割合使うことでのポイント加算などの工夫で、地元企業を使う方法はある。
併せて、3校区同時の業者選定ではなく、参加者が増えるよう時期をずらすことも一つの考えだ。
また、疑念を持たれぬよう 技術提案審査選定委員会のメンバー構成も再考することも必要である。

ところで、下の表は、今回JVを組んで、技術提案をした大手ゼネコンと設計業者の一覧である。



その殆どが全国に支店を構え、実績と信頼のある企業である。
今回、大手ゼネコンと設計企業が技術提案書を作成し、ヒアリング審査に臨んだ結果、3校区それぞれ最優秀者が決まり、最後に議会で否決されたことで、参加した全ての企業の努力が水泡と化した。
赤間市長は、10月中旬に吉永議員から怪文書の情報を得た時点で、事業者選定を一旦白紙に戻すべきだったが、それを強行したがために これだけの企業に多大な迷惑をかけてしまった。

この事業の目的と、関係者が議論を積み重ねた努力を思えば、一刻も早く計画を修正し、実行に移さなければならない。
市長におかれては、おそらくこの大失態の責任を痛感されているだろうが、今後の信頼回復にどう努めていかれるかに注目していきたい。

と思っているところへ、プロポーザルの技術提案書の評価点数についての情報開示の結果が届き愕然とした。

ー 続く ー

官製談合の疑いで議案否決 ④・嘉麻市

■ 脇の甘い選定方法

まず、今回問題と思われるのが、プロポーザルの事業者の参加資格だ。
参加JV(共同企業体)の構成として、経営審査の評価点数が1500点以上の代表企業(大手ゼネコン)と設計企業の2者、または、それに地元企業を1者加えた3者としている。
JVに地元企業を加えることで600点満点中40点分が加算されることになっており、大手ゼネコンは自ずと地元企業と組むことになる。

地元企業は、嘉麻市の入札参加資格者名簿で等級Aに格付登録されていることが条件だが、該当するのは9者のみ、本来、より多くの技術提案の中から事業者を選定するべきだったところ、地元企業とのJVを容認したがために、参加者数が限定されてしまった。
実際、稲築中学校区には3JV、稲築東中学校区にはわずか2JV、碓井中学校区には4JVと、3つの大型案件に計9JVの参加に止まっており、技術提案の競争としては物足りないものとなっている。
稲築東中学校区に限って言えば、2JVの参加で1JVが審査途中で辞退(抗議の意味では?)、結果的に競争もなく1JVで決定するという事態になっている。

それに加え、地元企業に等級A以外の条件を付していないことも問題だ。
公表されている地元企業9者の経営事項審査結果の比較(下表)をご覧頂きたい。



大手ゼネコンは、9者からJVのパートナーを探す必要がある。
上記のうち2者は法人化していない。
また、地元企業の最低出資比率は30%以上とされているが、売上が1億円にも満たないところ、利益剰余金が少ないとこと、営業C/Fが2期連続マイナスのところも。
更には、建築の技術職員が0~2名のところが4者ある。
客観的にみて、JVのパートナーとして相応しいのは2番目か5番目か。
地元の関係者によると、1番目はペーパー会社、受注したら7番目が工事を行なっていると聞いた。

今回、9者中8者が大手企業とJVを組み(1者は2つの校区で別々の大手ゼネコンと掛け持ち)参加、施工実績のない業者、財務面が安定しない業者、技術職員の少ない業者も含まれている。
受注すれば地元企業は3年間で最低でも9億円、年間約3億円の業務を行う計算になり、発注者(市)として不安になるのが当然だろう。
それが分かっていながら市は、JVに地元企業を参加させると加点という条件を作った。

もう一つの問題点が、審査・評価する技術提案審査選定委員会のメンバー構成だ。
メンバー9人のうち、委員長に学識経験者、副委員長に副市長、委員のうち2人は学識経験者、1人は市教育長、残り4人が市の住宅課長、地域活性課参事、企画財政課長、企画財政課参事となっている。
市役所からは副市長以下、市教育長と市役所職員4人と計6名と過半数を占めており、選定結果に市長の意向が反映される可能性がある。
また、課長であったり参事であったり、また、財政課からは2名であったりと人選の基準が不明確だ。

これらのことを合わせると、「地元企業が入れるようにハードルを下げ、意中の業者を決められるよう選定委員会を構成した」という疑いを持たれても仕方がない。

ー 続く ー

官製談合の疑いで議案否決 ③・嘉麻市

■ 怪文書と審査結果の違い

公表された審査結果は次の通り。



蓋を開けてみると、3中学校区ごとの参加JVの数、構成企業の組み合わせが、吉永議員に届いた文書で示された通りだったのだ。
但し、最優秀者はその通りではなかった。
稲築東中学校区では、予告通り鴻池組・平嶋工務店・久米設計JVが最優秀者を勝ち取ったが、稲築中学校区 及び 碓井中学校区においては、別のJVが選定された。

ここで考えられることは3つ。
1) 中学校区ごとの参加JVの数、構成企業の組み合わせが偶然一致しただけで、ガチンコ勝負だった
2) 中学校区ごとの参加JVの数、構成企業の組み合わせは決まっていたが、当初からガチンコ勝負でいくことに決まっていた
3) 怪文書の予告通りに事業者決まると問題になるので調整が行なわれたか、方針を変えてガチンコ勝負になった

まず、1)はない。
2)だが、ガチンコ勝負ということで事前に話がついているなら、こういう怪文書が出ないはずだ。
やはり、3)の通り、事前に受注業者が決まっていたが、怪文書通りになると問題になるので 調整が行なわれた、あるいはガチンコ勝負に変更されたと考えるのが自然だ。

受注する事業者が決まっていたと書いたが、問題はプロポーザル方式には提案内容の審査・評価があり、民間業者だけで決めることはできない、つまり、選ぶ側、発注者たる嘉麻市に主導権があるということだ。
いわゆる官製談合だが、仮にそうであれば、最も良い提案内容で事業者を決め、地域に良い学校を造りたいという嘉麻市民の期待を裏切る行為だ。

怪文書の出処はおそらく、プロポーザルに参加している事業者と思われるが、その中にプライドをもって真剣に作成した技術提案の中身ではなく、受注業者の結論ありきで進もうとしていたことを許せなかった人物がいたとしてもおかしくはない。

本当に官製談合が行なわれようとしたかどうかは不明だが、行政側は あらぬ疑いを掛けられないよう、選定方法の透明性、公平性確保に工夫が必要で、参加要件の作り方や選考方法には細心の注意を払う必要がある。
しかし、今回の選考方法を見る限り、脇の甘さが際立っているように思われる。

ー 続く ー

官製談合の疑いで議案否決 ②・嘉麻市

■ 届いた怪文書

怪文書には次のように書かれていた。

赤間市長の選挙事務局を務める「光和建設」が主導して地元建設2社推薦し、3工区とも決めている様子。光和建設は「碓井中学校区」を確保。2社を「ガーデンホームは、稲築中学校区へ」、「平嶋工務店は、稲築東中学校区」へ配置させた。
光和建設は普段より「ガーデンホーム」と「平嶋工務店」が受注した建築工事を施工している。
ガーデンホームは元々園芸の会社、平嶋工務店は規模の小さい工務店。
今回もこの2社に他校区を受注させて、3工区とも工事をするつもりでいる。

そして、稲築中学校区に3JVが参加して「奥村組・ガーデンホーム・山下設計JV」が、稲築東中学校区に2JVが参加して「鴻池組・平嶋工務店・久米設計JV」が、碓井中学校区に4JVが参加して「鉄建建設・光和建設・石本設計JV」それぞれ受注するという表が添付されていた。



1件あたり30億円以上の建設工事、利権絡みは不思議ではないが、事前に受注業者まで分かるとなると穏やかではない。
送り主のない怪文書ではあるが、事態を重くみた吉永氏は10月中旬に市長室を訪れ、副市長や議長らも同席する中、文書を見せ、この通りになると大変なことになると訴えたという。

本来なら、この時点でプロポーザルそのものを白紙に戻すべきだった。
しかし、事業者選定は予定通り進められ、11月24日には技術提案書等の受け付けが終了、12月3・4日の2日間でヒアリング審査が行なわれた。
12月7日、審査結果が発表され、3中学校区でそれぞれ最優秀者が決定し、公表された。

ー 続く ー

官製談合の疑いで議案否決 ①・嘉麻市

■ 否決された契約議案

福岡県の中央に位置する嘉麻市で、総額117億円分の建設工事が暗礁に乗り上げている。

同市では、少子高齢化や人口減などによる地域課題に教育現場でも対応していく必要があることから、3中学校区に小中一体型校を開校することを目標に、平成30年度より協議会を設置し検討を進めてきた。
令和2年9月議会において予算の承認を得た後、市はデザインビルド(設計から施工まで一元化)の公募型プロポーザル方式で事業者を募集し、12月7日には提案の審査を終え事業者が決定、12月議会で契約議案が可決すれば、事業がスタートすることになっていた。

ところが、稲築中学校区(50億6000万円)、稲築東中学校区(35億8050万円)、碓井中学校区(30億7450万円)の契約議案が、3件とも賛成7、反対8の賛成少数で否決となり、仮契約を済ませていた状況からの大どんでん返しに、関係者の間には衝撃が走った。
このため、目標としていた令和5年4月の開校は難しくなるとともに、同市は義務教育学校整備事業全体について再検討を迫られることになった。

9月議会で予算が承認されていたにもかかわらず、なぜ12月議会で否決されたのか。
反対討論の中で、「選定方式の基準が明確でないこと」「市内業者育成のため分離発注するべき」等の理由が挙げられたが、驚いたのはベテランの吉永雪男議員(8期目)から「官製談合の疑い」の指摘があったことだ。
その経緯を説明すると次のようになる。

嘉麻市は、令和2年9月18日に3中学校の整備事業の公募型プロポーザル方式による事業者選定を公告、参加要件として、JV(共同企業体)を組むこととし、代表企業と設計企業の2者、もしくはそれに市内施工企業を加えた3者とした。
そして、10月8日の参加表明の締め切りまでには、9JVの応募があったが、当然のことながら、この時点でJVの構成企業は公表されていなかったが、数日後、吉永議員宛に怪文書が届く。



ー 続く ー

築上町官製談合

築上町の死亡した町議に、800万円の現金を渡した贈賄容疑で、九電工の行橋営業所長が逮捕されている。

受け取った町議は既に亡くなっており、昔から「死人に口なし」の言葉があるように、亡くなった町議もあの世から反論は出来ず、残された家族は悔しい思いをしている事だろう。

一昔前の話になるが九電工の裏金工作は有名で、発注する担当者には勿論のこと、贈賄で相手に渡す現金の一部を水増しし、社内における上司への上納金もあったようで、その額で社内の出世が決まるという、噂話を良く聞かされたものだ。

その頃の役員の中には、上納金で自宅の他に住宅を購入した人や、彼女に中洲で店を持たせた兵もいたと聞いた事がある。

今回の事件に関しても統一選挙が終われば、福岡県警が捜査を更に進めるとの情報もあり、中でも日豊本線沿いの自治体を調べれば、何かと問題が有る案件も多いと噂され、必ず出てくるとも言われている。



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小笹団地再生事業

 福岡市中央区にある動物園や植物園一帯は、南公園と呼ばれている市民の憩いの場所で、隣接する小笹団地は県営住宅として、昭和30年代に建設された。
建設当初は時代の先端をいく住宅として、入居倍率も高い人気の住宅だったが、老朽化が進み入居者も高齢化したため、狭くてエレベーターも無い団地の再生事業が計画された。

福岡県住宅供給公社により発注された、第1期工事は既に入札が行われて、㈱西中洲樋口建設が14億6280万円で落札、㈱サンコービルドは14億6600万円で、惜しくも2番手で落札できずに終わり、現在工事は予定通り順調に進んでいる。
今年の9月には第2期工事の募集要項が発表され、それによると、設計・施工一括の性能発注方式で、目下地元建設会社数社が応募し、期日に提出する準備を進めているようだ。
ところが前回と違いこの第2期工事は、建築価格が80%と重視され、提案が20%と低いが、設計施工の旨味が加味された、何か含みがある内容で気になるところだ。
応募するには相応の費用も必要で、参加するグループはチャンピオンを目指し、設計事務所を交えて協議しているが、今回の入札には何か裏がありそうだ。
第1期目の入札から遡って取材を行ってみると、当局のОBが動いた形跡もあり、官製談合の雰囲気が漂い出した。


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