専門家会議は忖度集団 (後)

その後も全国的に感染者数が増加、3月26日になってようやく 特措法に基づく政府対策本部が設置された。

その流れで関係者の間では、30日までには「緊急事態宣言」が発令されるとみられていたが見送られ、ネット上で噂になっていた4月1日の発令も空振りに終わった。

1日の専門家会議の提言書を確認したところ、「我が国でも都市部を中心にクラスター感染が次々と発生し急速に感染の拡大がみられている。このため、政府・各自治体には今まで以上強い対応を求めたい。」とあり、宣言発令の必要性があるようにも読めないこともないが、明確に記されていない。

結果として、7日に「緊急事態宣言を出すように専門家会議が判断した」ということだから、1日時点では専門家会議は宣言が必要と判断していなかった。

厚労省は東京都をはじめ、都市部の10日程先までの感染者数の試算を出していたはずだが、その試算を見て宣言発令を提言しなかったとするなら、随分のんびりした医療の専門家たちだ。

想像するに、官邸が宣言を発令した際に出す「緊急対策」の中身と財源が詰められておらず、官邸側の都合で宣言が遅れたというのが本当のところだろう。

おかげで医療現場は限界に達しているのが現状だ。

官邸から専門家会議側に宣言発令の提言を引き延ばすよう依頼があった事も考えられるが、専門家会議が安倍総理を「忖度」して敢えて遅らせたとするなら、その在り方に疑問符が付く。(了)

専門家会議は忖度集団 (前)

7日、緊急事態宣言が安倍総理により出された記者会見で、「決断が遅かったのではないか」という質問があった。
総理は、「先週から、我々はいつ出すべきか、西村大臣と尾身先生と毎日緊密に協議をし議論をしました。これはやみくもに出せません。専門家の皆様が判断をする。準備をすべきだという判断をいただきました。」と答えた。

つまり、専門家会議は4月6日までは宣言の発令にゴーサインを出さなかったことになるが、医療の専門家が集まっていながら何故そのタイミングになったか納得がいかない。

首相官邸のホームページで確認したところ、改正特措法施行された直後の3月19日の専門家会議の提言書には、「政府が『緊急事態宣言』の発動も含めた必要な対応が迅速かつ果断にとれるよう、適宜、必要に応じて検討を行い、見直しを行う」とあり、確かにこの時点では専門家会議は宣言の必要性を述べていない。

ところが、翌20日大阪府が厚労省から文書で「大阪府・兵庫県でクラスター連鎖の増加についての現状分析、及び28日から4月3日までの間に両府県の患者数が3374人(うち重篤者は227人)に達するとの試算」を示されたことを公表、吉村大阪府知事はこの数値を重く受け止め、3月20日~22日の連休中の自粛要請をしたという経緯がある。

当然ながら厚労省は東京都の試算も出していたと思われ、専門家会議もデータを共有していたはずである。

つまり専門家会議は、何もしなかったら感染爆発という試算が出ていたにもかかわらず、「緊急事態宣言」が必要と判断しなかったことになる。(続く)