小料理屋・西海

 大正通りと城南線が交差する薬院四つ角、福岡信用金庫薬院支店からちょっと平尾寄りのところに、御年84歳の元気な女将が一人で切り盛りしている、カウンターだけの小さな料理屋「西海」がある。
だからメインの料理とみそ汁は女将が出してくれるが、ご飯はジャーから自分でよそわなければならず、またカウンターに並んでいる写真のような数種類のおかずも、皿に自分で食べる分だけを取れば良いシステムだ。
料金は700円だが、ご飯のお代わりは自由、またカウンターの上のおかずはどれでも食べ放題、手の込んだ料理は少ないが、非常にシンプルで素材が上手く活かされている。
早くに旦那と親思いの下の娘を亡くしたが、体だけでなくアゴも達者で良く喋り、数年前までは朝7時から朝食を出していたが、さすがに現在は昼食と夜の営業だけに止めているものの、結構遅くまで営業している。
店は小さいだけに調理場も狭いが,料理の手際の良さは抜群で、元魚屋の女房だっただけに、魚をこしらえる鮮やかな包丁さばきは見ていて気持ちが良く、「口八丁手八丁」がカウンターの中で調理しながら唄っているような店だ。
84歳とは思えぬ元気の良さで、とうの昔に働くのが趣味の域に達しており、客は老女将のお喋りを楽しみながら、飯を食いかつ酒を飲み、おまけに元気まで貰っている塩梅だ。