大任町の建設発生土、虚偽報告と新たな疑惑

今年1月、福岡県民新聞では 大任町(永原譲二町長)のゴミ焼却場等建設で発生した土砂が 添田町の処分場(管理者 永原譲太郎氏)に、県に報告した以上の量を搬入している疑いがあると報じた。
昨年、大任町の住民が、町の工事の建設発生土が分かる資料の情報公開を求めたところ、開示を拒否され疑念が深まったという内容だった。

ところが3月になって、永原町長が情報公開を進める方針を発表、改めて情報公開を求めたところ、平成30年度~令和3年度までの建設発生土の資料が開示されることになった。

関係者がその資料を精査、その結果、永原譲太郎氏が福岡県に提出していた「土砂埋立て等報告書」に虚偽記載があることが判明した。
今回は、その顛末と新たな疑惑について報じるが、その前に 1月の記事を下記に再掲するのでご一読願いたい。

以下 今年1月の記事。




昨年8月に「大任町から出た違反盛土の全容」という記事を書いた。
大任町の隣、添田町の土砂処分場に計画を6mも上回る高さに積み上げられた盛土が下流域の住民を脅かしているという内容で、週刊Fridayも報じたほどである。

Friday記事は → こちら



大任町では衛生処理関連の大型施設や関連する道路整備工事が集中して行なわれ大量の建設発生土が出て、それを永原譲太郎氏が許可を受けた添田町の処分場に搬入していたと思われる。



その後、県が永原氏に土砂の撤去命令を出し、状況が改善されたというところまで報じたところである。

しかし、これで終わらせていいものだろうか。
大任町発注工事の建設発生土の全てが永原町長の家族の土地に捨てられたとなれば、かなりの利益を得ていることが考えられ、政治倫理上の問題が出てくる。
昨年9月7日、大任町の住民が勇気を出して、「平成31年以降の町発注工事の建設発生土の処分場所、量(㎡)、期間が分かる書類」の情報開示請求を行った。

本来2週間で出てくるはずだが2週間延期、いろいろと理由をつけて再提出、そして期限延長を経て、12月28日になってようやく通知が送られてきたという。

2ヵ月半経って出てきたと思ったら不開示決定、理由は例によって「公にすることにより、人の生命、健康、生活、財産、又は社会的地位の保護、犯罪の予防…云々」、つまり、出すことで反社からの被害を未然に防ぐというお決まりの言い訳である。

請求内容をご覧頂くと分かる通り、「業者名不要」と書いてあり、誰が捨てたかは問われておらず、業者が反社に狙われるということは有り得ない。
いつ どこに どれだけの量を捨てたかが知りたいだけだ。

これでは、永原町長が発注した建設工事の発生土の全てが子どもの処分場に捨てられ、家族でぼろ儲けしていると思われても仕方がない。



建設発生土の受け入れをしている事業者は、半年に1回、搬入量・搬入割合・今後の搬入可能量の書類を提出することが県条例で義務付けられている。
当然、添田町の処分場で受け入れている永原譲太郎氏も提出していたので、平成24年以降の報告書を情報開示請求で取り寄せた。

それをまとめたのが下記の表である。
令和3年10月18日の報告では、2851㎥搬入して 搬入割合が 99.64%とほぼ限界に達していたが、同4年4月18日の報告の際、これまで搬入した土砂量に 締固め率 0.85を乗じた数値に変更し、搬入割合が 91.51%に減少している。
「これまでは土砂搬出したときの量で計算していたが、搬入後踏み固めているので実際の体積は0.85倍である」というのが業者の言い分で、県もそれを認めており それについて異論はない。



しかし、これまでの報告書の数値に虚偽の疑いがあると関係者は指摘する。
というのも、平成29年10月23日に汚泥再生センターの契約議案が可決して以降、建設現場の造成工事や付帯する道路工事が一気に行われ 大量の土砂が出て、同処分場に搬入されているはずだが、その後の土砂の搬入量が極端に少なくなっているからだ。
また、令和2年11月16日に最終処分場、同3年3月17日にごみ処理施設の契約議案が可決しており、その後も大量の土砂が搬出されていると思われる。



まさに急激に土砂が積み上がり、添田町民を不安に陥れた時期と重なる。
20日の記事で紹介した情報開示請求「平成31年以降の町発注工事の建設発生土の処分場所、量(㎡)、期間が分かる書類」というのは、報告書に記載した「期間中の搬入量」が正しいかどうかを確認するためのものだった。
その書類を開示しないというのだからますます怪しい。

虚偽報告は条例違反となり罰則が定められており、政治倫理上の問題に止まらない。
疑いを払拭するには永原町長が情報を開示をすればいいだけ、簡単なことだ。






以上が過去記事で、ここからが今回の内容となる。

大任町(永原譲二町長)が公開した「建設発生土処分地報告書」には、報告した建設会社名、事業名、工事名、現場の箇所、工期、そして、建設発生土量と運搬距離が記されている。
「上記建設発生土を引き受けました。」と受入地確認をしているのは、有限会社譲(代表者 宮田芳光氏)、株主は同処分地の管理者である永原譲太郎氏だ。

公開された資料(下図)を元に、関係者が平成30年4月19日から令和3年10月18日までの建設発生土処分地報告書 128枚を集計したところ、管理者の永原氏が県に報告していた量と大きな乖離があることが判った。





永原氏 が県に報告していた、平成31年4月18日から 令和3年10月18日までの搬入量合計は 3万8958㎥、ところが ㈲ 譲が 同処分場に受け入れていた建設発生土の合計は 25万6540㎥、なんと約 6.5倍も 多かった。
つまり、譲の報告通りなら 永原氏が県に虚偽の報告をしていたことになる。
県条例では、虚偽の報告をした者には 20万円以下の罰金刑が科せられると規定されており、県は事態を重く見て永原氏へのヒアリングなど調査を行ったという。



その結果、県は悪質ではないと判断した模様で、永原氏は「顛末書(下図)」を提出することにより不問に付されている。
情報公開で入手した顛末書の写しでは、永原氏が搬出した合計量が黒塗りで確認できないが、「報告書には (搬出して)再利用した量が含まれていなかった。虚偽の報告を行う意図はなかった」と弁明、県は「刑事告発するレベルではない」と判断したもようだ。

ただ、永原氏が同一の処分場において、2年連続で顛末書を提出(1回目は 許可されていない場所に土砂を捨てたり 計画高を6mも超過、2回目は虚偽の報告)という杜撰な管理を行っているのは事実である。

そして、何より 政治倫理上の問題がある。
田川郡東部環境衛生施設組合(永原譲二組合長)が、大任町(永原譲二町長)を経由して発注した公共工事で出た建設発生土が、永原譲二氏のファミリーが管理する処分場に搬入され、この4年間で最低でも3億円以上の収入を得ていると見られている。

福岡地区であれば、こうしたあからさまなスキームは有り得ない。
公共工事でファミリーが大儲け、これを知りながら指摘もしない田川郡東部環境衛生施設組合議会の議員の皆さん、大丈夫ですか?



土砂処分場の管理者である永原譲太郎氏が、県に提出していた「土砂埋め立て等状況報告書」の虚偽記載疑惑は、同氏の顛末書提出で解消された。
しかし、地元では 新たな疑惑が生じている。

それは、大任町が発注している田川郡東部環境衛生施設組合関連施設の土木工事の建設費が、過大に見積もられているというものだ。
大任町が公開した「建設発生土処分地報告書」には、建設発生土量と共に運搬距離が記されているが、注目はその運搬距離だ。

ゴミ焼却施設の造成工事が行われている場所から 添田町の土砂処分場までは 片道約11km、どんなに遠回りしても15km圏内である。
ところが、汚泥再生処理センター外構整備工事、ゴミ処理施設造成工事、東部縦幹2号線道路新設工事の多くが、なぜか22.5kmと同一距離で報告されていた。



そのうち、東部縦幹2号線道路新設工事だけを抽出したのが下図である。
令和元年2工区から始まり令和2年34工区まであるが、運搬距離が 6.0kmから 22.5kmとかなり異なっている。
町の担当者は、「地元から苦情が出たので、令和2年6月以降、遠回りするルートに変えた結果 22.5kmになった」と説明した。

しかし、令和3年2月からは 10.0kmと距離が短くなっている。
その点について尋ねたところ、 「自分は設計していないので分からない」と回答、「忙しいので」と電話を切られ その後も折り返しはなかった。
設計・積算を行ったのは設計会社かもしれないが、それを認めたのは町であり、分からないではすまない。
疑問は膨らむばかりだ。

関係者は次のように話す。
距離が伸びれば 土砂の処分費用が積み上げり、工事費も上がる。
町が設計業者と組んで、工事費の上積みに関与した可能性もゼロではない。
距離をごまかしたとなれば、発生土量についても 多めに見積もっているかもしれない。
発生土量が増えると、建設業者と土砂処分場の両者は その分 利益が増え、Win Winである。

現時点では疑惑の域は出ないが、これが事実なら不利益を被るのは、発注者である田川郡東部環境衛生施設組合、ひいては田川地区の住民だ。
今後、組合や関係市町村においては、組合が支払う工事の各工区ごとの設計・積算の根拠書類、各工区を担当した設計会社の選定方法など、大任町に情報を公開させ説明を求める必要があるだろう。



ー 了 ー

ここは大任町?「おやつ代」非開示で争う井上市長

弊社では昨年来、春日市の放課後児童クラブの指定管理者「㈱テノ.コーポレーション」が事業報告書の中で、保護者から実費徴収しているおやつ代の支出額を黒塗りにして公開している問題を報じてきた。

おやつ代と保険代を隠す学童保育(2022年8月20日)

令和2年度と3年度のおやつ代の収支が黒塗りで公開されておらず、現在 住民が開示を市に求め裁判で争っているところだ。
ところが、この黒塗りをしたことで、市民図書館など他の公共施設の収支の一部も黒塗りにすることになり、市民はもとより 議会ですらその中身を知ることができなくなった。
さすがに、市長派の議員からも指摘があり、テノ社の令和4年度分の事業報告書からは黒塗りがなくなり 全て公開されている。

それなのに、令和2年度と3年度分については まだ黒塗りのままで、裁判が継続中という矛盾、令和4年度で 黒塗りを止めた訳だから、これ以上市民の税金を使って裁判で争う必要はないはずである。
余程 黒塗りの中身が見られたくない酷い内容と想像が膨らむばかりで、井上市長の情報公開を拒む姿勢については「大任町と同じ」という声も上がっている。

さて、公開された令和4年度分の事業報告書から判ったこと。
実費徴収した間食代(おやつ代) 2275万4600円に対し、支出が 2056万6964円、執行率にすると約90%、約 218万円の残が出ている。
一般的に、実費とは「実際に支払った金額」を表す言葉で手数料や利益は含まない。
余ったら返すのが実費徴収の常識だろう。

しかし、9月議会の一般質問で教育長が、
「おやつ代については、指定管理者との協定により、実費相当額となるよう保護者から徴収し、指定管理者の収入とすることができる旨を定めている。保護者が負担したおやつ代の合計額と、実際におやつ購入に充てた費用総額との差額が生じた場合であっても、保護者に返金するようにはなっていない。」
と答弁、協定書そのものが考えられない内容になっていることが判った。
この内容で通るなら、徴収したおやつ代の半分だけ提供して、残りは利益に回しても問題にならないことになる。
市は執行率が何%までなら実費相当額として許容するか基準を決めるべきだろう。

テノ社もやましいところがないなら、堂々と 令和2年度と3年度分を堂々と公開すればいいはずだ。
市がテノ社の主張に沿って 未だに黒塗りの正当性を主張し争っているのは「執行率が常識の範囲を超えて、後ろめたいところがあるからでは」と疑われても仕方がない。
テノ社が、常識の範囲を超えて他の経費に回していたことになれば、上場会社としての信用を大きく失墜させることになる。

テノ社がそんな疑念を払拭し今後発展していくためにも、井上市長におかれては 直ちに裁判を中止すると同時に 令和2年度と3年度の黒塗り部分を公開するよう決断することを期待したい。

川崎町議会が永原組合長に挑戦状

目に見える様にツキから見放されいる大任町の永原譲二町長に、追い打ちをかけるような悪い知らせが お隣の川崎町から飛び込んできた。
6月9日の町議会において、田川郡東部環境衛生施設組合(組合長 永原町長)に対し情報公開を求める決議案が「全会一致」で可決、田川地区に激震が走っている。

8市町村で構成される同組合は、約400億円を投じて建設している衛生関連施設について 予算を拠出している自治体に十分な説明をして来なかったが、これまで 各首長や議員も声を押し殺してきた。
実力者に盾突くと どんな仕打ちをされるか分からない恐怖、まさに学校の虐めと同じ構図と 関係者は話す。

そうした中、これでは良くないという田川市議4人が昨年4月、勇気を出して情報公開についての勉強会を開催したところ、 案の定 組合から猛攻撃が始まった。
同7月には 組合長及び全市町村長の連名で抗議文が送られ、今年2月には組合議会が異例の百条委員会を設置、挙句の果てに 証人尋問に応じなかったという理由で福岡地検に告発までされている。

しかし、潮目が変わった。
4月の田川市長選で、この4人うちの1人の村上卓哉氏が 永原町長の義弟である二場公人氏に4000票もの大差で勝利、そして今月6日の町村会会長選で 永原町長がまさかの敗戦を喫したのである。

今回の川崎町議会の決議は、全会一致というところに価値がある。
町全体として異議を唱えたことになり、組合は無視することができない。
田川市議会などでも追随する動きが出ており、今後 同様の決議案に賛成しない議員らも踏み絵を踏まされることになるだろう。

ますます目が離せなくなってきた。




田川郡東部環境衛生施設組合に対し情報の公開を求める発議

令和5年6月7日

 報道への回答では、機会あるごとに財政状況や進捗状況、 事業費用、 事業推進状況を説明しているとされている汚泥再生処理センター、ごみ焼却場、リサイクルセンター、最終処分場の詳細が、住民に知らされることなく数百億円の公費を投じて進行していることに際し、関係市町村住民の知る権利に基づき情報の公開を求める。

趣旨説明
上記一連の工事積算根拠、 施工体制、 予算の根拠となった参考見積り、審査員、審査内容、入札結果など他の自治体同様に開示し、知る権利を保障したうえで検証できるものにすべきである。
開かれた行政運営の要である情報公開制度は1982年発足以来、全国に広まり1999年に国でも法整備され、公正で民主的な政策を行政自ら情報提供していくものです。

現在の関係市町村では、マスコミに対し状況報告は行っているが当該の契約文書などを保有していないとの回答であり、前提となる根拠に乏しい。
以上のことから、 法律第四十二号第一章一条から第二章五条に基づき田川郡東部環境衛生施設組合に対し、情報の公開を求めるものであります。



決議文全文

 

井上市長の資産報告に虚偽記載の疑い?

殆どの自治体において、首長には政治倫理条例に基づく資産報告書の提出が毎年義務付けられており、不正な収入等がないか審査会がチェックすることとなっている。
しかし、審査会の委員は首長が委嘱することになっており、構造的に審査がザルになりがちという声もある。

ところで、春日市の井上澄和市長の資産報告書の内容に「記載漏れ 或いは虚偽記載の疑いがある」として 2月1日付で 市民65名が調査請求を行っていることが分かった。

疑義の根拠として「井上市長は7年間で約2億円の収入を得ているが、贈与の記載もないのに資産が減少している」ことを挙げている。
調査請求書には、平成27年から令和3年分まで過去7年の資産報告書の明細を一覧表にした資料が添付されているが、確かに不思議な点がある。

収入面では 2回の退職金計3884万円を含め 7年間で約2億円、一方資産では 預貯金が増えるも借入金がそれ以上増え、不動産・動産、有価証券等含めた資産が 合計で418万円目減りしていた。
2億円収入がありながら資産が 418万円減少ということで、調査請求書は「タンス預金をしているなら別だが、社会通念上考えられない」と指摘している。

春日市長の給与は条例で月額95万2100円と定められており、県内60自治体のうち 5番目に高く、令和3年実績でボーナスを含め年間1648万円の所得があった。
また、1期4年務め終える度に 退職金が1942万円支払われるが、6期目の井上市長には既に5回、そして任期が終わる4月には6回目が支払われることになっており、その合計額は 1億1652万円に上る。

今後、審査会で調査が行われるが、本当にこれだけ貰っても資産が目減りするなら「市長」という仕事は割に合わない職業ということになるだろう。

プロポーザルは官製談合の隠れ蓑

田川市の二場公人市長は、情報公開のトップランナーで義兄の永原譲二町長をお手本としている様で、市議会が求める行政文書の開示を頑なに拒んでいる。
また、議会の中にそれを良しとする市議もいて、市民の間から「こんなことで田川が有名になって恥ずかしい」という声が聞こえてきた。

一昨年、市が公募型プロポーザル方式で決定した「家庭ごみ収集」の業者選定において、3工区のうち2工区の最優秀だった業者が辞退、最終的に決まった業者名も契約後7カ月間公表しないなど不自然な動きがあった。

情報開示請求でプロポーザル方式の合計点以外は全て黒塗りで明らかにされないことや、市の管理職と業者との癒着が疑われる報道もあったことから、田川市議会では昨年7月に特別委員会(百条委員会)を設置していた。

百条委員会で全てが明らかになることが期待されたが、二場市長は700ページ近くの文書の多くを黒塗りにして提出、調査に一切協力する姿勢を示さなかった。

市は、文書を公開しない理由として、
① 業務提案書を公開しないのは、同業他社に 二次利用(真似)される
② 評価点は業者の絶対的評価と誤認される
③ 審査委員の名簿を公表すると、別の審査で圧力がかかる
などの恐れがあるためとしている。

なるほど、百条委員会であっても、もっともらしい理由さえあれば 開示しなくていいということを初めて知った。

例えば、市長の意を酌む職員だけを審査委員に任命して、意中の業者に高い点数を付ける不正があったとしても、理由を付けて非公開にすればバレることはない。
つまり、不公正な業者選考をしても隠蔽が可能ということになる。

このようなことをするから「プロポーザルが官製談合の隠れ蓑になっている」と指摘されるのだ。

結局10日の委員会で、調査継続を断念する報告書案が賛成多数で可決された。
採決前、ある議員が執行部を痛烈に批判する討論を行っている最中、梅林議員・尾崎議員・松岡議員・佐々木議員・陸田議員・今村議員・吉岡議員ら 7人の先生方が抗議で途中退席し、採決に加わらなかった。
また、田守議員・加藤議員は欠席し 意思を明確に示さなかった。

ちなみに、退席した中に政治倫理上の問題が指摘されている陸田孝則議員も含まれていたことを申し添えておく。
田川市の政治倫理 ~リクデンと陸田議員~ (2023年1月22日)

税金の使い道を監視する議会、しかも百条委員会が 行政の壁に跳ね返された 悪しき前例となるだろう。
どうか田川から全国に波及しませんように。


異次元の少子化対策でテノ株価急騰

岸田首相が23日の施政方針演説で「異次元の少子化対策」を実施する方針を表明したことで、㈱テノ.ホールディングス(福岡市博多区上呉服町10-10-31 呉服町ビジネスセンター5F 代表 池内比呂子氏)の株価が2日連続でストップ高と急謄している。
全国規模で子育て支援関連事業を行っている上場企業は殆どなく、テノ社に買いが集中した様だ。

同社は福岡発で2021年12月期の売上は114億円、最終利益4億5500万円を計上した優良企業、創業者で代表の池内氏は 福岡市女性活躍推進会議のメンバーになるなど、女性のオピニオンリーダーとしても注目される存在だが、ただ一つ情報公開に消極的なところが残念でならない。



消極的といっても 投資家向けのIR情報はきっちりと公開している。
問題は、現在小学校61校で行っている学童保育事業の 情報公開、そのうち一部の自治体で 頑なに情報開示を拒んでいるのだ。

春日市では令和2年度から、子会社のテノ.サポートが指定管理者となったが、スタート当初は保護者から苦情が相次ぎ、議会でも取り上げられるようになった。
こうした中、令和2年度の学童保育事業の収支決算書で、おやつ代の支出が黒塗りになって出てきたのである。
当然、実費徴収しているおやつ代を全部使わず、利益に回しているのではないかと保護者から疑問の声が上がった。

弊社記事「おやつ代と保険代を隠す学童保育(2022年8月20日)」で詳しく触れているが、市民が情報公開請求を行っても拒否、その理由が「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」、つまり、集めたおやつ代をいくら使ったか公開するとテノの地位や利益を害するらしい。

黒塗りを止めて潔白を証明すれば済むことだが 隠すので疑惑は膨らむばかり、これでは 「上場会社が おやつ代を誤魔化して利益を出している」と指摘されかねないので心配になる。

池内代表におかれては、異次元の少子化対策で今後ますますのご活躍を期待するばかりですが、全国の顧客や投資家に好印象を持って頂けるように、おやつ代の使い道ぐらいは公開した方が良いのではないでしょうか。

学童危機管理マニュアル、著作権理由に不開示?

「子育てしやすい街」というイメージの春日市だが、引越し先を探している子育て世代が同市の学童保育の実態を知れば、候補から外すことになるだろう。

市民が市に対し、放課後児童クラブ(学童保育)の「安全危機管理マニュアル」「けが、病気対応マニュアル」等の情報開示を求めたところ、「公表権を持つ指定管理者(テノ.サポート社)が 開示に反対意見を表示した(著作権法第18条第3項第3号)」との理由で開示しないことを決定した。
つまり、運営するテノ社が開示を拒否したので見せられないというのだ。
テノ社と言えば、実費徴収した おやつ代の支出を黒塗りにして開示しないことで知られる。

市民が安全危機管理マニュアルの情報開示を求めたのには理由がある。

令和4年8月、テノ社が指定管理者を務める福岡都市圏の某小学校の学童保育で、担当者(支援員)がアレルギー反応を起こした児童の対応を誤るという重大事案があった。

その児童は 卵・小麦アレルギーが有り「エピペン」を所持、エピペンとは、医師の治療を受けるまでの間、アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)である。
食物によるアナフィラキシー発現から心停止までの時間は わずか30分と報告されており、症状があらわれたらできるだけ早期にエピペンを注射するとともに、救急車を呼ぶこととされている。

こうした対応は学校現場においては常識で、日頃から保護者も同席する中で研修も行われているという。



しかし、事件は同じ学校の敷地内、学童保育の施設内で起こった。
当日、学童保育で誤ってアレルギー物質入りのおやつが児童に提供され、腹痛が起こり嘔吐を始めたが、支援員はエピペンを使用せず 母親に連絡したのである。

母親が到着して 病院に連れて行き幸いにも大事には至らずに済んだが、30分以上時間が経過しておりアレルギー対応としては不適切、テノ社の安全危機管理体制が疑われる状況だった。

この話が保護者間のネットワークで広まり、テノ社が運営している春日市放課後児童クラブの保護者からも心配する声が出てきた。

そもそも安全危機管理マニュアルはあるのか、児童クラブに常備しているのか、アレルギー対応について記述があるのか、エピペンについての知識があるかなど、子どもを預ける親にとって把握しておきたいのは当然だ。

公共施設の事業における児童の安全危機管理マニュアル等が、そもそも著作権法の著作物に該当するのかという問題もあるが、6期24年の井上市長もテノ社の主張を認めた格好となっている。
市の担当者は、「マニュアルは見せることができないが 疑問点があれば個別に回答する」としている。

テノ社と春日市が実費徴収のおやつ代をいくら使ったか黒塗りで出してきたのにも驚いたが、両者の隠蔽体質は筋金入りの様だ。

春日市長に読んでほしい社説

1月12日の西日本新聞の社説は、春日市の井上澄和市長にとって耳の痛い指摘だろう。
冒頭に、「行政機関が持つ情報は公開が原則だ。悪質な情報隠しや非公開は住民の信用を失墜させる。首長は常に肝に銘じておかねばならない」とストレートな正論。
実費で集めたおやつ代の支出を黒塗りで公表しない春日市長もそうだ。

参考 → おやつ代と保険代を隠す学童保育(2022/8/20)

参考 → 図書購入費も黒塗りの怪(2022/9/2)

また、大任町を例に挙げ、「厳しい視線は町の行政全体に向かっている。是正できない町議会も同罪」と厳しく断じている。
春日市議会にも言えることだ。

参考 → 市議会が おやつ代黒塗り企業を承認(2022/9/29)

更に「情報隠しは主権者である住民への背信行為、職員にも継続的な研修を求めたい」と続く。
井上市長の判断だとしても、それにモノを言えない職員も みな同じと見られて仕方がないだろう。

最後に「国、地方を問わず行政機関全体に、不都合な情報を覆い隠す温床がないだろうか。首長や議員に対する行政職員の忖度は誤った判断につながる。悪意があろうとなかろうと起こり得る。」と結ばれている。
職員も本当は分かっているはず、大任町を笑えないと。

図書購入費も黒塗りの怪

春日市では、春日市民図書館をはじめ公共施設の指定管理者の「収支計画書」が黒塗りで公開されており、波紋が広がっている。

事の発端は、弊社記事「おやつ代と保険代を隠す学童保育」で報じた、 ㈱テノ.サポート(福岡市博多区)が提出した 令和2年「収支報告書」が黒塗りになっていたことだ。

実費で徴収しているおやつ代が 適正に使われているか 黒塗りで分からない状態だが、春日市はテノ社から非開示の要望があったため黒塗りにしたという説明をしている。
だが、筆者の知る限り、福岡県や近隣市町村で 公共施設の収支報告書が黒塗りで公開している自治体はない。

そして今度は、テノ社の「収支計画書」までもが 黒塗りで提出されてきたのである。
これに対し、市議会で「他の公共施設の指定管理者の収支計画書は公開されているのにこれだけ黒塗りというのはおかしい」と疑問の声が上がった。
そこで市は、他の公共施設(スポーツセンターや図書館、児童センターなど)の指定管理者の収支計画者も一律に黒塗りするという対応に打って出たのだ。

下の写真は 令和4年度市民図書館の収支計画書、これでは 図書館がいくら分の図書を購入したかも分からない
公共施設、それもこの程度の情報を なぜ公開できないのか。
これは事業者が黒塗りにするように希望したのではなく、春日市の判断である。

テノ社の要求を優先したことで、他の事業者の収支計画書まで黒塗りにするという、情報公開の流れに逆行する対応で、あの「大任町」と同じという声が聞こえてきた。



市の判断で公共施設の収支計画書が黒塗りになっている件だが、8月31日の担当課への電話取材では、「これは一時的な措置で 公開する方向で検討しており、テノ社に公開するよう理解を求めていく」という説明があった。
2ヵ月前に取材した時は、「現在情報公開請求の不服審査が行われており、その結果を待って 統一して公開するか このまま黒塗りにするか判断する」としていたので、どうやら方針を転換した様だ。

現在、黒塗りの決定を不服とした市民と 春日市長が 「不服審査会」の場で争っているが、市長は弁明書の中で 黒塗りの判断が間違っていなかったことを主張する一方、市民の反論内容が「反論書の体裁となっていない」などと 強い言葉で全否定している。(下図)

「おやつ代がいくら使われているか知りたかっただけ」の、弁護士でもない 一市民に対し、完膚なきまで論破しようとする文面から、市民から選ばれたという謙虚さは感じられない。

「公開する方向で検討している」のが事実なら、これ以上不服審査会で争う必要はないはずだ。
直ちに 全ての黒塗りを公開し、市民に時間と労力を使わせ、礼を欠く言葉で対抗したことも含めて謝罪すべきだろう。


春日市ともあろう自治体が、一企業の要求を飲んだばかりに 辻褄が合わなくなり 迷走している。
これが 6期24年の長期政権と関係があるかどうかは不明だが、早く正常に戻ることを期待したい。

おやつ代と保険代を隠す学童保育

森友事件の黒塗り文書がそうだが、何でもない項目を隠せば隠すだけ疑惑は深まる。
やましいことがなければ 黒塗りにする必要はない。
今から約40年前、市として全国初となる情報公開条例を制定したのは 春日市ということだが、その春日市の指定管理者の事業報告書において、ただ一つの業者の報告書の一部が黒塗りで公開されており 話題になっている。

それは、放課後児童クラブの指定管理者である ㈱テノ.サポート(福岡市博多区)が提出した 令和2年度事業報告書(下図)の収支報告書である。

事業費予算が4594万7000円に対し、執行額が3975万3656円とマイナス619万3344円と大幅減。
一方で、その他(本部経費・諸経費)の予算が 360万円だったのに対し、執行額が2000万1845円で 1640万1845円のオーバー、執行率が なんと 556%という計算になる。

そして、一番問題と思われるのが、執行額のうち 間食(おやつ)代 2100万2900円、保険代 172万6400円が収入として入ってきているが、事業費の中で いくら使われたか 黒塗りになっているため 確認できないことだ。

このことについて 保護者から疑問の声が上がった。
当然だろう。

この程度の収支報告書なら何も黒塗りにする必要はなく、事業として必要なものに支出した場合は 内訳を示し 説明をして、保護者を安心させればいいだけだ。



これに納得がいかない保護者の相談を受けたある市議が、情報開示請求を行ったが黒塗りの箇所は開示されることはなかった。
非開示の理由として「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」とされていたという。

しかし、筆者が春日市庁舎内の情報公開室で、同年度における他の指定管理者の事業報告書を確認したところ、黒塗りにされている報告書はなく予算決算報告も詳細まで細かく公開されていた。

この点について市総務課に質したところ、「統一されていないことを認めた上で、テノ社からの要望があって黒塗りにしている。現在、市議から情報の非開示決定に対する不服審査が行われており、審査会の結論を待ってどちらかに統一する」ということだった。

市に主体性がなく判然としない。

春日市は テノ社の要望を聞き入れて黒塗りにしているが、他の自治体はどうか。
隣接する那珂川市や太宰府市において、春日市と同じ放課後児童クラブの事業で テノ社が指定管理者として運営している。

テノ.サポート学童保育所(放課後児童クラブ)

情報公開請求で、同じ収支報告書を取り寄せたが 印影以外に黒塗り箇所はない。
これを見て、あらためてこの程度の収支報告書で 黒塗りにする必要はないと確信した次第である。

そこで、福岡県や複数の市に指定管理者の情報公開のあり方について尋ねてみた。
「税金で運営し透明性が求められる公共事業で、指定管理者の予算書や収支報告書が黒塗りになることは考えられない」というのが共通の見解である。
つまり、春日市の方が普通ではないということだ。

太宰府市・那珂川市で公開されているテノ.サポートの報告書
(印影以外は黒塗りなし)

 

テノ社の要望で 市は黒塗りにしたというが、同社は福岡発の急成長した上場企業、代表にあっては 活躍する女性リーダーとして注目を集めている人物だ。
公の施設の管理を請け負うなら、あの程度の収支報告書は堂々と公開できるだろう。

だが、非開示に拘る理由、もしかしたらと思える点が1つある。

太宰府市・那珂川市と春日市の収支報告書を比べるうちに、「間食(おやつ)代」と「保険代」の取り扱いが違うことに気がついた。
両市においては間食代・保険代は指定管理料に含まれているが、春日市では別徴収になっているのだ。
令和2年度、テノ社は 間食代として2100万2900円、保険代として172万6400円を徴収し収入としているが、支出が黒塗りとなっているのである。
仮に、間食代と保険代を徴収しておきながら使ってないとなれば問題だ。
まさか、上場企業に限ってそのようなことはないと思うが、黒塗りになっているだけに妙な想像をしてしまう。

令和元年度まで春日市は、全ての指定管理者の収支報告書について公開しており、そこには公共事業の透明性を図るという ごく当たり前の方針があったはず、その方針を変えてまでテノ社の要望を聞き入れたということは、何か特別な力が働いたか。
担当課長レベルで判断できるはずもなく、おそらく「上」から指示があったと思われる。

その「上」が誰かは不明だが、市長は現在6期目、24年目に入った井上澄和氏だ。
まさか、井上市長ともあろう人が、おやつ代を黒塗りで隠すような せこい指示を出すはずがない。
これは何かの間違いと思われるので、事実確認をして黒塗りを止めて全て開示するよう指令がいくものと信じている。


反面教師

福岡都市圏を中心にマンションや投資用ワンルームの開発・分譲などを手掛ける㈱コーセーアールイー(福岡市中央区赤坂1-15-30 代表者諸藤敏一氏)であるが、連結子会社の㈱コーセーアセットプランにおいて、金融機関に提出するローン申請書類を不正に書き換えた疑いがあると発表した。

今後外部に調査を委託し、真相を究明し、積極的な情報公開に努めるとしている。

起きてしまった不祥事は仕方ないが、その後の対応で真価が問われることになる。

JR九州は、昨年連結子会社のJR九州住宅㈱による同様の事件が発覚した際、調査委員会を設置するも肝心要の前社長へのヒアリングを行なわず、早期の幕引きを図ろうとして批判を浴びた。
反面教師として大いに参考になるだろう。



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情報公開・問われる大学の姿勢

11月28日の新聞で、中村学園大学の准教授が発表した論文に不正があったという報道があった。

同大学によると、通報を受けて今年6月から委員会を設けて調査を開始、10月まで検証を行い、報告書をまとめ11月26日付でホームページ上に公表している。
迅速な対応と、積極的に情報公開する姿勢は素晴らしいものだ。

一方で福岡大学の場合、幾度も指摘してきたが、7月17日付で理事会に提出された「若葉高校移転に係る調査委員会の報告書」は、4ヵ月経った現在も公開されていない。

日経BPコンサルティングが行った「大学ブランド・イメージ調査」で、福岡大学が前年の6位から2位に躍進したというニュースもあったが、イメージだけでなく、不都合な真実もオープンにするだけの情報公開の姿勢を期待したい。



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