天国から地獄へ

 9月の鬼怒川堤防決壊による濁流の中で、白い一軒家だけが流されず、テレビを見る人に強い印象を与えたのが、旭化成のへーベルハウスだった。
これは翌日の株価に即座に反応し、同時に販売店や施工会社に問い合わせが増えたのも事実で、旭化成へーベルハウスの広告や営業社員の動向に、注目が集まり始めた矢先、横浜のマンション傾斜問題が発覚した。
マンション分譲会社から受注した元請は三井住友建設で、杭打工事の発注について、打ち込む杭の長さが足りなかったというミスが判明しているが、その他に次から次に出てくる事実は、旭化成建材の不正が多すぎる。
当初は単独の旭化成建材社員による不正と報じられていたが、手抜き工事は全国に広がり、複数の社員が不正に手を染めていたようで、収拾がつかない状況になりつつある。
建物の基礎となる杭工事は、杭を地下の目に見えない土の中に、それも数十メートル打ち込むのであって、事前に行った地質調査のミスが絶対に無いとは言い切れない。
だがこれまでは互いに信用しあって、仕事が進められてきたはずで、それを裏切った旭化成建材の罪は大きく、補償の請求が大きな問題になって来る。
多額の支出に加え、受注が困難になることは目に見えており、企業の存続を左右しかねない状況だけに、改めて社員や企業同士の信頼を取り戻す事が重要だろう。


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