JR九州住宅・過去の決算書を修正(後編)

JR九州住宅が、2018年3月期に前倒ししていた売上 3億7200万円を、2019年3月期に計上し直し、工事経歴書も正確な日付に修正し正常に戻したことは評価できる。
ちなみに、JR九州の2020年3月期の決算において、2019年3月期の連結決算の数値は一切変更されておらず、過去の決算の修正再表示も無かった。
JR九州グループ全体で 4400億円規模の売上の中にあって、3億7200万円は微々たるもので修正再表示は必要ないと判断したと思われる。

2018年に発覚した、住宅ローン書類偽造による水増し申請問題の第三者委員会の調査報告を受け、JR九州は同年 12月10日付でコンプライアンス教育の徹底など再発防止策を発表した。
しかし、2019年12月に監督官庁に提出した法定書類には、2018年3月期の粉飾を隠蔽したとの情報もあり、組織ぐるみでコンプライアンス違反を続けていたようだ。

また、前社長の松尾氏時代の不正については未だ謎が多い。
松尾氏は2018年6月に社長退任後、JR九州コンサルタンツの取締役に移動し僅か3ヵ月で解任されているが、解任理由は伏せられたままである。
更に、JR九州住宅の 2019年3月期決算の貸借対照表、資産の部、短期貸付金に 4億1047万円が計上されているが、債務超過額が 8億4500万円の企業が 4億円超を貸し付けるということが考えにくい。
こうした不都合な真実についても、株主や投資家に対して情報公開をするべきではなかろうか。

私たちは交通インフラとしてJR九州に特別な親近感を持ち、信頼してきた。
JR九州におかれては、今後更に信頼が積み重なっていくよう、コンプライアンスの徹底と積極的な情報公開に努めていかれることを期待したい。

JR九州住宅・過去の決算書を修正(前編)

JR九州は2020年3月期の決算短信を公表し、6月には株主総会を控えているが、連結子会社が過去の決算書を修正したことが関係者の間で話題になっている。

JR九州の子会社、JR九州住宅㈱(福岡市博多区吉塚本町13−109 代表者島野英明氏)が、2018年3月期の損益計算書及び貸借対照表、2019年3月期の損益計算書の数値を変更したことが判った。
JR九州住宅は、建設業の監督官庁に今年3月12日付で過去の決算書を含む法定書類を修正して提出したが、2018年6月に退任した松尾前社長の時代に行った粉飾決算を本来の形に戻したものである。

対象となった物件は2018年5月末に完成引渡しされた糸島市のタウンハウス、修正前の「工事経歴書」には2018年3月期決算の締日である2018年3月31日完成、建築代金の合計は3億7200万円とされていた。
それに合わせて決算書も作成され、本来であれば2019年3月期に計上すべき売上3億7200万円が、2019年3月期に前倒しされていた。

施工会社から施主への物件の引き渡しは工程上重要な節目であるため、本来は受領した日に施主の社印が押されるところだが、この物件の鍵受領書は「仮」とされ、日付が 平成30年(2018年)3月31日、受領者の欄には施主の社員の個人名と認印が押されている(写真)。
おそらくこの書類を 3億7200万円前倒しの根拠にしたと思われるが、この操作により2018年3月期の営業利益・経常利益・純利益は赤字を免れている。
粉飾されたままJR九州住宅の決算書は公告され、JR九州の2018年3月期連結決算の一部となった。
これは前社長の松尾氏の指示だったかもしれないが、社長一人でできるものではなく、他の役員や監査、更にはJR九州の幹部も同意していた可能性も否定できない。

(続く)

JR九州住宅が支払った紹介料

平成28年6月、JR九州OBの㈱松永の代表取締役である松永昭紀氏は、エステート・ワンの顧問に就任、当時施工会社を探していたエステート・ワンにJR九州住宅の松尾社長を引き合わせ、羽犬塚と伊都の物件の施工を請け負うことで合意した。

その後、エステート・ワンが松永氏と松尾社長からリベートの支払を要求され、1100万円を振り込むことになったのは既報の通りであるが、驚いたのはこれだけではない。

JR九州住宅が㈱松永に対して、エステート・ワンの紹介料という名目で400万円を振り込んだというのだ。

松永氏は施主であるエステート・ワンの顧問であり、言わば社内の人間、JR九州住宅内では、何故施主に紹介料を支払う必要があるのか議論があったようだが、最後は松尾社長に押し切られたという。

債務超過が続く会社に紹介料を支払う余裕があったとは思えないが、松尾氏が社長の時代には、その様な無理筋が幾つも罷り通っていたようだ。



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JR九州住宅(前)社長への裏金

JR九州住宅㈱がエステート・ワンに対し、建築請負代金の支払を求めた裁判の中で、被告が「JR九州住宅が施工する条件として、JR九州のOBだった㈱松永の代表松永氏から、販売1戸につき40万円、松永とJR九州住宅の松尾社長へリベートを支払うよう要求され、仕方なく支払った」と証言していた。

リベート40万円のうち、6対4の割合で㈱松永と松尾氏に分配されるという約束だったという。

施工した住宅は55戸でリベート合計2200万円、エステート・ワンは中間金として半分の1100万円を、平成29年6月から翌年3月の間に9回に分けて㈱松永の口座宛に振り込んでいる。

そして、その4割に当たる440万円について、平成29年7月から翌年3月の間に4回に分けて、㈱松永宛に「カミヨ企画」という博多区の事業者から請求書が届いており、㈱松永から請求書にあるKという女性名義の口座宛に同額が振り込まれていたことが判った。

カミヨ企画は法人登記をしておらず、Kと松尾氏との関係は現在のところ不明だが、振り込まれた時期と金額が一致していることから、松尾氏と関係のある女性という可能性が高い。

この他にも、JR九州住宅から㈱松永に対して、エステート・ワンの紹介料として400万円が振り込まれ、松永氏から松尾氏に200万円がバックされたという情報もある。

JR九州は、平成30年に発覚したJR九州住宅の不正融資書類事件の際、自前で第三者調査委員会を設置するも、前社長の松尾氏に対しては何故かヒアリングは実施していない。

裏金が渡った可能性が高い松尾氏こそヒアリングを実施すべきだったと思われるが、JR九州の腰は重いようだ。



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JRブランドのマンションでトラブル

福岡市内の分譲マンションで、壁面のひび割れや玄関ドアが開かない等の問題が起こり、管理組合と売主との間でトラブルとなっている。

同マンションは、JR九州が平成6年の新駅開業に合わせて販売したもので、販売価格は3000万円前後、JRブランドで人気が集まり、倍率30倍の部屋もあったという。

ところが、入居後2年目にして建物のひび割れが見つかった他、玄関ドアが開かない部屋が複数あることがわかり、5戸については玄関ドアの取り替えで対応することとなった。

その際、構造上の欠陥が疑う声もあったが、売主側から「主要構造部分への影響がない」との確約書が管理組合に提出され、一旦は落ち着いていた。

その後約20年が過ぎ、玄関ドアを交換した5戸のうち2戸のドアが同28年に再び開閉困難となったため、管理組合が独自に建物のレベル調査や杭長検査等を実施、レベルの高低差が98mmあることや基礎杭の一部が支持層に達してない等の衝撃的な結果を得た。

管理組合が売主側に原因究明を求めたところ、売主側は測定の結果最大高低差104mmの傾斜や多数のクラック、玄関ドア三方枠の歪みは認めたものの、杭の調査では支持層まで届いているので傾斜の原因が杭と断定することは難しいと主張、更に、原因は特定できないが今後の調査は行わないと回答した。

同30年5月、管理組合側は裁判所に調停を申請したが、裁判所は調停案を出さないまま不成立に終わっている。

今後管理組合側は基礎杭の状況を含め建物の安全性について、再調査を行った上で対応を決めるとしているが、仮に基礎杭の支持層への未到達が確認され、違法性があったとしても、施工から20年が過ぎているため、法的責任は問われないとの見方も一部にある。

20年で100mm傾いたとすれば、今後も傾きがさらに大きくなり、倒壊の恐れが出てくることが危惧される。
JR九州はこの件につき適切に対処しているとの立場であるが、JRブランドを信じた住民が不安な毎日を過ごしていることは事実である。

年末から全国ネットの情報番組で、この問題が放送されるなど注目され始めており、今後のJR九州の対応に関心が集まっている。


根が深いJR九州の不祥事

10月10日に行ったJR九州の記者会見では、子会社であるJR九州住宅の社員が、住宅ローンに関して700万円を水増し改ざんした事を、金融機関から指摘を受けたと発表していた。
それによってJR九州本体の、11月5日に発表予定の決算発表を延期し、通常では考えられない事態が起こっている模様で、野次馬根性の虫がムクムクと動き始める。
JR九州住宅㈱の登記簿謄本を見ると、前社長である松尾純一氏は平成30年6月27日に辞任し、翌日の28日にはJR九州コンサルタンツ㈱の取締役に就任しており、ワンクッションを置いた実に手際の良いシナリオを書いたものだ。
これでは一見すると、何事も無かったような人事異動に見受けられ、更に平成30年9月27日には再び解任されており、JR九州の関連会社でも目立たない会社の人事は、記者会見もされずに処理されている。
JR九州住宅の前代表であった、松尾純一氏の日常における派手な生活は、関係者から次から次に情報が寄せられ、次第に全容が浮き彫りになってきた。

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