井手監督に続き櫻井さん、亡くなる

8月16日に ドキュメンタリー映画の監督、井手洋子さん(68)の訃報が報じられた。
井手監督は学校の先輩でもあり、地域の人権学習会の映画上映会にもゲストとしてお呼びしたことも。
代表作は、冤罪事件として知られる布川事件の、櫻井昌司さんと杉山卓男さんを追いかけたドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」(2011年)、同映画は文化庁映画賞大賞やキネマ旬報ベストテン文化映画部門第1位に選ばれ高い評価を得た。
まだ 他にも撮りたい映画があり、早過ぎる死を悔やんでおられることだろう。

2人は2011年に無罪を勝ち取り自由の身になったが、杉山さんは2015年に亡くなった。
櫻井さんは、えん罪被害を支援する活動を続けていたが、最近は闘病生活だったという。
そして、井手監督の後を追うように 23日、がんのため亡くなった。
76歳だった。

3人は天国で再会を果たしている頃か。
ご冥福をお祈りいたします。

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以下、2019年6月7日の弊社記事を再掲。

冤罪により獄中生活を強いられた桜井昌司氏(72)が国家賠償を求めた裁判で、5月27日東京地裁は国と茨城県に対して計約7600万円の支払いを命じる判決を下した。
1967年に一人暮らしの老人が殺害された布川事件、桜井氏は杉山卓男氏と共に別件で逮捕され、捜査段階で自白、強盗殺人犯として無期懲役の判決を受け、20歳から29年間を獄中で過ごした。

1996年仮釈放となった後も無実を訴え続け、支援者の協力もあって再審請求が認められ、2011年両名とも無罪を勝ち取ることができた。
今回の冤罪事件に対しての国家賠償判決は、冤罪により被害者の名誉を回復するだけでなく、違法捜査や証拠隠しによる警察・検察の責任を明確にした画期的なものである。

ところで、仮釈放となった1996年から14年間、二人の生活をカメラに収めたドキュメンタリー映画「ショージとタカオ(井手洋子監督)」をご存知だろうか。
http://shojitakao.com/index.html(ショージとタカオHP)

この作品は、殺人犯というレッテルを貼られても明るく前向きに生きる二人の姿を撮ったもので、2011年のキネマ句報文化映画部門ベスト・テン第1位をはじめ、数々の賞を受賞している。

現在は自主上映会場でしか鑑賞することができないが、筆者はある地域で開催された人権問題研修会で同映画を観る機会があり、二人に親近感を覚えたことがある。
残念ながら、杉山氏は無罪判決を受けてわずか4年後の2015年、69歳で亡くなった。
きっと今回の判決を天国で喜んでおられることだろう。

大崎事件・再審請求

昨年6月に最高裁で第3次再審請求が棄却された、大崎事件の原口アヤ子さん(92)の弁護団が、3月30日に鹿児島地裁に第4次の再審請求をすると発表した。

事件が起きた鹿児島県は、鹿児島県警による集団冤罪となった平成15年の志布志事件の地、大崎事件が起こった昭和54年は、それ以上に違法な捜査・取り調べが横行していた時代とも想像される。

原口さんは一切自白しておらず、捜査段階から一貫して無実を訴えてきたが、一審で懲役10年の判決を受け、上告して争ったが有罪判決が確定し服役した。

まずは再審の決定、そして裁判で無罪を勝ち取れたとしても、どれくらいの時間がかかるだろう。

92歳という高齢だけに、残された時間はあまりにも短い。
1日も早く名誉回復が果たされることを切に願うものである。



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ショージとタカオ

冤罪により獄中生活を強いられた桜井昌司氏(72)が国家賠償を求めた裁判で、5月27日東京地裁は国と茨城県に対して計約7600万円の支払いを命じる判決を下した。

1967年に一人暮らしの老人が殺害された布川事件、桜井氏は杉山卓男氏と共に別件で逮捕され、捜査段階で自白、強盗殺人犯として無期懲役の判決を受け、20歳から29年間を獄中で過ごした。

1996年仮釈放となった後も無実を訴え続け、支援者の協力もあって再審請求が認められ、2011年両名とも無罪を勝ち取ることができた。

今回の冤罪事件に対しての国家賠償判決は、冤罪により被害者の名誉を回復するだけでなく、違法捜査や証拠隠しによる警察・検察の責任を明確にした画期的なものである。

ところで、仮釈放となった1996年から14年間、二人の生活をカメラに収めたドキュメンタリー映画「ショージとタカオ(井手洋子監督)」をご存知だろうか。
http://shojitakao.com/index.html (ショージとタカオHP)

この作品は、殺人犯というレッテルを貼られても明るく前向きに生きる二人の姿を撮ったもので、2011年のキネマ句報文化映画部門ベスト・テン第1位をはじめ、数々の賞を受賞している。

現在は自主上映会場でしか鑑賞することができないが、筆者はある地域で開催された人権問題研修会で同映画を観る機会があり、二人に親近感を覚えたことがある。

残念ながら、杉山氏は無罪判決を受けてわずか4年後の2015年、69歳で亡くなった。
きっと今回の判決を天国で喜んでおられることだろう。



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