八女福島の燈籠人形


八女市の福島八幡宮において毎年秋分の日を含む3日間開催・公演される「燈籠人形」。
国の重要無形民俗文化財に指定されており、同八幡宮の放生会の際に催される、江戸時代から続く祭事である。

福岡市民にとって”放生会”といえば東区の箱崎宮を皆思い浮かべることだろう。こちらは祭事というよりも露天商の賑わいが楽しみであり、祭事としては何が行われているか知らない方も多いのではなかろうか。ここ八女福島における放生会では、総勢50余名で上演される燈籠人形が祭事であり、全国から訪れる観覧客の情熱や喝采をもって奉納される。

「屋台」と呼ばれる建物が八幡宮の境内に作られ、舞台は祭の期間中のみ披露される。
高さ8m、幅14m、奥行6m余りの二階建・三層構造で、釘や鎹(かすがい:コの字状の釘)を一切使わない。取り壊しが自由にできるようにするためだ。

今年の5月ごろに当地を訪問したのだが、参道の一角にブロック基礎が埋められただけ状態。雑草に覆われたその様子からは、開催期間中の華やかさ・艶やかさは微塵も感じなかった。

だがしかし、この地方の伝統工芸である仏壇造りの技法を生かし、上演の一ヶ月前に、わずか一週間程度で組上げられるこの屋台。金箔・銀箔・漆塗りで造られた舞台が燈籠の灯りに照らされるサマは、あくまで妖艶で美しい。

もし祭の期間外に訪れる機会があれば、祭の時との落差を楽しむのも一興かもしれない。あたかも人形劇の「カラクリ」の不思議を楽しむように。

舞台となる場所の傍らには、「八女福島の燈籠人形保存会公演事務所」が建っている。この会は全て地元の氏子で成っており、その方々が人形劇を演じ、祭を守り継いでいる。地元をあげての伝承活動だからこそ意義深い。

ことしの開催期間はシルバーウィークの9月21日~23日。この八女福島は伝統的建造物郡保存地区であり、祭の期間中も『あかり』をテーマにしたまつり「あかりとちゃっぽんぽん」など、さまざまな催しが行われている。もしもまだシルバーウィークの予定が決まっていない方は、ぜひこの地を訪れてみてほしい。

投稿~㈱エスアールエス宅継 住吉 英智

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